「介護福祉士はいつからできたのだろう?」と疑問に思っている方はいませんか。歴史の教科書に載っているような一般的な内容ではないため、調べるのに苦労しているのではないでしょうか。そこで、この記事では介護福祉士が国家資格になった歴史を、日本の介護の歴史などとともに解説します。介護福祉士や介護の歴史を振り返ることで、日本の介護福祉の未来もみえてきますよ。
介護福祉士の歴史とは
まずは介護福祉士の歴史を、資格の根拠法や受験者数、資格が誕生した頃の介護福祉の状況などからみていきましょう。
介護福祉士は1987年に国家資格として誕生した
介護福祉士は、昭和62(1987)年に成立・公布された「社会福祉士及び介護福祉士法」を根拠法とする国家資格です。第1回試験は平成元(1989)年に行われました。受験者数と合格者数、合格率の推移は下表のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成元年第1回試験 | 11,973人 | 2,782人 | 23.2% |
平成4年第4回試験 | 9,987人 | 5,379人 | 53.9% |
平成24年第24回試験 | 137,961人 | 88,190人 | 63.9% |
平成29年第29回試験 | 76,323人 | 55,031人 | 72.1% |
令和4年第34回試験 | 83,082人 | 60,099人 | 72.3% |
第1回試験は現在とは異なり受験者数が少なく合格率も低い状況で、受験者の4人に1人しか合格しない資格試験でした。
介護福祉士が誕生した頃の日本の介護福祉とは
介護福祉士国家試験が始まる前の日本は、高齢化率上昇によって介護福祉政策を次々に行っていた時代と言えます。昭和45(1970)年に高齢化率が7%を超え高齢化社会に、昭和60(1985)年には高齢化率が10.3%になりました。社会福祉士及び介護福祉士法が制定された昭和62(1987)年でも、高齢化率が10.9%と高齢化率の上昇が続きます。介護福祉政策では、昭和57(1982)年の老人保健法制定で、医療費増大を理由に70歳以上の方の医療費自己負担無料化をやめて、一定額の自己負担制度を導入しました。また、昭和61(1986)年に老人保健法改正し、病状が安定している高齢者の在宅復帰を目指すための老人保健施設が創設されました。
介護福祉士の歴史年表
介護福祉士国家試験の制度の歴史を年表で振り返ってみましょう。
・昭和62(1987)年:根拠法である社会福祉士及び介護福祉士法が成立・公布
・平成元(1989)年:第1回介護福祉士国家試験実施
・平成9(1997)年:介護保険法成立。施行は2000年
・平成19(2007)年:社会福祉士及び介護福祉士法改正。介護福祉士が行う介護の定義の見直し
・平成28年(2016)年:介護福祉士国家試験制度の見直し。介護福祉士の資質向上のため実務経験ルートに新たに実務者研修修了を義務づけ.
平成19年の法改正は認知症の介護といった新たな介護サービスに対応するために行われました。介護福祉士が行う介護の定義の見直しとは以下のとおりです。
・改正前:入浴、排せつ、食事その他の介護
・改正後:心身の状況に応じた介護
また、平成28年の制度の見直しでは、「実務経験ルートでの合格者は制度面・理論面での教育が不十分である」という理由で、介護福祉士実務者研修修了が義務づけられました。
ここまで介護福祉士の歴史に焦点を当ててきました。次章ではし日本の介護の歴史についてみていきましょう。
日本の介護の歴史とは
ここでは、日本の介護の仕事や高齢化率の推移、介護保険法制定の経緯などについて解説します。
介護の仕事はいつからできた?
明治時代から介護施設はありましたが、現在行われている介護の仕事のもとになる制度は昭和30年代から始まりました。現在のホームヘルパーの仕事は、昭和31(1956)年の長野県の家庭養護婦派遣制度や、昭和33(1958)年の大阪市の家庭奉仕員制度などが始まりとされています。それらの制度は、昭和38(1963)年の老人福祉法制定によって老人家庭奉仕員制度へ統一されます。また、同法改正によって特別養護老人ホームや養護老人ホーム(養老施設から変更)、軽費老人ホームなどが創設されました。これが介護施設職員の仕事の始まりと言えるでしょう。介護施設は昭和45(1970)年の旧厚生省の社会福祉施設緊急整備5ヵ年計画で施設数が増えていきます。同時に介護施設で働く介護職員へのニーズが高まっていきました。
日本は高齢化社会から超高齢社会へ
介護の歴史の中でも現在も日本の高齢化率が上昇し続けていることは、憂慮すべき点と言えます。高齢化社会と超高齢社会、超高齢社会への到達年と総人口、高齢者数は下表のとおりです。
高齢化率 | 到達年 | 総人口 | 高齢者数 | |
高齢化社会 | 7%以上 | 昭和45(1970)年 | 103,720千人 | 7,331千人 |
高齢社会 | 14%以上 | 平成6(1994)年 | 125,034千人 | 17,585千人 |
超高齢社会 | 21%以上 | 平成19(2007)年 | 127,771千人 | 27,464千人 |
注目すべき点は、高齢化社会から高齢社会へは24年かかりましたが、高齢社会から超高齢社会へは13年間しかかかっていないことです。高齢化率のスピードが急上昇していることがわかります。また、令和5(2023)年1月現在の状況は以下のとおりです。
・高齢化率:29.0%
・総人口:12,477千人
・高齢者人口:3,621千人
上記のように高齢化に歯止めがかかっていない状況が続いています。
介護保険法制定の経緯
前項のような高齢化率上昇の中で制定されたのが介護保険法です。介護保険法制定の経緯の理解は介護福祉士にとって重要と言えます。なぜなら、現在の介護福祉士の多くが、介護保険サービスを提供している施設や事業所で勤務しているためです。介護保険法は(1997)年に成立、2000年に施行されました。介護保険法制定の背景は以下のとおりです。
・介護が必要な高齢者の増加や介護期間の長期化などで介護ニーズは増大した
・核家族化の進行や介護家族の高齢化などの介護家族の状況の変化
・従来の老人福祉制度や老人医療制度での対応は限界に達している
介護保険サービスが上記の背景をもとに提供されていることを理解する必要があります。
現代日本の介護福祉とは
日本はさらなる高齢化率の上昇と総人口の減少のもとで、介護福祉に取り組まなければなりません。日本の令和5(2023)年1月現在の高齢化率は29.0%ですが、今後は以下のように変化すると推計されています。
・令和18(2036)年:高齢化率は33.3%(国民の3人に1人が65歳以上)
・令和24(2042)年以降:65歳以上人口の減少と高齢化率の上昇が同時に進行
・令和47(2065)年:高齢化率は38.4%(国民の約2.6人に1人が65歳以上)
また、15〜64歳の生産年齢人口も平成7(1995)年をピークに減少し続けています。
これらの状況で当然ながら介護職員の必要数は増加しており、将来的には以下の介護職員が必要とされています。
・2023年度には約233万人
・2025年度には約243万人
・2040年度には約280万人
次章では介護福祉士の今後について考えていきましょう。
歴史から考える介護福祉士の今後
最後は歴史を振り返りながら介護福祉士の今後について考えていきましょう。
介護福祉士はこれからも必要とされ続ける
介護福祉士は今後も必要とされ続ける介護の専門職と言えます。なぜなら、今まで高齢化率が上昇するにつれて、介護福祉分野で働く専門職が多く求められるようになっているためです。介護資格や施設などの介護福祉制度の整備も、高齢化率の上昇が理由です。福祉機器や介護ロボットが普及しつつありますが、介護職員の一部の仕事が置き換わるだけで、介護職員の必要数が減るわけではありません。これらの状況で介護分野のリーダー的な役割を担う介護福祉士は、必要とされ続ける人材であると推測できます。
DXへの対応も?今後の介護福祉士に求められるものとは
介護福祉士はさらなる自己研鑽が必要と言えます。なぜなら、介護福祉士に求められるものが多くなってきているためです。介護福祉士の業務に喀痰吸引や経管栄養が追加されたように、求められることが多くなっています。また、近年の介護記録システムの導入や見守りシステムの導入、介護ロボットなどの介護分野でのDXが注目されています。介護福祉士は現状に満足せずに日々の研鑽が必要なのです。
介護福祉士の歴史を理解し日本の介護の未来を考えよう!
介護福祉士の歴史は日本の介護の歴史そのものです。高齢化率が上昇するにつれて介護施設や介護職員が求められるように、介護現場のリーダーである介護福祉士が求められ続けるでしょう。しかし、その求められる状況に満足していては介護福祉士に未来はありません。日々研鑽し知識やスキルを磨いていきましょう。
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