軽費老人ホームをご存じでしょうか。「老人ホーム」の名称を用いていますが、特別養護老人ホームとはかなり性格が違います。根拠法も介護保険法ではなく、老人福祉法になります。「施設に入居が必要だけど、介護度がついてないから特養は無理」「もっと身体が弱くならないと、施設入居は無理なのかな」と、悩んでいませんか。高齢者になると一人で暮らしていくのは、非常に大変です。また、高齢者を支える方の負担も、相当な物でしょう。
この記事では、要介護状態でなくても入居可能な軽費老人ホームについて解説します。最後まで目を通せば、軽費老人ホームについて、その費用やメリット・デメリットなどがわかります。本記事を参考に、ピッタリの施設を探しましょう。ぜひ、最後までご覧ください。
軽費老人ホームとは
軽費老人ホームとは、60歳以上の高齢者で、一人で生活するのが難しい方を対象とした施設です。軽費老人ホームでは、食事の提供やそのほかの日常生活で必要なものを、準備してくれます。
※参考: e-Gov ポータル「老人福祉法第20条第6項」
軽費老人ホームは介護保険上、居宅と同じ扱いになります。そのため、施設内に居住していても、介護サービス事業者と個別に契約すれば、介護サービスの利用が可能です。
※参考: e-Gov ポータル「介護保険法第8条第2項」
軽費老人ホームには、A型、B型、C型と呼ばれるものがあり、C型は一般にケアハウスと呼ばれているものです。軽費老人ホームのA型・ B 型は、今後建設の予定がないため、これからは C 型(ケアハウス)が中心になってきます。
軽費老人ホームの種類
軽費老人ホームにはいろいろ種類があり、それぞれ提供するサービスが違います。食事サービスや介護サービスの有無など、種類によって変わります。細かい違いは以下の表を参考にしてください。
【特徴】
・A型:低所得高齢者のため住居
・B型:自炊ができる低所得高齢者のための住居
・C型(一般型):低所得高齢者のための住居
・C型(介護型):日常的に介護サービスが必要な低所得高齢者のための住居
・都市型:都市部に住む低所得高齢者のための住居
【対象者】
・A型:一人で生活するのが不安と認められる方
・B型:身体機能などの低下がある方または一人で生活するのが不安と認められる方
・C型(一般型):身体機能の低下などにより一人で生活するのが不安と認められる方で、かつ家族の援助が期待できない方
・C型(介護型):要支援・要介護状態の高齢者
・都市型:都市部にすむケアハウス対象者を想定
【食事の提供】
・A型:あり
・B型:なし
・C型(一般型):なし
・C型(介護型):あり
・都市型:あり
軽費老人ホームA型
軽費老人ホームA型では、食事サービスや洗濯、掃除などの生活支援や緊急時の対応などのサービスを提供します。自炊が難しくなってきて、洗濯や掃除などの日常生活に部分的な援助を必要とする方が対象です。基本的に要介護認定を受けたら、退去しなければなりません。施設によっては、本人と契約した外部の介護事業者が介護サービスを提供して、入居を継続できる場合もあります。
軽費老人ホームB型
軽費老人ホームB型では、食事サービスの提供がありません。そのため、自炊できる方を対象としています。食事のサービスはありませんが、洗濯や掃除等の日常生活支援があるほか、緊急時にも対応してくれます。要介護認定を受ければ、退去しなければならないのは軽費老人ホームA型と同様です。また施設によっては、本人と契約した外部の介護事業者による介護サービスの提供があれば、入居を継続できる点も同様です。
軽費老人ホームC型(一般形)
老人ホームC型は、一般的にケアハウスと呼ばれています。ケアハウスの一般形は、形態としてはA型に近いといえるでしょう。食事サービスや洗濯、掃除などの日常生活支援サービスを提供し、緊急時の対応サービスがあります。ケアハウス(一般形)も、要介護認定を受ければ退去しなければなりません。しかし、本人と契約した外部の介護事業者が介護サービスを提供すれば、入居継続が可能となる施設もあります。
軽費老人ホームC型(介護型)
軽費老人ホームC型(介護型)は、軽費老人ホームC型で、特定施設入所者生活介護の指定を受けている施設です。ケアハウスC型(介護型)ともよばれます。ケアハウスC型(介護型)では、食事・入浴・排泄の三大介助を受けられるのが特徴です。また24時間体制で介護サービスが提供され、介護職員や看護職員などが配置されている点でも、ほかの軽費老人ホームとは違います。入居対象者は65歳以上で、要介護1以上の方になります。ほかの軽費老人ホームとは違い、ケアハウスC型は介護度が重くなっても、入居の継続が可能です。
都市型軽費老人ホーム
都市部ではどうしても人件費や物価が高くなり、軽費老人ホームの利用料も高くなります。そのため、低所得の方でも入居できる施設を目的として、都市型軽費老人ホームが設立されました。都市部でも安い費用で利用できるように、従来の軽費老人と比べて居住面積が狭く、職員の人員配置も緩和されているのが特徴です。都市部に住む、ケアハウスの対象者を想定しています。
気になる軽費老人ホームの利用料はどれくらい?
軽費老人ホームの基本料は、サービス提供に要する費用と生活費の合計です。それぞれの目安は以下の表を参考にしてください。
【利用者負担額】
・A型:おおむね6.5万円~15万円
・B型:おおむね4万円程度
・C型(一般型):おおむね9万円~15万円
・C型(介護型):各施設・要介護による
・都市型:おおむね9万円~15万円
介護保険サービスを利用する場合は、その費用(自己負担分)も必要になります。それぞれの単価は自治体や施設によって違うため、気になる方は希望する施設に問い合わせましょう。軽費老人ホームA・B型は、月額利用料のみ(施設によっては最初に保証金を求めるところもある)ですが、ケアハウスは月額利用料とは別に初期費用がかかります。ケアハウスにかかる初期費用について、自立型では不動産を借りるさいの敷金と同じ意味合いです。また、介護型においては、家賃および管理費の前払い金になります。初期費用は施設によって差があり、0円のところもあれば40万円を越すところもあるようです。
軽費老人ホームのメリット
軽費老人ホームはその名が示す通り、利用料を抑えた設定になっています。しかし、それ以外にも軽費老人ホームには、メリットがあります。
ここからは、軽費老人ホームのメリットを見ていきましょう。
・低価格で利用できる
・自分のペースで行動できる
・介護度が高くなっても継続して入居できる
低価格で利用できる
軽費老人ホームの最大のメリットは、なんといっても利用料の安さです。生活支援を受けられる入居施設は、ほかにもいろいろあります。しかし、いずれも利用料は高額になってしまうでしょう。その点軽費老人ホームでは、低所得者でも利用できるように配慮されているので、安い利用料金で手厚いサービスが受けられます。
自分のペースで行動できる
軽費老人ホームには、決まったスケジュールがありません。そのため、ある程度自分のペースで行動できます。ほかの介護保険施設では、食事や入浴などはスケジュールに沿って行われます。仕方ないのですが、職員の都合によって業務の時間が決まるのがほとんどです。
一方、軽費老人ホームでは、好きな時間に食事や入浴ができます。自宅で生活しているのと同じ感覚で過ごせるのは、大きなメリットでしょう。また、相部屋ではなく原則として個室が提供されるのも、プライバシーが守られてうれしいポイントです。
介護度が高くなっても継続して入居できる
介護度が上がりそうな場合でも、介護型のケアハウスなら心配ありません。介護型のケアハウスなら、介護度が上がってもそのまま居住できます。施設内で介護サービスも提供されるため、退去の心配がいりません。心身の機能が衰えてから入居施設を探すのは、大変なものです。介護度が上がりそうな場合は、初めから介護型のケアハウスを選びましょう。
軽費老人ホームのデメリット
料金が安く、自由度も高いケアハウスですが、メリットばかりではありません。ここからは、ケアハウスのデメリットにも目を向けていきます。入居を決める前に、どのようなデメリットがあるのか把握しておきましょう。
・入居がむずかしい
・介護度が上がると退去しなければならない
・共同生活が苦手な人には向かない
入居がむずかしい
軽費老人ホームの最大のデメリットは、入居の難しさにあります。低料金で利用できるため、どこの施設でも入居希望が殺到しています。申し込んでもすぐに入居できるのはまれで、ほとんどの方は空きが出るまで一定期間待たなくてはなりません。期間は早くても一か月、長いと一年以上になるところもあるでしょう。緊急性が高くすぐにでも施設入居が必要な場合は、そのほかの施設(特養や民間の有料施設など)も検討してください。
介護型以外は介護度が上がると退去しなければならない
軽費老人ホームのメリットとして「介護度が高くなっても継続して入居できる」と伝えましたが、それはケアハウス(介護型)についてです。一般型の場合は、基本的に退去を求められます。ケアハウス(介護型)以外の軽費老人ホームは、介護サービスを提供していません。自立している方や、介護が必要でも要介護2以下の方が対象です。入居後に要介護が3以上に変更された場合、入居を継続できません。本人が契約した外部の介護事業所から介護ケアを受けて、入居を継続できる場合もあります。しかしそれだけでは対応しきれなくなると、入居の継続は難しいでしょう。
共同生活が苦手な人には向かない
軽費老人ホームは、共同生活が基本です。そのため人との交流が苦手な方には、向かないかもしれません。特に60歳台で入居した場合だと、ほかの入居者と一回り以上も年が離れています。世代の違う方とのコミュニケーションに、難しさを感じる方も多いでしょう。個室でプライバシーが保たれているとはいえ、レクリエーションや入居者同士の交流も豊富です。そのため、コミュニケーションが苦手で共同生活に慣れていない方には、軽費老人ホームは向いていないかもしれません。
軽費老人ホームに入所するには
軽費老人ホームに入居するには、本人と軽費老人ホームが契約します。入居したい軽費老人ホームの窓口へ出向くか、電話で照会しましょう。直接申し込みを行うのが難しい場合は、お住いの自治体や地域包括センターに相談してみましょう。自治体や保険者・地域包括支援センターの紹介があれば、柔軟な対応が期待できます。例えば、保護観察所の退院許可者の受け入れや、精神科医療施設からの受け入れにも対応している施設もあります。どのような施設が相応しいかを見極め、施設を選んでくれるでしょう。近くにどのような施設があるかわからない場合は、お住いの自治体や地域包括支援センターに相談してみましょう。
軽費老人ホームも選択肢にいれよう!【まとめ】
軽費老人ホームはその名が示すように、料金が抑えられた施設です。ある程度身の回りのことを、自分でできる方を対象にしています。介護が必要な方向けには、ケアハウス(介護型)があります。軽費老人ホームはほかの施設(特養など)と違い、決まったスケジュールがありません。好きな時に食事や入浴ができ、さながら自分の家にいるような自由を味わえます。入居施設といえば、特養や有料老人ホームを思い浮かべます。しかし、自立度が高く人との交流が好きな方には、軽費老人ホームはピッタリです。施設入居を検討している方は、ぜひ選択肢に加えましょう。まずは近くにどのような施設があるのか、調べてみましょう。
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