介護現場のコミュニケーションに役立つ！高齢者との会話で盛り上がる話題を紹介

介護の現場では高齢の方と接する機会が多くあります。しかし、「なかなか会話が盛り上がらない」「話題が思いつかない」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

ご利用者様とのコミュニケーションでは、相手を知ったうえで話題を選ぶことがポイントです。なかでも趣味や育った土地などの話題を出せば、会話も弾みやすいでしょう。

本記事では、介護士がご利用者様とコミュニケーションを取る際の話題の具体例や、注意すべきポイントを中心に解説します。

話題のバリエーションを増やし、ご利用者様とのコミュニケーションに役立ててみてはいかがでしょうか。

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介護士が知っておきたい話題選びの2つのポイント

介護士とご利用者様は年齢が離れている場合も多く、話題選びに悩むこともあるでしょう。しかし、信頼関係を築くためにもコミュニケーションは欠かせません。

話題選びには以下の2つのポイントがあります。

・相手を知る
・介護士自らの話も交える

それぞれ解説します。

相手を知る

まず、話題を選ぶには相手を知ることが大切です。

介護現場ではフェイスシートや利用者台帳、カルテなど、ご利用者様を知るうえで参考になる書類があります。書類に記載されている内容の例は、以下の通りです。

・ご利用者様の氏名
・家族構成
・職歴
・家庭環境
・既往歴

上記のような内容は、ご利用者様とのコミュニケーション時に役立ちます。

例えば、男性のご利用者様に仕事に関する話題を出し、「どのようなお仕事なんですか？」などと質問します。すると、仕事内容や仕事で大変だったこと、さらには家族の話にまで発展して話してくれる可能性もあるでしょう。

このようにフェイスシートなどを活用してご利用者様を知ることができれば、コミュニケーションを通じて書類以上の情報が得られるでしょう。

介護士自らの話も交える

介護士自らの話も交え、反応を確認するといった手段も話題選びに役立ちます。フェイスシートなどで得た情報をもとに、ご利用者様が興味がありそうな話題を考えてみましょう。

例えば料理好きなご利用者様には、昨日自分が作った夕食の話題や最近食べた旬の食べ物の話題などを出します。会話が弾めば似たような話題を引き続き集め、会話が弾まなければ違う視点から話題を選んでみましょう。

注意点としては、今までできていたことが病気などが原因でできなくなってしまったご利用者様もいます。そのような場合、できない自分に対して苛立ちなどを抱えている方も少なくありません。そのため、ご利用者様の反応を見つつ会話を進めましょう。

続いて、話題の具体例をご紹介します。

話題の具体例

高齢者との会話で話題に困ってしまった場合は、以下のような話題を出してみましょう。

・趣味の話題
・育った土地の話題
・天気の話題
・食べ物の話題

それぞれの内容を具体的に説明します。

趣味の話題

自分が好きなことや趣味に関しては、年齢に関わらず好まれる話題です。趣味はガーデニングや読書、スポーツなどさまざまです。好きな芸能人を応援するのが趣味という方もいるでしょう。

集中してテレビを見ている方がいれば、テレビの内容に触れてみましょう。また、レクリエーションで作品を作った際に上手なご利用者様がいたら「作品がとても素敵ですね」など声を掛けてみれば、そこから会話に発展するかもしれません。

育った土地の話題

自分が生まれ育った土地の話題も話しやすいでしょう。出身地をたずね、現在住んでいる土地であれば周辺のお店や、開催されるお祭りなどの話題も出してみましょう。現在住んでいない土地であっても名産品や観光名所などを話題に出せば、関連する思い出などを話してもらえるかもしれません。

天気の話題

天気の話題は話のきっかけづくりとして活躍します。高齢者は外出する機会が少なくなりがちです。
そのため、季節の移ろいも感じられるように「暖かくなってきたので、もうすぐ桜が咲きそうですよ」「寒くなって紅葉も色づいてきましたよ」など、天気と併せて季節ならではの話題を出してみましょう。
ご利用者様が知っている名所などの話題に繋げられる可能性もあるでしょう。

食べ物の話題

食事や食べ物の話題も話しやすい内容の1つです。
その日の食事のメニューなどを話題にしつつ、ご利用者様の好きな食べ物の話題に発展させてもよいでしょう。

また、料理好きなご利用者様の場合は「〇〇が上手に作れなくて…」と調理の相談をすれば、話が広がるきっかけにもなるかもしれません。

続いて、高齢者とのコミュニケーションで注意すべきポイントを説明します。

高齢者とのコミュニケーションで注意すべき3つのポイント

高齢者の方とのコミュニケーションで注意すべきポイントは、以下の3つです。

・話す速さや声のトーンに注意する
・非言語コミュニケーションも取り入れる
・避けるべき話題に注意する

それぞれ解説します。

話す速さや声のトーンに注意する

高齢のご利用者様と話す際には、落ち着いた声のトーンでゆっくりと話しましょう。
高齢になると高い周波数の音が聞き取りづらくなります。人間の声も同様で、声が高いと伝わりにくくなってしまいます。そのため、低めのトーンではっきり話しましょう。

また、早口で話すと聞き取りづらかったり、内容が伝わりづらかったりする場合もあります。わかりやすい単語を選んでゆっくり話せば、会話のキャッチボールもしやすいでしょう。

非言語コミュニケーションも取り入れる

非言語コミュニケーションは、以下の5種類があります。

・表情
・聴く姿勢
・スキンシップ
・身だしなみ
・視線

ご利用者様と接するときは、穏やかな笑顔を心掛けると安心感を与えられるでしょう。しかし、会話の内容によって適切な表情が異なるため、注意が必要です。

聴く姿勢も大切です。介護の現場では忙しない場面が多いですが、手を止めてご利用者様と会話すれば「話をしっかり聞いてもらえる」と信頼してもらえるでしょう。

スキンシップはご利用者様との距離を近づけられます。介護の現場では肩や背中、手の甲などに優しく触れるスキンシップが一般的です。なお、触れられるのに抵抗感があるご利用者様もいるため、注意が必要です。

身だしなみにも気を付けなければなりません。特に爪が長いと、ご利用者様に怪我を負わせてしまう危険性があります。爪は短くし、清潔感がある服装を心掛けましょう。

ご利用者様と話す際には、同じ高さの視線になるように意識しましょう。ご利用者様が椅子に座っている場面などでは腰を落とし、落ち着いて対話しましょう。

避けるべき話題に注意する

ご利用者様との話題の中には、避けた方がよい内容もあります。

・ご利用者様の家族の話
・病気や死に関する話
・戦争に関する話 など

家族関係の話はデリケートな話題です。ご利用者様のなかには、家族と良い関係ではない方や疎遠になっている方もいるでしょう。ご本人も気にされている場合もあるため、こちらからあえて話題にしないようにしましょう。

高齢になると馴染みのある芸能人などの死や、病気に関するニュースにも触れるでしょう。ご利用者様の年代が近ければ、他人事だと思えない方も少なくありません。

戦争に関する話も避けます。高齢者の中には、実際に戦地に行かれた方や戦争によって家族を失った方もいます。辛い思いをされている方が多いため、こちらから話題にするのは避けましょう。

コミュニケーションを工夫することで、認知症の症状の1つ「見当識障害」が改善できる可能性もあります。続いて、認知症の非薬物療法として使われる「リアリティ・オリエンテーション」について解説します。

コミュニケーションを通じて認知症の改善も期待できる

認知症の症状の中の1つに「見当識障害」があり、日時・場所・季節などが正しく認識できない状態をいいます。この見当識障害に効果的なリハビリの1つが「リアリティ・オリエンテーション」です。

リアリティ・オリエンテーションとは？

リアリティ・オリエンテーションは認知症の非薬物療法の1つです。「24時間リアリティ・オリエンテーション」と「クラスルームリアリティ・オリエンテーション」の2種類がありますが、個別に行えるのは24時間リアリティ・オリエンテーションです。

24時間リアリティ・オリエンテーションは、日常生活を送るなかのコミュニケーションで行います。ご利用者様に接するスタッフが以下のような内容を会話に取り入れます。

・日時
・場所
・季節
・天気 など

例えば、「食堂に行きましょう」ではなく「もうすぐ12時なのでお昼ご飯ですね。食堂に行きませんか？」など、現在の状況に気付いてもらえるように会話します。すると、見当識障害の進行を防いだり不安やストレスを緩和したりする効果が期待できます。

まとめ

高齢の方が多いご利用者様とのコミュニケーションでは話題選びも大切です。しかし、せっかく良い話題を探しても、会話のキャッチボールが上手くいかなかったりご利用者様が話したくない話題を出してしまったりすれば、ご利用者様からの信頼は得づらいでしょう。

よりよい関係を築けるように、ご利用者様ごとに適切な話題選びを心掛けましょう。

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