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介護現場における口腔衛生の重要性!口腔ケアの目的や方法について解説

介護現場における口腔ケアの目的は単に口の中をきれいにするだけではなく、利用者の全身の健康を守ることも含まれます。
口腔ケアの目的と効果的な方法を知ることで、利用者の健康をお口から守っていきましょう。

【この記事で分かること】
・口腔衛生の重要性
・口腔ケアの8つの目的
・口腔ケアの方法
・口腔ケアで見るべきポイント

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介護現場における口腔衛生の重要性

介護現場における口腔衛生は口腔内の清潔さを保つだけではなく、さまざまな効果をもたらします。
ここでは口腔衛生の概要と口腔ケアの目的について紹介します。

口腔衛生とは

口腔衛生とは口腔内の清掃のことです。口腔衛生は個人が歯ブラシや歯間ブラシなどの清掃用具を用いて行う清掃と、歯科医院での専門家による清掃に分けられます。歯石や歯周ポケットの汚れなどは個人で除去するには限界があります。そのため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが望まれます。

口腔ケアの8つの目的

口腔ケアには様々な目的や効果があります。

口腔内トラブルの予防

口腔ケアは口腔内のトラブルの予防につながります。口腔内の汚れはむし歯や歯周病などの様々な口腔内トラブルの原因になります。また、むし歯や歯周病によって痛みを生じたり、入れ歯が合わなくなってしまうこともあります。毎日の口腔ケアによって口の中を清潔に保つことで、むし歯や歯周病を予防しましょう。

咀嚼や嚥下機能の維持・向上

口腔ケアには咀嚼や嚥下機能のケアも含まれます。咀嚼や嚥下の機能が正しく動作しないと、食後に食べ物が口の中に多く残ってしまったり、誤嚥性肺炎を起したりするリスクが高まります。そのため、マッサージや訓練などによって嚥下機能を維持していくことが大切になります。

口腔乾燥の予防

口腔ケアによって唾液の自浄作用を促したり、保湿ケアを行うことで口の乾燥を予防します。加齢やお薬の影響によって、高齢者の口の中は乾燥しやすいです。口の中が乾燥すると、さまざまな影響を及ぼします。

【口腔乾燥による影響】
・汚れが溜まりやすくなり、むし歯や歯周病になりやすい
・口臭が気になる
・味を感じにくくなる
・入れ歯が擦れて痛みが出やすくなる

口腔ケアをすると、口の中が刺激されて唾液が出やすくなります。さらに、乾燥が強い場合は口腔用の保湿剤を使うことで、より乾燥症状が軽減されるでしょう。

味覚機能の向上

口腔ケアを行うことで味覚機能の向上を目指します。舌に汚れが溜まっていたり、口の中が乾燥していると味を感じにくくなる場合があります。味覚は唾液や水に溶けたものだけに反応するからです。口腔ケアにより舌の汚れの除去や唾液の分泌を促すことで、味覚機能の向上につながります。食べることへの意欲が低下している利用者に対して、口腔ケアに力をいれることで食への意欲が改善するケースもあります。

認知症の予防

口腔ケアは認知症の予防にも重要だとされています。口腔ケアが疎かになることで咀嚼機能が低下すると、脳への刺激の減少や、認知症予防の栄養がとれなくなるなどの影響があるからです。また、歯周病の菌による認知症への影響も懸念されています。

誤嚥性肺炎を防ぐ

口腔ケアによって口腔内の細菌数を減らしておくことで、誤嚥性肺炎の予防になります。誤嚥性肺炎によって毎年多くの高齢者が命を落としています。誤嚥性肺炎は、歯周病菌などの細菌が含まれた唾液や飲食物が誤って気管を通って肺炎に入ることで起こります。そのため、誤嚥性肺炎を防ぐには毎日の口腔ケアによって口腔内の細菌数を減らしておくことが重要です。

口腔ケアで全身の健康を守る

口腔ケアは全身の健康を守ることにつながります。特に歯周病は、誤嚥性肺炎や脳梗塞、心内膜炎、糖尿病、骨粗鬆症などさまざまな全身疾患に影響を及ぼします。口腔ケアによって歯周病を予防することは、全身疾患を予防するためにも重要です。

コミュニケーションに前向きになる

口腔ケアによってコミュニケーションが円滑になる場合があります。発音や口臭が改善されることで、コミュニケーションに積極的になる利用者もいるからです。さらに口腔ケアによって口腔周囲筋が動かしやすくなり、表情が豊かになることもあります。

口腔衛生を守るための口腔ケア

口腔衛生を守るためにはどのような方法で口腔ケアをすればよいのでしょうか?
ここでは、口腔ケアの方法について詳しく紹介します。

口腔ケアにおける6つの注意点

口腔ケアを行う際には次の6つに気をつけましょう。

本人に同意を得る

必ず本人の同意を得てからケアをはじめましょう。無理やりケアをはじめると、姿勢が整わずに誤嚥させたり、ケアへの抵抗感を生む可能性があります。利用者がリラックスしているときに説明して、同意を得るようにしましょう。

できる範囲で本人にやってもらう

できる限り、本人にもケアに参加してもらうようにしましょう。利用者自身にケアしてもらうことで、口腔ケアへの意欲の向上につながります。さらに、ケア自体がリハビリにもなるため、道具を持ちやすいように工夫するなどして参加を促してみましょう。

短時間でスムーズに

口腔ケアは短時間を意識して行いましょう。時間がかかると、口の中が乾燥するなどして、利用者の抵抗感が高まりやすいです。特にはじめの方には、まず口腔ケアは気持ちいいものだというイメージを持ってもらうために、短時間でスムーズに済ませるようにしましょう。

誤嚥しないように安全な姿勢で

誤嚥しないように姿勢には十分な配慮をしましょう。首が上に向いていると気管に流れやすいので、必ず下向き加減でケアをしましょう。ベッド上で寝たきりの方の場合はベッドを30~45°程度起こして、頭の後ろにまくらやタオルを敷くようにしましょう。

歯ブラシは乾燥して保管

歯ブラシは毛のついたヘッド部分を上にして乾燥させましょう。濡れた状態のままにしておくと、歯ブラシ自体の細菌が増殖するリスクがあります。
使用する器具から利用者に感染しないように、必ず乾燥して保管します。

歯科との連携を密に

口腔ケアが難しい方や少しでも口に異常がある方がいる場合には、歯科との連携を密にとるようにしましょう。スタッフだけでは対応が難しい場合もあります。口の専門家である歯科医師に相談することで、ケアのアドバイスをもらったり、早期に疾患を発見できたりします。定期的に歯科との連携を図るようにしましょう。

口腔ケアの手順

口腔ケアは次の手順で行うようにしましょう。

①うがい(清拭)
②保湿
③歯磨き
④舌・粘膜の清掃
⑤清拭
⑥保湿

高齢者の口の中は乾燥しやすいです。はじめに保湿を施すことで、ケア時の痛みの軽減や汚れを浮かせることが可能です。

口腔ケアの種類と方法

口腔ケアの種類と方法について紹介します。

うがい・清拭

・うがいできる方はブクブクうがいしてもらう
・うがいがむずかしい方は、口腔ケア用ウェットシートで歯や粘膜についた痰や食べかすを除去する

歯磨き

・ペングリップで持つ
・1本ずつ磨くようにブラシをやさしく動かす
・後ろから前の順番で磨く
・ブラシの汚れはこまめにふき取りする

※誤嚥しやすい利用者の場合は、ブラシの水気をよく取ってから磨く。
※歯磨き粉は口腔乾燥を助長する恐れがあるため、うがいができない利用者の場合は最後によくふき取る。

舌・粘膜の清掃

・頬、口蓋、唇の裏側、舌などの粘膜を柔らかいスポンジブラシを利用して清掃する
・スポンジブラシを水で湿らせて水気を取る
(誤嚥しやすい、うがいができない方のときは水気を完全に絞る)
・奥から手前に向かってブラシをやさしく動かす
・舌の汚れ(舌苔)を一回で取り切ろうとすると痛みが出る場合があるため、複数回に分けて優しく磨く

※舌は舌ブラシでも可。
※手前から奥にブラシを動かすと細菌を飲み込ませてしまう恐れがあるため、注意する。

保湿

・口腔内を水で湿らせる。
・乾燥がひどい場合は、指かスポンジブラシで保湿剤を薄くまんべんなく口の中の粘膜に塗る。

※ケアの最初と最後に行う。

口腔体操・嚥下訓練

体操や訓練によって、嚥下機能を鍛えたり、唾液の分泌を促すことが可能です。特に食事前に行うことで、むせたり、口に物が残りやすいといった症状が軽減できます。

パタカラ体操

誤嚥を防ぐための、舌や口の筋肉の体操です。「パ・タ・カ・ラ」でそれぞれ発音するときに使われる筋肉は、食べたり飲み込んだりするときにも使用されます。

唾液腺マッサージ

唾液腺をマッサージすることで唾液の分泌を促します。唾液がたくさん作られる大きな唾液腺は口の中に3か所存在します。刺激すると唾液が増えるため、口腔乾燥が強い方には食事前にマッサージすることをおすすめします。

マッサージ方法
耳下腺マッサージ耳たぶの少し手前のあたりを指4本でやさしくクルクルと押す。
顎下腺マッサージ顎の骨の内側を顎の下からみみの方にかけて、ゆっくり親指で押していく。
舌下腺マッサージ顎の先のとがった部分の内側を下顎から舌を押し上げるようにして、親指でぐっと押す。

※それぞれ5~10回程度行う

口腔衛生のために口腔ケアで見るべきポイント

利用者の中には自分の意思を上手く伝えられない方もいます。そのため、口腔ケアの際には利用者の口腔内に問題がないか、ケアスタッフがよく観察する必要があります。
特に、次の4つのポイントについて確認するようにしましょう。

歯の本数が減ってないか

むし歯や歯周病によっていつの間にか歯が無くなっているケースがあります。歯の本数が変わることで、食形態の変更が必要になったり、入れ歯が合わなくなることもあります。歯の本数が以前と変わりないか確認するようにしましょう。

口の中に傷はないか

口の中が傷ついていないか確認しましょう。入れ歯が合わないことで傷になっていたり、歯が当たって粘膜が傷ついていたりする場合があります。食事の量が減ったり、入れ歯を外す時間が増えた利用者は、口の中も気を付けて観察するようにしましょう。

食物残渣が前より増えていないか

口の中の食べかすが以前より増えていないか観察します。食べかすが増えている場合、摂食・嚥下機能が落ちている恐れがあります。歯科やリハビリスタッフと連携を取って、機能低下がないか調べてもらいましょう。

入れ歯を外したがらないか

入れ歯をつけたがらない場合は、口の中に何らかの原因がある可能性が高いです。入れ歯が合わなくて傷になっている、乾燥していて擦れるなど、不快感から外している場合も多いでしょう。入れ歯は長期間外しているとさらに口に合わなくなってしまう場合があります。入れ歯をよく外してしまう利用者には話を聞いて、必要があれば歯科受診を促しましょう。

まとめ

この記事のポイントは次の3つです。

【この記事のポイント】
・口腔ケアは全身の健康を守る
・口腔ケアは短時間でスムーズに
・口腔ケアの際には口の中にトラブルがないかも確認する

口腔ケアは、口の中をきれいにすることにとどまらず、誤嚥性肺炎をはじめとする全身疾患の予防や摂食嚥下機能の向上などにも効果があります。口腔ケアから利用者の健康を支えていきましょう。

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