介護のスキルアップ

正しい移動・移乗介助の手順とボディメカニクスの基礎とは?

高齢者が日常生活を送る上で欠かせない「移動・移乗」の動作。移動では介護職が歩行補助や車椅子を押すなどのサポートを行い、移乗ではベッドと車椅子間を移動する動作をサポートします。「移動・移乗介助」を安全に行う手順やボディメカニクスについて解説します。

安全に移動・移乗介助を行うコツ

移動・移乗介助が必要な高齢者の多くは、脳血管障害の後遺症による片麻痺や高齢による筋力低下などで杖や車椅子を使用している方が大半です。そのため、それぞれの疾病や身体状態に応じた注意点や介助ポイントを理解する必要があります。
しかし、基本的な介助の注意点やポイントを理解していなければ、応用が利きません。まず、高齢者の移動・移乗介助の基本として、動作のプロセスを考えることが大切です。自分自身が高齢者の立場になって、どのように動けばスムーズに椅子からの立ち上がりや歩行ができるのかを考えてみることが安全な移動・移乗介助を行うための第一歩です。

安全に移動・移乗介助を行うコツ

一本杖(T字杖)を使用している方の歩行介助を行う前に、以下のポイントを確認しましょう。

・転倒防止のため、杖先のゴムがすり減っていないか確認する
・介助を受ける人が動きやすい衣服と滑りにくい靴を着用しているか確認する
・その日の体調により杖歩行が困難な場合、無理して杖歩行せず車椅子を使用する

上記のポイントをしっかり確認したら、以下の手順で歩行介助を行います。

1.杖は麻痺や骨折などがない健側で持ってもらうよう促します。
2.介助者は杖と反対側に立ち、双方の足がぶつからないよう、
 高齢者が右足を出したら同じように右足を出して歩きましょう。
3.「杖→患側の足→健側の足」の順番で歩くよう、適宜声かけを行います。

杖を使用して階段を昇降する場合は?

杖に階段の段差が引っかかって転倒してしまうリスクがあるため、手すりがある場合は、介助者が杖を預かって手すりを使用します。
1.階段を上る時
介助者は患側の斜め後方で高齢者を支えます。
「杖を一段上に出す→健側の足を一段上げる→患側の足を引き上げる」
という順番で歩くよう、適宜声かけを行いましょう。

2.階段を下る時
介助者は患側の斜め前方で一段先に降りながら、高齢者を支えます。
「杖を一段下に出す→患側の足を一段下ろす→健側の足を揃える」
という順番で歩くよう、適宜声かけを行いましょう。

片麻痺の方の移動介助

片麻痺がある方の杖歩行の介助では、介助者は必ず患側に立ってサポートを行います。介助を受ける方には杖を健側に持ってもらいましよう。車椅子の移動介助では、患側の腕が車椅子の後輪に擦れていないか適宜確認しましょう。患側には痛覚がないため、皮膚剥離を起こす可能性があります。
また、片麻痺の場合、移動介助のみならず、移乗介助にも配慮や注意が必要です。ベッドと車椅子間・車椅子とトイレ間での移乗介助の際は、必ず健側から移るようにしましょう。麻痺側から移乗を行うと、姿勢が崩れて転倒しやすくなります。片麻痺の方の移乗介助では「L字手すり」のベッド柵に変更することもオススメです。

車椅子の方の移動介助

車椅子の方の移動介助では、正しい車椅子の使い方を理解していることが大前提となります。車椅子での移動介助中は、以下の点に注意して車椅子の操作を行いましょう。

1.座面の確認
使用している座布団により、車椅子の座面が滑りやすくなっていないか確認しましょう。
また、車椅子での移動介助中に姿勢がずり落ちてしまった場合、途中で車椅子を止めて引き上げる必
要があります。滑り止めマットを使用するなど、座面が滑らない工夫も必要です。

2.ブレーキの確認
車椅子での移動介助中、車椅子から離れる時はブレーキをしっかりかけましょう。
ブレーキの効きが悪くなっている場合、空気圧の調整が必要です。

3.フットレストの確認
車椅子から立ち上がる際、フットレストを下げたままにすると、車椅子ごと前に倒れてしまいます。
フットレストがきちんと上がっていないと、足をぶつけて皮膚剥離を起こすリスクもあります。

車椅子の準備・使用の注意点

日頃車椅子を使用している人にとって、食事やトイレ、お風呂などの様々な生活動作を行う上で
車椅子は必要不可欠です。
車椅子での移動・移乗介助を行う際は、車椅子の準備や使用上の注意点を正しく理解しましょう。

1.転倒・ずり落ちに注意する
高齢者の車椅子への移乗では、めまいによって急に転倒や膝折れを起こすリスクがあります。
また、車椅子に座っている時に姿勢が崩れ、滑り落ちることも考えられます。
移動・移乗介助中は、常に高齢者の様子観察をしっかり行いましょう。

2.皮膚剥離に注意する
車椅子の移動・移乗介助では、フットレストに足が当たったり、車椅子の後輪に肘や腕が擦れて内出血や皮膚剥離を起こすことがあります。
高齢者の皮膚はデリケートなため、車椅子の使用時は注意が必要です。

3.ズボンの食い込みに注意する
車椅子への移乗介助や座り直しの際、介助者がズボンを引っ張り上げることがあります。
その際にズボンが食い込んでしまい、不快感を感じた高齢者が立ち上がってズボンを直そうとして転倒してしまうリスクがあります。
不快感が残らないよう、介助後はしっかり確認しましょう。

ベッドと車椅子間の移乗介助

車椅子での移動介助に欠かせないのが、ベッドから車椅子への移乗介助です。
片麻痺の方がベッド上での端座位から、車椅子へ移乗する手順をご紹介します。

1.麻痺や骨折などのない健側のベッド脇に車椅子を15~30度の角度で斜め置きする。
2.フットレストが上がり、ブレーキがかかっているか確認する。
3.車椅子の座面とベッドが水平になるように調節する。
4.ベッドに浅く腰かけてもらい、患側の臀部を介助者の腕で手前に引き出す。
5.健側の手で介助者の肩を握ってもらい、双方の重心を近づける。
6.介助を受ける方の上半身を前屈させながら、タイミングを合わせて立ち上がる。
7.健側の足を軸にして方向転換し、車椅子にゆっくりと座る。
8.フットサポートを下ろし、介助を受ける方の両足を乗せる。

「ボディメカニクスの8原則」とは?

1.利用者の身体を小さくまとめる
同じ重さのものでも、面積が小さいほど軽く感じます。
利用者の腕を胸の前で組んだり、足を立てたりしてコンパクトにすると楽に移乗できます。

2.利用者との重心を近づける
物を運ぶ際、自分の身体に近づけて持つと同じものでも軽く感じます。
利用者との距離を詰めてから持ち上げることで、介助者の身体の重心が安定します。

3.支持基底面積を広くする
支持基底面積は、重心を安定させるために足を開いた時の面積です。
面積が広いほど身体が安定するため、移乗の際は左右前後に足を広げましょう。

4.重心を低くする
重心が高いと腰に強く負担がかかってしまい、ぎっくり腰を起こしやすくなります。
なるべく腰を落として移乗介助を行うと、腰痛が予防できます。

5.大きな筋群を使う
手首や腕の部分的な筋肉だけで移乗介助をすると、手や腕を痛めてしまいます。
背中や太ももなどの大きい筋肉を使い、大きな力で利用者を支えましょう。

6.水平に移動させる
無理に利用者を持ち上げようとすると、腰に負担がかかってしまいます。
利用者の身体を真横にスライドするように移乗しましょう。

7.身体をひねらない
移乗時に腰から身体をねじると、姿勢が不安定になって腰痛を起こしてしまいます。
肩と腰を平行のまま動かせるよう、介助者がやり易い位置に車椅子を設置しましょう。

8.テコの原理を使う
利用者の肘や膝を支点にして、テコの原理で利用者を寝た状態から起こしましょう。
小さな力で利用者の身体を起こし、車椅子へ移すことができます。

まとめ 身体の負担を軽減し、無理なく安全に

日頃車椅子を使用している高齢者にとって、移動・移乗介助は日常茶飯事です。しかし、間違った手順で介助を行うと、介助される側は大きな不安や苦痛を感じます。日々の生活に必要不可欠な介助だからこそ、苦痛や負担は無くしたいものです。
また、介助者の腰痛予防や身体への負担軽減のためにも、正しい介助方法を理解しましょう。福祉用具やリフトの活用も積極的に行い、無理をしないことも大切です

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