右側臥位は、介護の現場でよく使用される用語の1つです。しかし、どのような意味があるのかわかりづらいと感じている方もいるのではないでしょうか。
右側臥位は右側を向いて寝ている状態をいい、体位変換を行う際にもよく使用される用語です。
本記事では、右側臥位のメリットや体位変換を行う際のコツを中心に解説します。
右側臥位や体位変換に関する理解を深め、実際のケアに役立ててはいかがでしょうか。
右側臥位とは?
右側臥位とは「みぎそくがい」「うそくがい」と読み、身体の右半身を下にして右側を向いて寝ている状態をいいます。
似た言葉に左側臥位(さそくがい・ひだりそくがい)がありますが、右側臥位とは反対の左半身を下にして左側を向いて寝ている状態です。
褥瘡予防などの目的で体位変換を行う際は、右側臥位と左側臥位を交互に繰り返す場合もあります。
右側臥位と左側臥位それぞれのメリット
介護士がご利用者様のケアをする中で「寝るときは右側臥位と左側臥位のどちらがよいのか?」という疑問を持った経験がある方もいるのではないでしょうか。
寝るときによいと考えられる体勢は諸説あり、右側臥位と左側臥位それぞれのメリットをいくつかご紹介します。
右側臥位のメリット
寝るときの体勢は右側臥位がよいと考えられる理由は、胃の形が身体の右側に向かってカーブしているため、食べ物の移動がスムーズで消化を助けるという説があるためです。自律神経に対する負担も軽減され、睡眠の質が高まるメリットもあります。
左側臥位のメリット
寝るときの体勢は左側臥位がよいと考えられる理由は、身体の左側を下にして寝ると消化器系の臓器への負担を軽減できるという説があるためです。消化作用が高まり、臓器の働きを助けるといった理由です。
また、高齢者に多い誤嚥性肺炎は右肺で起こりやすく、理由は右肺につながっている気管支が左側よりも太いことも理由の1つです。そのため、誤嚥性肺炎のリスクを軽減するためには左側臥位が望ましいといえるでしょう。
胃酸が逆流しやすい方は、左側臥位やベッドの頭側を少し起こした状態で寝るとよいと言われています。右側臥位で寝ると下部食道括約筋の圧が低下するため、胃酸が逆流しやすくなることが理由です。
疾病により身体状況は個人差があるため、ご利用者様ごとに合わせた対応が必要といえるでしょう。
右側臥位と左側臥位は、体位交換の場面でもよく使われる言葉です。続いて、体位変換の目的を説明します。
体位変換の目的
体位変換は、寝返りなどの身体を動かす動作が自力でできない方に対して、身体の向きを変えるケアです。
体位変換を行う目的は以下の3つです。
・生活を送るために必要なケアを行うため
・身体に起こりかねないリスク予防のため
・生活の質を向上させるため
それぞれの目的を解説します。
生活を送るために必要なケアを行うため
日常生活を送るためには以下のようなケアが欠かせません。
・おむつ交換
・食事
・口腔ケア
・清拭・更衣
・ベッドから車椅子への移乗 など
上記のようなケアを行うためには身体を動かす必要があります。体位変換することで安全にケアを行えるでしょう。
2身体に起こりかねないリスク予防のため
身体を動かす機会が減ると、以下のようなリスクが高まります。
・身体に褥瘡ができてしまう
・関節が拘縮してしまう
・肺炎を発症してしまう
・身体が浮腫んでしまう など
数あるリスクの中でも、特に注意が必要なのは褥瘡です。褥瘡は身体の皮膚の一部が圧迫され続けた結果、その部分の血流が悪くなり皮膚に傷などができてしまった状態をいいます。褥瘡は悪化すると敗血症などを発症してしまう場合もあり、死亡してしまう最悪のケースもあります。
褥瘡の原因はいくつかありますが、褥瘡は適切に体位変換すると悪化はもちろんのこと予防もできます。褥瘡などのリスクを軽減し、ご利用者様の健康を守るためにも、体位変換は欠かせないケアであるといえるでしょう。
生活の質を向上させるため
ベッドで寝たきりの状態で生活していると生活の質にも影響してしまいます。ご利用者様の望む生活に少しでも近づけるためには体位変換時にコミュニケーションを取ったり、布団の中の蒸れを減らして不快な環境を改善させたりする取り組みも有効です。
続いて、体位の種類を解説します。
体位の種類
体位には3つの種類があります。
立位
立っている状態の体位です。
側臥
以下のような種類があります。
・半座位(はんざい)
・長座位(ちょうざい)
・端座位(たんざい)
・椅座位(いざい)
座っている状態の体位です。半座位はファウラー位とも呼ばれます。
続いて、体位変換のコツを解説します。
介護士が知っておきたい体位変換のコツ
介護士が携わる業務では、体位変換を行う機会も少なくないでしょう。体位変換を行う環境やご利用者様の身体状況はさまざまですが、体位変換を安全に行うコツもあります。
介護士が知っておきたい体位変換のコツは以下の3つです。
・協力動作を引き出す
・力任せに動かさない
・ベッドと接している面積は少なめに
それぞれ具体的に解説します。
協力動作を引き出す
体位変換を行う際には、ご利用者様の協力動作を引き出せるように工夫しましょう。
ご利用者様は疾病などにより、身体に痛みを抱えている方も少なくありません。介護士だけの力でご利用者様の身体を動かそうとすると、介護士だけでなくご利用者様にとっても負担となってしまいます。
体位変換の際は、まずはご利用者様に声掛けしてみましょう。ベッドのサイドレールに掴まっていただいたり足を動かしていただくと、ご利用者様と介護士双方の負担軽減となります。ご利用者様の残存機能を活かす機会にもなり、意欲向上につなげられる可能性もあります。
力任せに動かさない
ご利用者様の身体を力任せに動かして体位変換しないように注意が必要です。
人間の身体の構造を理解して体位変換すれば、少ない力で身体を動かせます。また、力任せに動かせば予期せぬ怪我や事故の原因にもなり得るでしょう。介護サービスを利用されているご利用者様の中には、痛みを感じても訴えられない方もいます。ご利用者様の表情にも注意して体位変換を行いましょう。
ベッドと接している面積は少なめに
ご利用者様の身体とベッドが接している面積が少なければ、体位変換はしやすくなります。摩擦が少なくなると身体を動かしやすくなるため、体位変換の際は膝を立てるなどできるだけコンパクトな体勢になっていただけるよう声掛けしましょう。
福祉用具の利用も視野に
体位変換には福祉用具が活用されるケースもあります。体位変換器(ポジショニングツール)という福祉用具があり、以下のような種類があります。
・人力で行う体位変換を補助するツール
・自動で体位変換するエアマットレス
人力で行う体位変換を補助するツールは棒状・板状などの形があり、これらのツールを背中の下に差し込んでてこの原理で体位変換を行います。
自動で体位変換するエアマットレスは、ベッド上に敷いてその上に寝て使用します。自動で体位変換できるため、深夜などでも欠かさず体位変換が可能です。
環境によっては福祉用具の活用によって、ご利用者様に行き届いたケアが可能になる場合もあります。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、必要に応じて利用も検討してみましょう。
まとめ
右側臥位と左側臥位はそれぞれメリットが異なり、ご利用者様の身体状況に合わせた対応が必要です。体位変換を適切に行うことで、ご利用者様の生活の質や健康を維持できるでしょう。
体位変換の目的やコツを踏まえて実際のケアに活かし、ご利用者様と介護士双方の安心・安全な生活を守りましょう。
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