介護のスキルアップ

ベッドと車椅子間の正しい移乗介助の手順とは?移乗介助のコツを紹介

移乗介助は利用者を「抱える」「持ち上げる」といった動作があるため、介護職の身体的負担が大きく、腰痛になりやすい介助です。
また、利用者の転倒・転落や打撲などの介護事故を起こすリスクもあります。本記事では、移乗介助の正しい手順や安全に介助を行うためのコツについて解説します。

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高齢者の移乗介助にはどんな方法がある?

介護現場で常日頃、行われている高齢者の移乗介助。一口に移乗介助と言っても、移乗介助が行われるシチュエーションや、介助の方法・手順は様々です。
介護現場での移乗介助は、以下のようなシチュエーションで行われます。

・ベッドから車椅子への移乗
・車椅子からベッドへの移乗
・床(布団)からベッドへの移乗
・ベッドからリクライニング車椅子への移乗
・車椅子から便器・浴槽への移乗

高齢者が今からどのような行動をとるのか、目的に合わせて移乗介助を行います。また、「ベッドから車椅子に移る」と「車椅子から便座に移る」とでは、それぞれに介助の方法が異なるため、場面ごとの介助方法を1つ1つ理解することが大切です。

車椅子・片麻痺の方の移乗介助の手順

数ある移乗介助のシチュエーションでも、特に行う機会が多く、移乗介助の基本だと言われているのがベッドと車椅子間の移乗です。ここでは、加齢による下肢筋力の低下で車椅子を使用している方や、片麻痺がある方の移乗介助の手順について解説します。

ベッドから車椅子への移乗介助の手順

①フットレストを上げ、ブレーキをかけた状態の車椅子をベッドに対して斜め45度の角度で設置するこの時、利用者の健側から移乗できるよう、車椅子の位置を確認する
②ベッドの高さが車椅子の座面よりもやや高めになるように調整する
③利用者にベッドの端に浅く腰掛けてもらい、足底がしっかり床についてるか確認する
④介護者は腰を落とし、利用者の肩甲骨または骨盤を支える
⑤利用者に前かがみになってもらいながら、利用者の体軸を回転させて移乗する

車椅子からベッドへの移乗介助の手順

①車椅子をベッドに対して斜め45度の角度で設置し、車椅子のフットレストを上げ、ブレーキがしっかりかかっているか確認するこの時、利用者の健側から移乗できるよう、車椅子の位置を確認する
②ベッドの高さが車椅子の座面よりもやや低めになるように調整する
③利用者に車椅子に浅く腰掛けてもらい、足底がしっかり床についてるか確認する
④介護者は腰を落とし、利用者の肩甲骨または骨盤を支える
⑤利用者に前かがみになってもらいながら、利用者の体軸を回転させて移乗する

上記で紹介した方法以外にも、利用者にベッド柵を持ってもらい、介護者が利用者の背後から臀部を支えるようにして移乗をする方法があります。利用者がベッド柵を持ったり立位をとったりすることが可能な場合、残存能力を活かしながら移乗介助を行いましょう。

リクライニング車椅子の移乗介助の手順

寝たきりによる拘縮や筋萎縮により、座位姿勢を取ることが難しい方の場合、寝たままで
移動ができるリクライニング車椅子に移乗介助を行います。
ここでは、ベッドからリクライニング車椅子に移る際の移乗介助の手順をご紹介します。

ベッドからリクライニング車椅子への移乗介助の手順

①リクライニング車椅子をベッドの真横に平行になるよう、設置する
 この時、リクライニング車椅子のフットレストを上げ、ブレーキがしっかり
 かかっているか確認する
②ベッドの高さがリクライニング車椅子の座面よりやや高めになるよう、調節する
③リクライニング車椅子の背中部分をできる限り平行になるよう倒し、
 ベッドとリクライニング車椅子の背上げの角度を揃える
④利用者に横向きになってもらい、バスタオルまたはスライディングシードを背中に敷く
⑤腕を組み、足を曲げ、利用者の身体をできる限り小さくまとめてから、
 介護者2人で利用者をリクライニング車椅子へ移す

トイレ・浴槽への移乗介助の手順

排泄介助でよく行われる車椅子からトイレへの移乗介助と、入浴介助でよく行われる車椅子から浴槽への移乗介助。トイレでの移乗介助は狭い個室で行うため、介護者の負担になりやすいと考えられます。また、浴室の床は滑りやすいため、安全に移乗介助を行うにはコツが必要です。ここでは、車椅子からトイレ・浴槽へ移る際の移乗介助の手順をご紹介します。

車椅子からトイレへの移乗介助の手順

①車椅子を便座横の壁にある手するに対して斜め45度の角度で設置するこの時、車椅子のフットレストを上げ、ブレーキがしっかりかかっているか確認する
②車椅子に浅座りになり、手すりを持ってもらう
③介護者は利用者の背後から腰を支え、利用者に立位をとってもらう
④介護者の大腿部と腕で利用者を支えながら、車椅子を離し、ズボンと紙パンツを外す
⑤声かけを行いながら、便座に座ってもらう

もし、利用者の立位が不安定で手すりを持っても立つことが難しいという場合、無理せずに2人介助で対応しましょう。2人介助でトイレへの移乗介助を行う場合、1人が抱え、もう1人がズボンや紙パンツの上げ下ろしを行います。

車椅子から浴槽への移乗介助の手順

①脱衣完了後、普段使用している車椅子から浴用車椅子に移ってもらう
②浴用車椅子に浅座りになり、浴室の手すりを持ってもらう
③片麻痺がある場合は麻痺がない健側から、片足ずつ浴槽に足を入れてもらうこの時、介護者は利用者の背後から腰を支える

もし、利用者の立位が不安定で浴槽をまたぐのが難しいという場合、無理せずに介護用リフトを活用しましよう。利用者の身体機能に合わせて、座ったまま入浴できる座位式浴槽か、寝たまま入浴できる臥位式浴槽かを選ぶことが大切です。身体機能に合った浴槽選びができていないことで、利用者に負担をかけてしまったり利用者の自立をさまたげてしまったりする可能性があります。

移乗介助を行う際の注意点

移乗介助は介護をする側・される側、双方の負担が大きい身体介護です。負担なく、安全に移乗介助を行うためには、注意するべき点がいくつかあります。
ここでは、移乗介助を行う際の注意点を3つご紹介します。

1つ1つの行程・手順を省かない

移乗介助では、転落や転倒、皮膚剥離などの介護事故を起こすリスクがあります。移乗介助中に利用者がケガをすることがないよう、「車椅子のブレーキをしっかりかける」「車椅子のフットレストを上げる」など、1つ1つの手順を省かないようにしましょう。安全に移乗介助を行うためには、介助の行程や手順を省かないことが大切です。

力任せに行わない

移乗介助では、利用者を抱える・持ち上げるといった動作を行います。そのため、介護者の身体的負担が大きく、移乗介助が原因で腰痛を発症する介護者も後を絶ちません。
少しでも負担なく介助ができるよう、踏ん張ったり、一気に力を入れて利用者を持ち上げたりする介護者がいますが、それは逆効果です。力任せに移乗介助を行うことで、利用者の腕や足をベッド柵にぶつけてしまったり、利用者を転落させてしまったりする可能性が高くなってしまいます。安全に移乗介助を行うためには、ゆっくりとした動作を心がけることが大切です。

利用者の股の間に介護者の足を挟まない

移乗介助の際、利用者の股の間に自分の足を挟んで移乗介助を行う介護者がいます。移乗介助を行う際に踏ん張りがきくようにという意味で行われることが多いようですが、利用者が不快な思いをしてしまいます。
利用者が不快な思いをしたまま移乗介助を続けると、介護拒否や暴力行為につながる恐れがあるため、大変危険です。
安全に移乗介助を行うためには、介護をする側・される側が不快な思いをしないよう、気遣いや配慮をしながら介助を勧めることが大切です。

介護用リフトの活用や2人介助で安全に行おう

移乗介助は利用者を抱える・持ち上げるといった動作を行うため、介護をする側・される側、双方の負担が大きい身体介護です。双方の負担を軽減しながら安全に移乗介助を行うには、介助の正しい手順やコツを理解しておく必要があります。
また、1人では移乗介助ができないと判断した場合、無理せずに介護用リフトを活用したり2人介助で対応したりすることが大切です。

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