介護のスキルアップ

臥床に関する正しい知識は、高齢者も介護者も守る

臥床は「がしょう」と読み、人がベッドなどで横になった状態をいいます。臥床といっても、仰向けやうつ伏せ、横向きなどいくつか種類がありますので、それぞれの特徴について理解しておくことが重要です。
この記事では、様々な臥床の特徴や介助のポイントについて紹介します。
介護職員として正しい知識を身につけ、ご利用者への安楽なサポートはもちろん、介助する側の負担を少なくできるように役立ててみてください。

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臥床とは

臥床という用語は介護現場において、「臥床介助」「臥床状態」などとして使用されます。臥床に関する知識は、ベッド上で生活しているご利用者への体位交換や排泄介助はもちろん、休息や睡眠などにも必要です。
ベッドから起きる動作や寝たまま着替える際にも、まずは臥床介助から始まるので、介護の基本技術といっても過言ではありません。

臥床の種類

人が臥床した状態には、仰向けで寝る姿勢やうつ伏せで寝る姿勢など様々な種類があります。長時間同じ姿勢で臥床していると、褥瘡(床ずれ)が生じたり、筋力が低下したりするので、定期的に姿勢を変えるなど体位交換が必要になります。
この章では姿勢ごとの特徴や留意点について紹介します。

仰臥位

仰臥位は「ぎょうがい」と読み、仰向けで寝た状態をいいます。顔と腹部は天井を向いて足はまっすぐ伸ばした状態なのでエネルギー消費が少なく、人が休養できる基本姿勢となります。
ベッドが水平な状態で寝ると、呼吸がしにくい場合がありますので、枕で頭部を高くしたり、ベッドの角度をあげたりすると楽になります。
注意しなければならないのは、食事後すぐに仰臥位をとると食べ物が逆流したり、誤嚥性肺炎を起こしたりすることがあるという点です。

背殿位

背殿位は「はいでんい」と読み、仰臥位の状態で両ひざを曲げた姿勢をいいます。腰痛があるご利用者は、この姿勢をとることで腹部の緊張がゆるみ、腰への負担が軽減されます。
介護職員にとっても仰臥位に比べて体の重心が背中から臀部に集中するため、介助にかかる身体への負担を減らして体位交換や離床介助をおこなうことができます。

側臥位

側臥位は「そくがい」と読みます。体は仰臥位から90度横を向いた状態のことで、左右の区別をつけるために、右側臥位、左側臥位と表現することがあります。
体位交換で側臥位をとる際には、片方の腕が体の下敷きになることがあるので注意が必要です。腕に体重がかかってしまうと褥瘡ができるので、必ず腕を前方に引き出すようにしましょう。
仰臥位に比べて不安定な姿勢となるため、背中にクッションをあてたり、両腕でクッションを抱えてもらったりすると安定します。

半側臥位

半側臥位は「はんそくがい」と読み、仰臥位から45度ほど横を向いた状態となります。
ご利用者自身では取りづらい姿勢なので、背中やお尻にクッションをあてて体を支えるようにします。
半側臥位は体の背面に褥瘡や傷があり、患部に体圧がかからないように保護する目的で取られることが多い姿勢です。仙骨部や大転子部は仰臥位、側臥位で負担がかかり褥瘡ができやすい場所のため、患部への圧迫を防止できるメリットがあります。

屈曲側臥位

屈曲側臥位は「くっきょくそくがい」と読み、両ひざをかかえる胎児のような状態をいいます。
側臥位に比べて体の接地面が広くなり、バランスが保ちやすくなります。ご利用者も手足を抱え込むことで股関節や膝、腕を屈曲させる姿勢となるため、全身の緊張がゆるみリラックスしやすいのが屈曲側臥位の特徴です。
注意すべき点は、横向きの姿勢は首への負担がかかるため、枕を使用して首と背骨のラインをまっすぐにすることです。

伏臥位(腹臥位)

伏臥位は「ふくがい」と読み、うつ伏せで寝た状態のことをいいます。
首は左右自然な方を向き、上下肢のいずれかを曲げることでリラックス効果が高まります。高齢者の場合は、長い時間伏臥位でいると、気道圧迫による窒息や脊椎圧迫骨折のリスクが高いので注意が必要です。注意すべき点は、自分ひとりでは体位変換しにくい姿勢ということです。できるだけ短時間で姿勢を変えることがポイントとなります。

半腹臥位

半腹臥位は「はんふくがい」と読み、うつ伏せで寝た状態から片膝を曲げ、お尻を横にずらした状態をいいます。
うつ伏せで半身が抱き枕に覆いかぶさる姿勢となるので、片側の上下肢は屈曲した状態となります。いびきの改善や排痰の効果もあり、筋緊張がゆるんでリラックスできる姿勢ですが、長時間この姿勢でいると、下側になった肩や腰に体圧がかかるので注意しましょう。

臥床で行われる介助

臥床した状態でおこなう介助は様々ありますが、どの場合でもご利用者の体調管理や身体能力を把握したうえで介助することが基本です。
一つの動作ごとにご利用者へ声掛けをして、できる動作を活用しながら介助をおこなうことが、介護予防や自立支援につながります。
この章では主に起床介助、排泄介護、体位交換の3つに焦点を当て、それぞれの介助動作のポイントや留意点について紹介していきます。

起床介助

ベッドから離れて生活ができるご利用者には、起床介助をおこない離床を促しましょう。
ご利用者が仰向けで寝ている場合、仰臥位→背殿位→屈曲側臥位の順で起き上がる準備をします。食事を食べたりトイレに行ったりするために、起床介助は必要な介助動作です。座る姿勢がとれたら車いすへ移乗介助をおこなっていきます。
注意すべき点は、寝ている状態で急に上体を起こすと血圧が下がり貧血を起こすご利用者があるということです。介護職員は一つひとつの動作をゆっくり確認しながら、ご利用者の介助をおこないましょう。

排泄介助

ご利用者が全介助状態の場合、介護職員は臥床の状態で排泄介助やおむつ交換をしなければなりません。
たとえば、ベッド上で排泄介助をおこなう際は、臀部に尿器を差し込んだり、陰部洗浄やおむつを取り換えたりします。1回の排泄介助であっても介護職員にとっては体への負担がかかりますので、もしもご利用者が自分で腰を浮かせたり、側臥位になれたりするのであれば、協力してもらいましょう。

なお排泄介助は裸になることが多いので、ご利用者の自尊心やプライバシーなどには特に配慮が必要です。

体位交換

体位交換は着替えや起床介助のためだけでなく、寝たきりのご利用者に褥瘡が出来ないように予防する効果があります。
体位交換をおこなう際のポイントは、ご利用者の両腕を前に組み、両ひざを曲げ、体を丸めるように小さくすることです。そうすることによって、ご利用者の体はベッドとの接地面積が小さくなり、体の大きな方でも介助がしやすくなります。そして、寝返る方向にご利用者の顔を向けて重心を移すことで、介護職員は最小限の力で体位交換ができます。
注意すべき点は、体位交換前に枕の周辺に物が置かれていないか、向きを変えた時にサイドレールとの間隔が空いているかを確認しておくことです。あらかじめ周囲の安全確認をしたうえで介助することで、接触事故を防ぐことができます。

臥床状態がつづくデメリット

長期臥床や過度な安静がつづくと、廃用症候群を引き起こしてしまいます。とくに高齢者は、加齢により心身機能が低下しているため、短期間で発生し進行するおそれがあります。

廃用性症候群は筋力の低下だけでなく、呼吸機能や認知能力の低下、関節の拘縮などを引き起こします。一度低下した機能を取り戻すためには時間がかかるだけでなく、症状によっては回復が見込めない場合もあります。ですから介護職員は臥床がつづくデメリットを理解した上で、本人の体調を確認しながらできるだけ離床を促すことを心がけましょう。

まとめ

臥床には様々な種類とそれぞれの介助のポイントがあります。介護職員は、ご利用者の意向や体調、疾患などを確認しつつ、状態に応じた適切な姿勢をサポートすることが大切です。

介護職員にとって、臥床介助はベッドや布団で寝ているご利用者を介助するので、中腰でおこなうことが多くなります。ですからご利用者自身の動ける能力を活用しながら、介助のポイントを活用して、介護者自身に負担がかかりすぎないようにしましょう。

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