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安心・安全に歩行介助を行うには?歩行介助の手順や注意点について解説!

数ある介護業務の中で、基礎的であり行う場面が多いのが「歩行介助」です。加齢による足腰の衰えを抱える高齢者に、安心・安全な歩行介助を行うにはどうすればいいのか。歩行介助は正しい手順やポイント、注意点を理解することが重要になります。
この記事では、歩行介助の手順やポイント、注意点について解説します。

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高齢者の歩行介助とは?

多くの高齢者は加齢により足腰が衰え、歩行に介助を要するようになります。高齢者の「歩行介助」は、身体介護の中でも行う頻度が多く、要介護高齢者を支える介護職にとっては基礎的な介助でもあります。しかし、一口に「歩行介助」といっても、その種類は様々です。歩行が不安定な高齢者の「見守り」や「寄り添い」も歩行介助の一環です。
また、高齢者の両手をとりながら歩行を支える手引き歩行と、杖を使用している高齢者を支える歩行介助では、それぞれ介助方法が異なります。歩行介助では高齢者一人ひとりの状態に応じて、適切かつ臨機応変に行うことが求められます。

安心・安全に歩行介助を行うポイント

歩行介助の方法は、高齢者の歩行状態や使用する福祉用具によって異なります。高齢者の歩行状態や使用する福祉用具ごとの「歩行介助のポイント」を解説します。

【見守り】
・ただ見守るだけでなく、つまずいた時やふらついた時に素早く対応できるよう、高齢者の斜め後方から見守り介助を行う
・片麻痺がある場合、ふらついた時にすぐ支えられる麻痺側で見守る寄り添い
・介助者と高齢者が手を握る、もしくは介助者が高齢者の脇に手を入れ、上半身を支えながら歩行する
・杖を使用している場合や片麻痺がある場合、介助者は高齢者の杖を持っていない方もしくは麻痺がない方(健側)に立って支える

【手引き】
・手引き歩行では、高齢者と介助者が向き合った状態で歩行するため、介助者が後ろ向きで歩行できるよう、短距離かつ障害物などがない安全な場所で行うようにする
・介助者は自身の手または腕を高齢者に持ってもらい、高齢者のペースに合わせてゆっくり歩行介助を行う

【階段昇降時】
・片麻痺がある場合、ふらつきやすい麻痺側に立って歩行介助を行う
・杖や手すりを使用する場合、以下の順番で歩行するよう声かけを行う
①階段を上る場合→介助者は高齢者の「斜め後方」に立つ
「杖(手すり)」→「麻痺側の足(患側)」→「麻痺がない足(健側)」
②階段を降りる場合→介助者は高齢者の「斜め前方」に立つ
「杖(手すり)」→「麻痺がない足(健側)」→「麻痺側の足(患側)」

【杖歩行】
・杖を使用する際は、「杖を持つ方の肘が約30度に曲がっているか」「杖をつく位置が足のつま先から約15センチの場所か」を確認し、適切な杖の長さになるよう、調節を行う
・介助者は高齢者が杖を持っていない側に立ち、手を握るまたは脇の下を軽く支えながら歩行介助を行う
・歩行する際や階段を上る際は、以下の順番で歩行するよう声かけを行う「杖(手すり)」→「麻痺側の足(患側)」→「麻痺がない足(健側)」
・階段を降りる際は、以下の順番で歩行するよう声かけを行う「杖(手すり)」→「麻痺がない足(健側)」→「麻痺側の足(患側)」

【歩行器(キャスターなし)】
・キャスターなし歩行器を使用する際は、高齢者の肘が軽く曲がり、やや前傾姿勢になるような高さに調節する
・介助者は高齢者の斜め後方に立ち、見守りを行いながら、以下の順番で歩行するよう声かけを行う
「歩行器」→「麻痺側の足(患側)」→「麻痺がない足(健側)」

【歩行器(キャスター付き)】
・歩行器のキャスターが滑って転倒する可能性があるため、介助者は高齢者の腰をいつでも支えられる場所に立ち、見守りを行う

【シルバーカー)】
・シルバーカーを使用する際は、ハンドルの高さが身体に合っているかブレーキがしっかりかかるかなど、事前確認を行う
・高齢者がシルバーカーのブレーキをかけ忘れている場合は声かけを行う
・シルバーカーのキャスターが滑って転倒する可能性があるため、介助者は高齢者の腰をいつでも支えられる場所に立ち、見守りを行う

歩行介助の注意点

歩行介助を行う際は、以下の点に注意しながら介助を行いましょう。

①介助する場所・障害物の確認
・屋外の場合
屋外で歩行介助を行う場合は、雨や雪などで道路が滑りやすくなっていないか、車通りが多くないかなど、介助する場所の環境を確認しましよう。また、車道の近くを通る際は、介助者が車道側に立って見守りを行います。

・室内の場合
室内で歩行介助を行う場合は、電気コードや玄関マットなど、つまづいたり引っかかったりしやすい物がないかしっかり確認します。また、十分なスペースを確保できるよう、廊下や階段などには物を置かないことも重要です。

②服装・使用する福祉用具の確認
・服装
ズボンの丈が長かったり、ウエストのゴムが緩んでいたりすると、ズボンの裾を踏んでしまいます。また、スリッパやサンダルのようなかかとのない靴は脱げてしまったり滑ったりしてしまいます。転倒リスクが上がるため、体型に合った服装やサイズの合う滑りにくい靴を選びましょう。

・福祉用具
杖やキャスターなし歩行器は、先端のゴムが摩耗・劣化している場合があります。また、キャスター付き歩行器やシルバーカーはネジの緩み・タイヤのすり減り・フレームのゆがみが生じている場合もあります。使用する福祉用具に破損や劣化があると、バランスを崩しやすくなるのでしっかり確認しましょう。

③体調を適宜確認する
歩行介助では一気に長い距離を歩くことは避け、休憩をとりながら短い距離を歩行します。また、介助中は疲れやふらつきが生じていないか、しっかり観察や声かけを行いましょう。無理をせず休憩や水分補給をしながら、高齢者のペースに合わせて歩行介助を行います。

自立歩行の場合の歩行介助の手順

歩行に少しの不安定さやふらつきが見られるが、杖や歩行器などの福祉用具を使用せず、自立歩行している高齢者の歩行介助の手順をご紹介します。

①体調確認
発熱・気分不良・腰痛などの体調不良がないか。もしくは、気分が乗らない、身体がいつものように動かないなどの不調がないか。歩行介助を行うことを高齢者に説明し、体調の確認をしっかり行います。

②介助者のポジション・声かけ
歩行介助を行う際、介助者は高齢者の斜め後ろに立ち、ふらついた時にいつでも支えられるよう見守りを行います。また、高齢者の状態に応じて手を握ったり脇の下を持ったりして、身体を支えましょう。適宜体調確認や休憩・水分補給の声かけを行いながら、介助中も様子観察を徹底しましょう。

③歩行介助
高齢者の前後左右への重心の動き・歩幅・足の運びなどに合わせて介助者も一緒に動きます。また、相手の動きに合わせて「イチ・ニ、イチ・ニ」と声かけを行うと歩きやすくなります。介助者は高齢者の歩幅・歩調などのペースに合わせて歩行介助を行うようにしましょう。

歩行器を使用する場合の歩行介助の手順

歩行に不安定さやふらつきが多く見られ、杖や歩行器などの福祉用具を使用している高齢者の歩行介助の手順をご紹介します。

①体調確認・介助者のポジション
発熱・気分不良・腰痛などの体調不良がないか。もしくは、気分が乗らない、身体がいつものように動かないなどの不調がないか。歩行介助を行うことを高齢者に説明し、体調の確認をしっかり行います。また、歩行介助を行う際、介助者は高齢者が使用する福祉用具の妨げにならないよう、斜め後ろに立ち、ふらついた時にいつでも支えられるよう見守りを行います。

②歩行介助~杖歩行の場合~
片麻痺があり杖を使用している高齢者の場合、以下の手順で足を動かすよう声かけを行います。

・歩く際や階段を上る場合
「杖(手すり)」→「麻痺側の足(患側)」→「麻痺がない足(健側)」

・階段を降りる場合
「杖(手すり)」→「麻痺がない足(健側)」→「麻痺側の足(患側)」
また、階段を使用する際は介助者が杖を預かり、手すりを使用してもらうことで杖が階段に引っかかって転倒してしまうことを防げます。

③歩行介助~歩行器の場合~
歩行器を使用する場合も、杖と同様に以下の手順で足を動かすよう声かけを行います。
「杖(手すり)」→「麻痺側の足(患側)」→「麻痺がない足(健側)」
キャスター付きの場合もキャスターなしの場合も、歩行器を使用する際は、高齢者がふらついても支えられるよう斜め後ろの位置で見守りを行います。

まとめ 手順や注意点を把握し、安心・安全な介助を

歩行介助と一口に言っても、その種類や手順は様々です。高齢者の身体機能や使用している福祉用具によっても手順が異なる場合があります。基本的な介助方法を理解していれば、様々な状況に応じて臨機応変に対応できます。まずは基本的な介助の手順や注意点を把握し、安心・安全な歩行介助を行いましょう。

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