多くの介護職が介護職員処遇改善加算がわかりにくいと感じているでしょう。
基本給や手当、賞与などで支給されていますが、制度の仕組みを詳しく理解されている方は少ないかもしれません。
ただ、しっかり理解することでモヤモヤした気持ちが晴れて、仕事に専念できるはずです。
この記事では詳しくない方でもしっかり理解できるように、介護職員処遇改善加算の目的や仕組み、取得するための条件などについて解説します。
介護職員処遇改善加算とは
まずは目的や今までの流れなどから見ていきましょう。
介護職の賃金改善が目的!
介護職員処遇改善加算の制度の目的は、介護職の賃金の改善です。現在も全職種の平均よりも低い介護職の賃金ですが、以前はもっと低く問題になっていました。
その低賃金問題を解決するために、同加算の前身である介護職員処遇改善交付金が導入されました。
その後、数回の改定をへて、複数の要件を満たす必要がある現在の制度になりました。介護職の賃金は少しずつ改善し、全職種の平均との差は少しずつ狭まっています。
なお、同加算は介護報酬として支給されています。ちなみに加算とは、利用者に付加的なサービスを行うことで介護報酬を多く請求できる仕組みと言えます。同加算では介護職の処遇を改善することで、サービスの質が向上すると言えるかもしれません。
創設から令和4年度までの流れ
介護職員処遇改善加算は前述の介護職員処遇改善交付金から始まり、その後は下表のように改善額の変更や新加算の追加がありました。
時期 | 内容 | 賃金改善額(月額) |
平成21年10月 | 交付金としてスタート | 15,000円 |
平成24年4月 | 交付金から加算へ変更 | 15,000円 |
平成27年4月 | 改善額の増加 | 27,000円 |
平成29年4月 | 改善額の増加 | 37,000円 |
令和元年10月 | 介護職員等特定処遇改善加算が追加 | 80,000円 |
令和4年2月 | 介護職員処遇改善支援補助金が追加 令和4年9月まで | 9,000円 |
令和4年10月 | 介護職員等ベースアップ等支援加算が追加 | 9,000円 |
上表を見ると改善額が徐々に上昇していることがわかります。
現在の仕組みとは
介護職員処遇改善加算はⅠからⅢに分かれていて、ⅢからⅠへ進むにつれて施設・事業所が求められる条件と加算額が増える仕組みです。加算額が増えることは介護職の賃金改善額が増えることを意味します。求められる条件と介護職一人当たりの賃金改善額の内容は下表のとおりです。なお、同加算では求められる条件を要件と定義しています。
種類 | 要件 | 改善額(月額平均) |
加算Ⅰ | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ+職場環境等要件 | 37,000円 |
加算Ⅱ | キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境等要件 | 27,000円 |
加算Ⅲ | キャリアパス要件ⅠまたはⅡ+職場環境等要件 | 15,000円 |
賃金改善額は基本的には基本給とし、その他では手当や賞与などで行われます。
同加算の問題点は、ご存じかもしれませんがもらえない人ともらえない事業があることです。支給対象外の職種と事業は以下のとおりです。
・職種:介護職以外の事務職・管理者など
・事業所:訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援など
キャリアパス要件や職場環境等要件については次章で解説します。
介護職員処遇改善加算のキャリアパス要件や職場環境等要件って何?
キャリアパス要件はⅠからⅢまであり、賃金体系の整備や昇給の仕組み、研修の実施などを求めています。キャリアパス要件のⅠからⅢまでの内容は以下のとおりです。
・キャリアパス要件Ⅰ:昇進の仕組み。役職や責任、仕事内容などの昇進・賃金を書面で整備している
・キャリアパス要件Ⅱ:スキルアップの仕組み。スキルアップのための計画を作り、研修の実施や機会を確保している
・キャリアパス要件Ⅲ:昇給の仕組み。経験・資格などによる昇給の仕組みや、定めた基準による定期的昇給を判定する仕組みを作っている
上記のキャリアパス要件のⅠからⅢの達成度合いによって、介護職員処遇改善加算のⅠ・Ⅱ・Ⅲのどれが支給されるかが決まります。
職場環境等要件は研修実施やICT活用などの取組を求めている
職場環境等要件は、賃金以外の職場環境を改善する取り組みを求めています。職場環境等要件は以下のような内容です。
・資質の向上やキャリアアップに向けた支援:資格取得や研修受講などの支援
・両立支援・多様な働き方の推進:子育てと仕事の両立のための休業制度の充実や勤務シフトの調整など
・生産性向上のための業務改善の取組:ICT活用や業務のマニュアル作成など
資質の向上やキャリアアップなどの支援は、キャリアパス要件と重複する内容と言えるかもしれません。
最後に介護職が疑問や複雑などと感じる点について解説します。
介護職員処遇改善加算の疑問点
不正をした施設・事業所はどうなるのか?
「処遇改善加算はもらえているようだけど給料が少ない!」と思っている介護職はいないでしょうか?
介護職員処遇改善加算として施設・事業所が受け取ったお金は介護職の賃金改善に100%使用しなければなりません。
もし、施設・事業所が同加算を不正受給した場合は、返還や同加算の取消を通知によって定め、以下のことを禁止しています。
・受け取った処遇改善加算額を賃金改善に使用していない
・虚偽や不正をして処遇改善加算を受け取った
また、不正受給の事例としては以下のような青森県のデイサービスの事例があります。
・違反内容:賃金改善額が処遇改善加算収入額を下回っていたが上回ったように偽装
・処分内容:平成30年3月指定取消処分
このような不正を防ぐためにも介護職は同加算について詳しく知る必要があるのではないでしょうか。
介護職員等特定処遇改善加算や介護職員等ベースアップ等支援加算とは?
令和元年に介護職員等特定処遇改善加算、令和4年に介護職員等ベースアップ等支援加算が追加されました。両加算の賃金改善額は以下のとおりです。
介護職員等特定処遇改善加算:技能・経験のある介護職に月額平均80,000円の賃金改善
介護職員等ベースアップ等支援加算:介護職に月額平均9,000円の賃金改善
また、両加算は介護職員処遇改善加算とは異なり、施設・事業所の判断で介護職以外の職員の賃金改善に加算収入額をあてられる特徴があります。
このように複数の加算制度でありながらも介護職の賃金は段階的に改善されています。
加算が3種類もあってわかりにくい!
ここまで解説してきたように、平成4年12月現在、介護職の賃金改善は3種類の加算制度で行われています。
ただ、3種類の加算制度で賃金改善が行われていることに、多くの介護職はわかりにくいと感じているかもしれません。
また、施設・事業所としても事務負担が大きいことが問題になっています。これらの問題に対して3種類の加算制度の一本化が検討されています。一本化されることで介護職にとってわかりやすく、施設・事業所にとっても事務負担の少ない制度になることが期待できます。
介護職員処遇改善加算を理解し安心して介護の仕事に取り組もう!
介護職員処遇改善加算は、制度運用にあまりかかわらない介護職にとって、理解しにくい制度かもしれません。
しかし、介護職が同加算の仕組みをしっかり理解することで、不安を感じずに日頃の業務に専念できます。
また、施設・事業所の不正事例があることを踏まえると、介護職が同加算の仕組みをしっかり理解することで不正を予防できると言えます。介護職による現場目線での職場環境等要件の効果的な運用も考えられるかもしれません。
さらに、同加算の段階的な賃金改善額の増加を考えると、介護職の賃金が全業種・職種の平均と並ぶことも期待できるのではないでしょうか。
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