作業療法士がデイサービスで働く長所と短所は以下のとおりです。
短所への対応方法や長所の詳細は本記事中の最後に解説しています。
その他にこの記事では、デイサービスで働く作業療法士の求められる役割や仕事内容。さらにデイケアと放課後等デイサービスとの違いを解説し、作業療法士がデイサービスで働く魅力を伝えることを目的とした記事です。
はじめにデイサービスで働く作業療法士のモデルスケジュールを解説します。
デイサービス勤務の作業療法士モデルスケジュール
1日の流れは朝の送迎後に、バイタルチェック。その後、個別リハ・集団リハを実施します。午後も同様です。
ただ、デイサービスによって大きく流れは異なる場合があります。
有料老人ホーム併設型だと送迎が少ない場合やリハビリ特化の短時間デイサービスでは集団レクがないことも。
詳しい内容は後ほど解説しますが、担当者会議への参加や自宅訪問。新規利用者様の在宅環境アセスメントなどもはいってきます。
また、利用者様の入退院時は、病院リハビリスタッフとの申し送りもはいることもあります。
詳しい内容は求人応募時に確認するとよいです。
次にデイサービスで働く作業療法士の役割について解説します。
デイサービスで働く作業療法士の役割
「ADL及びIADLなど生活行為の応用動作能力や社会参加など、社会適応能力の評価と予後予測」
日本作業療法士協会が厚生労働省に提出した「介護予防を推進する」資料の中で明確に上記記載があります。
資料の中では事例紹介として、福祉用具を提供することで更衣の自立度が高まることが紹介されていました。
作業療法士の役割は活動・参加の専門家として、活動・参加を獲得する手段(作業療法士の専門性)を持ち合わせており、期待される役割とされています。
作業療法士の専門性は言うまでもなく、作業療法過程そのものにありますが、福祉用具やスプリント、認知的側面や情緒・高次脳評価と生活環境との適合などが具体例です。
では、次の項目でデイサービス内の仕事内容を詳しく解説します。
デイサービス内の仕事内容
関係者会議(ケアプランの目標共有)
関係者会議は利用者様のニーズやケアプランの更新、機能面の変化などに応じ、実施されます。
作業療法士は活動・参加面の評価や作業療法の手段と目標を述べることが必要です。
他には予後予測(活動・参加の獲得見込み)の意見を求められることも多いのです。
ケアプランの目標に応じた個別機能訓練計画書の作成
個別機能訓練計画書はケアプランの内容とリンクしています。
作業療法士はケアプランで決まった目標を達成するために、長期・短期目標を立て、その手段を記載します。
手段としては、環境調整の場合もあれば福祉用具の適合・活用訓練などです。また、機能訓練を長期で実施し、目標を獲得することもあります。
例としては、円背が強く外出時に人にみられるのが嫌で、買物参加を控えるようになった利用者様。
個別リハで頸部・骨盤の柔軟性や集団作業療法で抗重力伸展活動を多く取り入れ、姿勢が良くなり服を着ても脊柱の骨の突起が目立たなくなりました。結果、買物参加を再獲得し、目標達成できました。
利用者様全体の集団作業療法
レクレーションが主な内容になります。事業所全体の傾向(認知面や機能面)などを踏まえ、内容を設定していきます。
手工芸関心グループや釣り活動関心グループなど関心毎の属性に応じたレクレーションを提供することもあります。
例として、脳卒中後の利用者様に対し、片手で操作可能な釣り具の作成やバリアフリーのトイレが近い港を選定するなど。作業療法士の得意分野といえます。
利用者様個人の個別作業療法
個別機能訓練計画書の目標に準じて実施していきます。
先程の釣りの事例だと、座位耐久性を高めるために、端坐位+リーチ課題の実施や車椅子の適合性を高め、正中位を保持しやすくすることを実施します。
デイサービス内で介護や送迎業務も実施するのか?
基本的には実施する事業所が多いです。
事業所によりますが、家族の介護負担軽減もデイサービスの重要な役割なので、早めに送迎して欲しいニーズがあります。
よって、作業療法士も家族の介護負担軽減として送迎業務を実施することが多いのが実情です。
また、急な休みで送迎人数が足りないなど日常的に起こりうるので、送迎業務はあると考え入職したほうが良いです。
放課後等デイサービス、デイケア、デイサービスとの比較
放課後等デイサービスはそもそも介護保険領域ではなく、発達支援児を対象とすることが大きな違いです。
デイサービスとデイケアの違いは設置基準が根本的に違います。デイケアは別名「通所リハビリテーション」と呼ばれ医療法人のみ開業可能で、医師もリハビリテーション計画書の作成に必要です。
主に病院系や老健施設に併設されています。
他に、厚生労働省審議会の資料の中でもデイサービスとデイケアの機能分化について触れられており、デイケアの想定は病院を退院した直後などに短期集中的にリハビリテーションを行い、デイサービスへ移行する流れとなっています。
作業療法士を採用することで取得できる加算
デイサービスで作業療法士や理学療法士。または看護師や柔道整復師等を採用することで、個別機能訓練加算が取得できます。
個別機能訓練加算を算定する際に居宅訪問チェックリスト(必須)や興味・関心チェックリスト(推奨)で居宅評価及び利用者様の関心事項を評価します。
余談になりますが、急性期病院などでは離床自体が困難な場合も多く興味・関心チェックリストを活用できる場面も少ないと聞きます。興味・関心チェックリストを日常的に活用できるのは在宅領域ならではといえます。
最後に作業療法士がデイサービスで働く短所と長所をまとめました。是非、ご覧ください。
デイサービスで働く場合の短所
作業療法士が一人の職場となる場合もある。
この問題は個別機能訓練加算が他職種でも算定可能となることに起因します。作業療法士+理学療法士や看護師が同僚の場合など。
他の作業療法士の知見が得られにくく、アプローチが単一的になりやすい弱点があります。
また、機能訓練指導員が一人の職場だと、そもそも他のリハビリテーション職種と相談できない場合もあるので、やや難点な部分です。
作業療法以外の業務負担として、特に多いのが、個別機能訓練中の介護業務や送迎業務です。
たしかに、作業療法士としての作業療法に注力することはとても大事なことだと思います。
同時に事業所運営上、どうしても介護業務や送迎業務の負担が必要な場面もあります。
特に事業規模が小さいといくつもの役割を担うため、介護や送迎業務の実施は必要です。
良い事業所運営は結果的に利用者様の利益になるので、その背景が分かると納得しやすくなります。
作業療法士個人のマクロ的視点と事業所運営サービスの向上というワイドな視点。両方持つことでアイデンティティとの葛藤は減るかもしれません。
デイサービスで働く場合の長所
生活行為に直接アプローチできる
先程の釣りの事例が良い事例です。病院で働く場合、外で釣り訓練は現実的に困難なのです。
利用者様の関心に合わせて直接アプローチできるのは利用者様側の表情も活き活きとしますし、何よりもアプローチ方法を考えている時もワクワクします。
病院では「在宅復帰」と「在宅復帰への課題解決」の役割が大きく、早期退院も求められます。
趣味レベルの関心事項へのアプローチが多いのは、介護保険領域で働く醍醐味といえます。
作業療法アプローチの選択自由度が高い
一人職場の短所はそのまま長所にもなります。
病院との比較になりますが、病院で働く場合はアプローチに関して病院や上司の方針も関係します。
作業療法士をしていて「本当はこんなアプローチがしたい」と思うことはあると思います。
デイサービスはリハビリ専門職が限られた人数である以上、ケアプランを元にアプローチする方が自分の意見を反映しやすいです。
忖度なく自分の思うアプローチができる。デイサービスで働く作業療法士の長所です。
今回の記事は以上です。ミラクス介護では、作業療法士(機能訓練指導員)を募集している介護事業所様の求人案件も多数ございます。
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