「身体介護の技術を身につけて利用者さんの介助をしたいが・・・」と悩まれている介護職はいませんか。介護職にとって毎日のように行う身体介護ですが、自身の身体の使い方や利用者の身体への触れ方など、見よう見まねでしていることが多いかもしれません。身体介護をしっかりできるようになるためには、基本的技術を身につけることが重要です。そこで本記事では、身体介護の基本的技術の重要性や行ううえでのポイント、身体の使い方などについて解説します。
なぜ身体介護の基本的技術を身につけなければならないのか?
身体介護の基本的技術を身につけることは、介護する側・される側双方にとって重要です。なぜなら、基本的技術が身についた身体介護は、双方の安心安全につながるからです。車椅子からベッドへの移乗介助で考えてみましょう。基本的技術が身についていない介護職が移乗介助をすると、力任せになってしまい利用者が転落するかもしれません。それに、介護職が足腰を痛める原因にもなるでしょう。基本的技術が身についていると、最小限の力で移乗介助ができ利用者にも無駄な力がかかりません。そのため、転落のリスクもなく利用者は安心してベッドへ移乗できるのです。つまり、基本的技術を身につけることこそが、身体介護ができるようになる王道なのです。
次章からは身体介護を行ううえでのポイントの確認と、実際に身体介護をするときの身体の使い方などについて解説します。
身体介護をするときのポイント
ここでは、身体介護をするときに気をつけるポイントについて一つひとつ確認していきましょう。
動線を考え安全を確保する
介護する側とされる側がどのように身体が動くのかを想定して、二人の動線をしっかり確保しましょう。障害になるものを移動し動線を確保することは、介護職と利用者の安全確保につながります。また、動線を確保するときは、スペースを広めに取るようにしましょう。
介助の目的・方法などを伝え同意を得る
介助をする前に介助の目的や方法などを利用者に伝えて、同意を得るようにしましょう。同意を得ずにいきなり介助をしては、相手を驚かせてしまいます。伝え方としては、「~してもよいですか」と相手に判断する権利を与えるように伝えます。介助の決定権は介助する側ではなく、介助される側であることを忘れないでください。
病気の把握や心身状態・体調の確認
麻痺側や既往症などのほかに、直前の心身状態や体調も確認しておきましょう。病気や障害などは本人資料や介護記録などで把握できます。また、当日の心身状態や体調は利用者に確認してください。特に介助される側である利用者は体調が変化しやすいため、記憶に頼るのではなく直前の状態を確認することが重要です。
介助ごとに説明し安心してもらう
介助の動作ごとに説明をして介助される側に安心してもらうようにしましょう。説明をされずに介助が進むと混乱してしまうからです。「介助する前に同意してもらったから、動作ごとの説明はいらないだろう」とは思わないでください。また、説明するときは丁寧に言葉づかいをするようにしましょう。
自立をうながす介助をする
介護職の力だけで介助をするのではなく、利用者にも動いてもらい自立をうながすように介助をしましょう。介護職の力だけで介助をしていては、利用者の残存能力が低下してしまいます。利用者の能力を最大限に活かして介助をすることで、心身の状態の衰えを防ぎ、ADL(日常生活動作)の維持ができるのです。
点ではなく面で触れる
つかむように持つ点ではなく支えるように面で触れるようにしましょう。点では皮膚や関節に余計な力が加わるだけではなく、介助される側に心理的ストレスが加わります。介助するときは片手ではなく両手で支えることを意識すれば、自然と面で触れられるようになりますよ。
終わったあとの確認を忘れない
介助が終わったあとの確認を忘れないようにしましょう。これまであげたポイントを守って介助をしたとしても、利用者が何かの拍子に体を痛めることもあります。介助し終わったあとに、「大丈夫ですか」と一言確認しましょう。状態の確認だけではなく、利用者も「気にかけてもらっている」という安心感が得られますよ。
次章では、身体介助をするときの実際の身体の動かし方について解説します。
基本的技術であるボディメカニクスを身につける
身体介護の基本的技術にボディメカニクスがあります。ボディメカニクスとは、筋肉や骨格などが相互に関連しておこる動きのメカニズムです。しっかり理解し実践することで、安心安全な介助ができます。ここでは、ボディメカニクスの基本について一つひとつ解説していきます。
支持基底面積を広く重心位置を低く
介助における支持基底面積とは、介助する側の足の広げ方と言えます。支持基底面積を広く、つまり、足を広くすることによって、介助する側の姿勢が安定するのです。また、重心の位置を低くすることは、さらなる姿勢の安定につながります。
介助する側・される側の重心位置を近く
介助する側・される側双方の重心の位置を近くすることで、力が加わりやすくなります。力が加わりやすくなるということは、介助がしやすくなるということです。介助するときは、できるだけ利用者に近づいて介助をしましょう。
大きな筋肉を使い介助する
大きな筋肉を使うことで介助しやすくなります。例えば、手先だけよりも太ももの筋肉を使って引き寄せるほうがラクにできます。身体全体を使って介助をすれば、自然と大きな筋肉を使えるでしょう。また、大きな筋肉を使った介助によって、介護職への負担も軽くなるため、腰痛や膝痛などを防ぐ効果もありますよ。
介助される側は小さくなる
介助される側は手足を広げて大きくなるのではなく、手足を縮めて小さくなるようにしましょう。小さくなることで摩擦も小さくなり、あまり力をかけなくても体を動かしやすくなるのです。
重心移動は押すのではなく水平に引く
ベッド上で水平に重心を移動するときは、手前に引くとあまり力をかけずにできます。反対に奥に押したり持ち上げたりすると余計な力が必要です。水平に引くことで力をあまり使わず重心移動ができますよ。
次章では身体介護の技術力を向上させるための方法について解説します。
身体介護の技術をアップさせるには?
最後は身体介護の技術をアップさせる方法について解説します。
三大介助(食事介助・入浴介助・排泄介助)をしっかり身につける
三大介助をしっかり行えるようにしましょう。三大介助には、身体介助に必要な基本的技術がすべて詰まっています。三大介助とは、食事介助・入浴介助・排泄介助の三種類の介助です。介護現場では毎日行う介助であるためできて当然ですが、転倒や誤嚥などのリスクと隣り合わせの介助とも言えます。リスクを減らすためにも基本を意識することが重要です。三大介助をマスターして、どの施設でも通用する介護職になりましょう。
介護技術向上研修に参加して日頃の身体介護を振り返る
施設内外の介護技術向上研修に参加しましょう。研修に参加することで、技術研鑽だけではなく日々の身体介護を振り返れます。介護職として長く働くことは経験を活かせるというメリットがありますが、様々な業務を我流で行ってしまうという欠点もあります。その欠点を見直すためにも研修への参加が必要です。介護技術向上研修では、YouTubeの動画で見かけるようなアクロバットな介助ではなく、基本に忠実な身体介護の技術が学べます。日々の身体介護を振り返るためにも、介護技術向上研修にぜひ参加しましょう。
福祉用具の利用も身体介護の技術の一つ
福祉用具を使いこなせるようになりましょう。使い方をしっかり身につけることで、介助する側だけではなく介助される側の安心安全につながっていくのです。最近では介護職の腰痛や膝痛などの防止のために、様々な福祉用具が介護現場で導入されています。スライディングシートや入浴介助ベルトのようなものから、リフトのような福祉機器などもあります。「道具や機械は苦手・・・」とは言わずに、少しずつでもよいので使い方を覚えていきましょう。
身体介護の基本的技術を身につけて職場で頼られる介護職になろう!
身体介護の基本的技術をマスターすることは、介護職・利用者双方の安心安全につながります。基本的技術には、ポイントと身体の使い方があります。しっかり理解し実践することで、利用者に喜ばれるような介助ができます。三大介助を身につけたり介護技術向上研修に参加したりして技術を向上させ、職場で頼られる介護職になりましょう。
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