「大学院に行かないと臨床心理士になれないのかな・・・」と悩んでいる方はいませんか。臨床心理学の知識や技術を使う臨床心理士に憧れている方は多くいるでしょう。しかし、資格取得という大きな壁に立ち尽くす方も多くいるのも事実です。
そこで、この記事では臨床心理士の試験制度や仕事内容などについて解説します。「仕事があるから昼に大学院には通えない!」という悩みを解決する方法も紹介しますよ。
臨床心理士とは
まずは臨床心理士の概要について解説します。
心の問題を抱えた方を支援する専門家
臨床心理士は、臨床心理学の知識や技術を使い、心の問題を抱えている方々を支援する心理の専門家です。日本には心理相談員や心理カウンセラーなど心理関連の職種がいくつかあります。
しかし、臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が実施する資格認定試験に合格した方が、認定を受けられる心理の専門家の資格です。
また、活躍分野は医療や保健、教育だけではなく、福祉や司法、法務、警察などの様々な分野に広がっているのです。臨床心理士は、様々な分野で心の問題を抱えた方々を支援できる職種です。
国家資格ではない?
臨床心理士は国家資格ではなく民間資格です。資格認定試験を実施しているのが日本臨床心理士資格認定協会という民間団体であるためです。資格は国家資格と公的資格、民間資格に分けられます。
「国家資格は評価されるが民間資格は評価されない」と、多くの方は思われているかもしれません。
しかし、同資格は臨床心理学の専門的教育と高度な理解が必要なため、社会から評価されている資格と言えます。ちなみに、昭和63(1988)年に第1回の資格認定試験が行われ、令和3(2021)年の時点で合計39,576人が同試験に合格しています。
公認心理師との違い
類似資格として気になる存在である公認心理師ですが、臨床心理士との違いは民間資格か国家資格かがあります。なぜなら、国家資格である公認心理師のほうが今後就職に有利になると考えられるためです。
現状では両資格とも細かな違いはあるものの大きな違いはないでしょう。しかし、国家資格である公認心理師は、医療機関で関与できる業務で徐々に増えつつあります。現時点では歴史も浅く有資格者の少ない公認心理師ですが、歴史を重ね有資格者が増え社会に浸透すれば、公認心理師資格取得者のほうが就職で有利になるかもしれません。
このように解説すると、「臨床心理士より公認心理師のほうがよいの?」と思われるかもしれません。ただ、臨床心理士は調査や研究の活動も重視しています。調査や研究に重きを置く心理専門家になりたいのなら、臨床心理士のほうがよいでしょう。
なお、公認心理師の大まかな内容は以下のとおりです。
・第1回試験実施年:平成30(2018)年
・実施団体:日本心理研修センター(文部科学大臣及び厚生労働大臣指定)
・根拠法:公認心理師法
・専門的技術:心理アセスメント、心理支援、第三者への支援、普及教育・情報提供
年収は高い?安い?
臨床心理士の年収は、大学院や専門職大学院に通い苦労して資格を取得する割には安いと言えるかもしれません。求人を出している病院や会社などによって違いますが、正社員で月給25万円から30万円の求人が多くみられるためです。年収は月給の12ヵ月分、賞与を月給の3ヵ月分とすると、上記の月給なら年収は375万円から450万円と推測できます。月給40万円以上の求人もありますが、競争率が高く採用されにくいかもしれません。
次章では臨床心理士の資格認定試験制度について解説します。
臨床心理士になる方法
ここでは臨床心理士の取得方法や日中に大学院へ通えない時の対処方法について解説します。
日本臨床心理士資格認定協会の資格認定試験に合格する
臨床心理士になるためには、資格認定試験の合格と資格認定証書の交付手続きの完了が必要です。まず、日本臨床心理士資格認定協会が年1回実施する資格認定試験に合格しなければなりません。試験内容は以下のとおりです。
一次試験(筆記):多肢選択方式試験(2時間30分)・論文記述試験(1時間30分)
二次試験(面接):2名の面接委員による口述面接試験
合格後は、資格認定証書の交付手続きをすれば、同協会から資格認定証書とIDカードが発行されます。上記手続きが完了し資格認定がされて初めて臨床心理士を名乗れます。
近年の同試験の受験者数や合格率などのは以下のとおりです。
試験実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和元年度試験 | 2,133人 | 1,337人 | 62.7% |
令和2年度試験 | 1,789人 | 1,148人 | 64.2% |
令和3年度試験 | 1,804人 | 1,179人 | 65.4% |
資格試験の受験資格とは
臨床心理士資格認定試験の受験資格を得るためには、大学院や専門職大学院を修了しなければなりません。主な受験資格は以下のとおりです。
・日本臨床心理士資格認定協会指定の大学院(1種・2種)を修了し所定の条件を満たした方
・臨床心理士養成の専門職大学院を修了した方
上記の指定大学院には1種と2種があります。大学院修了後に1種は資格認定試験を受験できますが、2種は心理臨床経験を必要とします。なお、上記の受験資格の他に、外国の大学院を修了した方や医師免許取得者もあります。
大学院や専門職大学院に行けない人はどうするのか
大学院や専門職大学院に日中通うことが難しい場合は、通信制や夜間開講、昼夜開講の大学院に通う方法があります。通信制や夜間開講、昼夜開講の大学院でも、日本臨床心理士資格認定協会から指定されていれば、臨床心理士資格認定試験の受験資格が得られるためです。代表的な通信制や夜間開講、昼夜開講の大学院は以下のとおりです。
・通信制:放送大学大学院臨床心理学プログラム
・夜間開講:日本福祉大学大学院社会福祉学研究科心理臨床専攻
・昼夜開講:武蔵野大学大学院人間学専攻臨床心理学コース
日中は仕事でも上記の大学院に通えば受験資格が得られます。ただ、夜間開講でも土曜日は日中の開講であるため、出席には十分注意してください。詳しくは直接大学に問い合わせてください。
ここまで臨床心理士の概要や資格認定試験制度について解説してきました。最後の章では臨床心理士の仕事内容について解説します。
臨床心理士の仕事内容
ここでは臨床心理士の専門技術や職場について解説します。
臨床心理学にもとづいて心の問題を解決する
臨床心理士は、臨床心理学の知識や技術を使い心の問題を抱えている方々を支援します。その際に使用する専門的な技術は以下のとおりです。
・心理アセスメント:面接や心理検査などで問題・課題などを明らかにして、どのように援助するかを検討する
・心理面接:相談者の課題に応じて、精神分析や行動療法などの様々な臨床心理学的方法を使って支援する
・臨床心理的地域援助:相談者の周囲への働きかけや地域への支援も他の専門機関と連携して行う
・調査・研究:上記の専門的な手法や知識を確実にするために行う
支援の際に使用する上記の技術が、臨床心理士の仕事内容と言えます。また、上記の専門技術は相互に関連しているため、臨床心理士は総合的に使用できなければなりません。
教育分野や医療・保健分野などで活躍している
臨床心理士は様々な分野の職場で活躍しています。活躍している分野は以下のとおりです。
・医療・保健:精神科や心療内科などの心理相談
・教育:生徒や保護者などの心理相談
・福祉:発達や子育てなどの相談
・大学・研究所:研究や臨床心理職の養成、学生や地域住民の心理相談など
・司法・法務・警察:家庭裁判所での調査官業務や刑務所での受刑者へのカウンセリングなど
・産業・労働:メンタルヘルス対策支援業務
・私設心理相談:個人や組織の心理相談機関での業務
体調を崩したら医師に診てもらうように、心について臨床心理士に気軽に相談する時代が来るかもしれません。
臨床心理士を取得して心の専門家として活躍しよう!
臨床心理士は、心の問題を抱えている方々を支援する心理の専門家です。多くの方が憧れている仕事かもしれませんが、なるためには大学院や専門職大学院の修了やその後の心理臨床経験が必要です。臨床心理士を取得すれば臨床心理学の専門的技術を使って、幅広い分野で活躍できます。通信制や夜間開講、昼夜開講の大学院もあるため、興味のある方はあきらめずに挑戦しましょう。
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