介護現場で行われるケアカンファレンスについて

新人介護士はケアカンファレンスの場面で「一体どんなことをするの？」と戸惑いがち。ケアカンファレンスとは、介護職員やケアマネジャー、看護師、機能訓練指導員など、多職種で利用者に提供する介護サービスについて意見交換を行う場面のことです。
この記事では、ケアカンファレンスの目的や役割、参加する際に重要なポイントをご紹介します。

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介護現場のケアカンファレンスとは？

介護現場で行われる「ケアカンファレンス」とは、利用者の方々によりよい介護サービスを提供するための会議のことです。
ケアカンファレンスでは、介護職員だけでなくケアマネジャーや看護師など、介護サービス提供に関わる多職種が集まり、以下のテーマについて話し合いを行います。

・利用者やご家族が抱える生活上の悩みや問題に対する改善方法
・利用者とご家族の意見が異なる場合に、双方が納得できるケア方法の提案
・新人職員もしくは異動してきたばかりの介護職員に、介護に関する知識を与える

ケアカンファレンスは、各介護施設によって実施頻度や行われる時間が異なります。また、「よりよい介護サービスの提供のため」や「利用者の困り事を解決するため」、「介護職員の知識研鑽のため」など、行われる目的も施設によって様々です。

「ケアカンファレンス」と「サービス担当者会議」は違う？

ケアカンファレンスと類似したものとして、サービス担当者会議というものがあります。
ケアカンファレンスとサービス担当者会議では、それぞれの実施義務や目的、参加者などに違いがあります。

ケアカンファレンスの目的・役割

ケアカンファレンスの主な目的・役割は「介護サービスの質向上」「利用者やご家族が抱える困り事を解決する」「介護職員の知識研鑽」の3つです。
ケアカンファレンスには具体的にどのような目的や役割があるのか、掘り下げて解説します。

介護サービスの質向上

・利用者が転倒し、骨折や皮膚剥離などの怪我を負った
・利用者同士が喧嘩になり、暴言や暴力などのトラブルが起きた
・要介護度が高い利用者が入浴中に意識消失を起こした

このように、実際の介護現場で起こったトラブルに対する改善点について話し合います。
課題や問題に対する改善案の検討により、介護サービスの質が向上します。

利用者やご家族が抱える困り事を解決する

・高齢による咀嚼、嚥下機能の低下で食事の際にむせ込むことに悩んでいる
・夜中にトイレで何度も目が覚めることがあり、落ち着いて眠れない
・ご家族が持参するお菓子の食べ過ぎにより、肥満に悩んでいる

このような利用者やご家族が抱える悩み・困り事への解決策を考えます。
多職種間で利用者やご家族の情報を共有することで、様々な困り事への対応を模索します。

介護職員の知識研鑽

・体重80キロの男性利用者の移乗方法が分からず、戸惑っている
・認知症利用者の不穏症状、徘徊への対応が分からない

このような悩みを抱える新人介護職員に対し、多職種で意見交換を行います。
ケアカンファレンスは介護の仕事の経験が浅い介護職の学びの場としても活用されます。

ケアカンファレンス実施の際の注意点

ケアカンファレンスでは、利用者によりよい介護サービスを提供するために利用者やご家族の情報を多職種間で共有します。
そのため、ケアカンファレンスには個人情報の扱いを中心に、いくつかの注意点があります。ケアカンファレンスに参加する際は、以下の注意点に配慮しましょう。

守秘義務を厳守する

ケアカンファレンスでは、利用者一人ひとりの介護ニーズに対応するため、利用者やそのご家族の情報を多職種間で共有します。
ケアカンファレンスで取り扱う内容には、利用者やご家族の個人情報が多く含まれています。そのため、参加者は全員、「守秘義務」を厳守することが当然のルールです。
ケアカンファレンスで知り得た情報を、SNSやネット上に発信することはご法度です。
個人情報流出が発覚した場合、解雇や懲役刑、罰金などの処罰が下されるケースもあります。ケアカンファレンスで取り扱う個人情報は厳重に扱いましょう。

聞き漏らしがないよう、しっかりとメモをとる

ケアカンファレンスでは、今後の介護サービスの提供方法や利用者への対応についてなど、仕事上欠かすことができない大切な情報を多く共有します。そのため、ただ参加しているだけでは、それらの情報を把握することができません。
ケアカンファレンスで議題となったことから、小さな注意事項まで、全ての情報を把握するためにメモをしっかりとることが大切です。
もし、ケアカンファレンスで聞き逃したことがあっち場合、上司や同僚などに確認を行わなければなりません。
ケアカンファレンスで得た情報や学びを仕事に反映するためにも、メモをしっかりとって見返し、自分自身の頭に情報をインプットすることが重要になります。

立場・役職関係なく自分の意見をしっかり伝える

ケアカンファレンスでは、新人介護職員・ベテラン介護職員・看護主任など、立場に関係なく自分の意見をしっかり伝えることが大切です。
新人だからと意見を出し渋っていては、意見交換ができなくなってしまいます。
業務上困っていることや、利用者との接し方で戸惑っていることなど、自分自身の困り事や改善を必要とする意見を伝えても構いません。
ケアカンファレンスでは、ケアマネジャーや看護師などの多職種の意見を取り入れつつ、参加したスタッフ一人ひとりが自分の意見を発信することが重要になります。

ケアカンファレンスに参加する時のポイント

ケアカンファレンスにただ参加するだけでは、有意義な情報共有を行うことができません。
しっかりメモをとることはもちろん、自分の意見をしっかり伝えることが大切です。
自分の意見を多職種間で共有するためには、事前の準備も欠かせません。
事前準備や参加中のポイントを押さえ、有意義な情報共有を行いましょう。

ケアカンファレンス参加前の事前準備

ケアカンファレンスでは、役職や立場関係なく、利用者の様子で気になる点や業務における困り事をしっかり伝えることが重要になります。
そのため、ケアカンファレンス実施前は、以下のような事前準備を行いましょう。

・利用者の心身状態や数か月～数週間単位の変化を詳しく観察しておく
・利用者の様子で気になる点や業務上での困り事をメモにまとめておく

これらの事前準備をしておくと、ケアカンファレンスでの意見発信がスムーズにできます。

ケアカンファレンス参加中に意識するポイント

ケアカンファレンス参加中は、自分の介護スキルを豊かにするためにも、取り上げられた議題や多職種の意見をしっかりメモすることが大切です。
具体的には、以下の点を意識しながらメモをとるようにしましょう。

・自分の担当外の利用者の心身状態にも注目し、情報を把握する
・他の職員の意見を聞き、思ったことや感じたことをメモに残す

他の職員の意見や担当外の利用者の情報を把握することで、自分自身の業務上の課題点や改善点に気づきやすくなります。

ケアカンファレンスの実施頻度

ケアカンファレンスは、よりよい介護サービスを提供するために、介護職・ケアマネジャー・看護師などが集まり、行われる会議のことです。
ケアカンファレンスに類似したものとして、サービス担当者会議があります。
サービス担当者会議は、利用者のケアプラン作成や要介護認定の判定を目的として、ケアマネジャーを中心に行われる会議です。
サービス担当者会議は厚生労働省により、実施義務が定められています。しかし、ケアカンファレンスは実施義務に関する決まりが定められていません。
ケアカンファレンスは各介護施設で自主的かつ自由なタイミングで行われます。そのため、ケアカンファレンスの実施頻度は、勤め先の介護施設に確認するようにしましょう。

まとめ　ケアカンファレンスの実施でよりよい介護サービスの提供を

ケアカンファレンスは、利用者個々の困り事や介護ニーズに応じたよりよい介護サービスを提供するために行われます。
また、ケアマネジャーや看護師など、多職種の意見を聞ける貴重な場でもあります。
ケアカンファレンスでは、介護職員が日頃の業務で感じている困り事を解決することや、介護職員としてのスキルや知識を磨くことも可能です。
「介護サービスの質向上」「介護職員の自己成長」のために行われるケアカンファレンス。積極的に参加することで、介護職員としてのスキルアップが実現します。

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