「接遇」と聞くと、百貨店や旅館でおもてなしをして、お客さんに喜んでもらうことをイメージしませんか?
「接遇」は介護現場にも必要な技術です。介護は利用者さんの日常生活の援助なのに、「なぜおもてなしする必要があるの?」と疑問に思いますよね。
介護現場と百貨店や旅館での接遇の意味合いはややニュアンスが異なります。本記事では「介護現場における接遇」について解説します。
接遇とは
接遇とは、相手を理解して適切な対応をする、思いやりを持って行動をとることです。
接遇と聞くと、販売などの「接客」を連想してしまう方が多いのではないでしょうか。接客とはお客さまに対して、お会計や商品の案内など必要最低限の対応をすることです。
それに対して、接遇は相手の状況や気持ちを理解して対応していきます。接客は「対応する」という意味合いが強く、接遇は「思いやる・おもてなし」といった意味が強くなります。
では、なぜ介護業界で「接遇」が必要なのでしょうか。次の章では、なぜ介護業界で接遇が必要なのかご紹介します。
介護現場でなぜ接遇が必要なのか
介護現場で接遇が必要な理由は6つあります。
①利用者やご家族との信頼関係を築くため
②利用者の尊厳を守るため
③職場の雰囲気をよくするため
④よりよいサービスで他の施設のと差別化を図るため
⑤仕事の効率があがるため
⑥自分自身のスキルアップのため
それぞれ具体的にご紹介します
利用者やご家族との信頼関係を築くため
接遇マナーを守り対応することで、利用者やご家族の信頼関係が築きやすくなります。
介護技術があっても態度や言葉遣いが悪いと、利用者やご家族が不信感を抱き介護拒否や事故のリスクが高まります。介護は信頼関係が一番大切なので、接遇マナーが重要です。
利用者の尊厳を守るため
介護現場では、利用者の尊厳を守りケアを行うことが大切です。
尊厳とは、すべての国民は個人として尊重されると日本国憲法第13条で述べています。
人が生まれながらにして持っている権利で、介護が必要になっても尊厳は保持される必要があります。そのためには介護を提供する側も誠意を持って対応する必要があり、接遇マナーが大切なのです。
職場の雰囲気がよくなるため
接遇は利用者やご家族だけでなく、スタッフ間でも意識するとコミュニケーションがスムーズになり雰囲気がよくなります。雰囲気がいいと連携が取りやすくなり、利用者やご家族に質の高いサービスが提供できます。
よりいサービスを心掛け、他の施設との差別化を図るため
利用者やご家族に施設の利用をしてもらうためには、サービス内容や設備も重要ですが、大きな決め手になるのはスタッフの対応です。なので接遇を強化することで、他の施設と差別化が図れ、施設のサービス利用に繋がります。
仕事の効率がよくなるため
利用者やご家族、職員と信頼関係が築けていると、利用者が困りごとを相談しやすくなり、素早く適切な介護サービスの提供が可能です。また、ご家族や職員に頼み事をしたい時には、協力や了解を得やすくなり仕事効率が上がります。
自分自身のスキルアップになるため
接遇マナーは介護の基本となるので身に付けておくと、どこでも通用する介護職員になりやすいです。また、利用者やご家族の職員の信頼関係が築けていると、周りからの評価が高くなり、結果的にスキルアップに繋がります。
介護現場にとって接遇が必要なのは、利用者やご家族、職員の為でもありますが、自分自身にとって大きく帰ってきます。では接遇はどのように身に付ければいいのでしょうか。続いて「接遇マナーの5原則」について解説します。
介護の接遇マナ-5原則
接遇には「マナーの5原則」があり、内容は以下になります。
①挨拶・声掛け
②言葉遣い
③表情・笑顔
④態度
⑤身だしなみ
接遇の5原則を守ることでマナーが身に付くので覚えておくと便利です。
挨拶・声掛け
挨拶は介護現場だけでなく、人とのコミュニケーションの基本です。挨拶をきちんとするだけで印象は良くなります。
挨拶は元気よくといいますが、大きすぎる声では相手がびっくりしてしまうので、聞こえる程度ではっきりとしましょう。
挨拶の声がボソボソしている、元気がないなどは印象を悪くしてしまうので注意が必要です。挨拶は初回だけでなく、継続していくことが大切です。利用者やご家族と接する時は気持ちのいい挨拶を心掛けましょう。
言葉遣い
介護現場での言葉遣いは、堅苦しくなく馴れ馴れしくない言遣いが大切です。なぜなら、介護現場は利用者にとって、生活の場だからです。堅苦しいと距離感があり、慣れ慣れしと距離が近すぎて利用者に失礼になってしまいます。
ポイントとして基本的には敬語を使い、認知症の人など理解が難しい場合はジェスチャーを使いましょう。分かりやすい言葉を使うとより伝わりやすくなります。
表情・笑顔
人とのコミュニケーションは視覚が大きな割合を占めているので、表情はとても大切です。こちらが不安な顔や嫌な顔をしてしまうと、相手に伝わってしまいます。
基本的には笑顔で対応しますが、時には相手と同じ表情をして、共感している姿を見せることで安心感を与える時もあります。
態度
態度とは、相手への接し方・歩き方・立ち方・物の渡し方などの立ち振る舞いです。利用者やご家族への態度はきちんとしているが、歩き方や物の渡し方など雑にしてしまうと不快に感じて印象が悪くなってしまいます。
両手を添えて渡す、背筋をピンと伸ばすなど意識するだけで印象が変わり、声が掛けやすくなります。利用者やご家族は遠くから立ち振る舞いを見ているので一つ一つの動作を心掛けましょう。
身だしなみ
身だしなみは、髪型・メイク・手・爪・服装・においがあります。介護は人を相手にする仕事なので、メイクや髪型、服装など清潔感が大事です。
利用者に触れる場面が多いので爪が伸びていないかチェックが大切です。また、距離も近くなるので、香水をつけすぎないなどにおいも気を付けましょう。
続いては、接遇マナーを実施する際のポイントをご紹介します。
接遇マナーのポイント
接遇マナーを介護現場で活用するポイントは以下の3つです。
①相手の立場に立って物事を考える
②相手との視線を合わせる
③傾聴の姿勢を持つ
ここからは接遇マナーを介護現場で活用するポイントについて一つずつ解説します。
相手の立場に立って物事を考える
接遇マナーの5原則を基本に考えてその人にあったマナーを実施することが大切です。なので、相手の立場に立って物事を考えると、その人にあったマナーを実践できます。
接遇の意味は、「思いやり・おもてなし」の心です。相手の立場に立つということは「思いやりを持つ」ということになります。
相手との視線を合わせる
利用者は椅子や車いすに座っており、介助者は立っているという場合が多いので、しゃがんで目線を合わせることが大切です。
利用者が見上げる形になると見降ろされて、体型がいい人は恐怖感を与えてしまう可能性があります。利用者の目線に合わせて会話をすることを心掛けましょう。
傾聴の姿勢を持つ
傾聴とは話をただ聞くだけでなく、その人の思いを真摯な姿勢で聞くことです。その姿勢は利用者や家族、職員との信頼関係を生みます。ただ、忙しい介護職員にとっては負担に感じることも多いですが、聞く姿勢を持つことは大切です。利用者から声を掛けられたらなるべく耳を傾けましょう。
まとめ
接遇マナーは介護の基本であり、身に付けることで利用者のニーズの把握、信頼関係の構築ができ適切なサービスの提供ができます。利用者だけでなくご家族や職員との信頼関係の構築に繋がり、結果的に自分の評価があがるといういいこと尽くめです。介護現場で実践して、上手に活用していきましょう。
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