介護のキャリア段位制度をご存じですか?
「しっかり介護の仕事をしているのに、あまり評価されていない気がする」そのように感じている方は、キャリア段位制度で自分の客観的な実力を把握するのが一番です。しかし、「キャリア段位制度なんて初めて聞いた」という人も多いのではないでしょうか。
今回は、自分の介護レベルが見える化されるキャリア段位制度について解説します。キャリア段位制度で自分の介護をみてもらえば、自分の出来ているところ、出来ていないところがわかります。出来ていないところがわかれば、日常の業務の中で改善できますよ。キャリア段位制度で自分の長所・短所を把握して、スキルアップの指針にしましょう。
キャリア段位制度とは
介護キャリア段位制度(介護プロフェッショナルキャリア段位制度)は、2012年に創設された介護の職業能力を評価・認定する仕組みです。2014年までは内閣府の、2015年以降からは厚生労働省の管轄になりました。
キャリア段位制が導入された背景
キャリア段位制度創設のきっかけは、内閣府が補助事業として実施していた実践キャリアアップ戦略です。実践キャリアアップ戦略は、「仕事上の肩書きではなくその人のスキルやキャリアで評価して、プロとして埃が持てる社会を作ろう」というものでした。キャリア段位制度はその一環として創設され、介護などの成長分野における人材育成と新たな労働力の確保を目指すものとして始まりました。
キャリア段位制度の評価項目と評価基準
キャリア段位制度は、レベル別に7段階で評価を行います。レベル1のエントリーレベルから始め、レベル7の介護プロフェッショナルを目指す仕組みです。
※参考: 内閣府省「実践キャリアアップ戦略」
レベル4以上になると、ほかの職員の指導を任されるレベルとされ、キャリア段位の評価をするアセッサーになる資格が与えられます。
キャリア段位制度の実施状況は?
介護職員の能力のレベル認定をする人材育成プログラムとして始まったキャリア段位制度ですが、実施状況はあまりよくありません。シルバーサービス振興会の調査では、キャリア段位制度を活用している事業所は3割に満たないと報告されています。
その理由として「事業者にインセンティブが働かない」「現場からのニーズがない」「費用の割りに効果がわからない」などが上がっています。しかし、この制度を導入すれば、一定の効果が出ているのも事実です。
キャリア段位制度を実際に運用している施設からは「介護職員の介護技術について再確認ができた」「自ら介護の内容を振り返り、気づきにつなげるようになった」などポジティブな意見が出ています。ほかの施設が実施していないからといって、効果がないわけではありません。ぜひ、自施設のレベルアップのため、積極的に取り入れてください。
※参考: 一般社団法人シルバーサービス振興会「介護事業者(介護職)の現場での課題対応力強化に向けた調査研究事業」
キャリア段位の実際の評価はどのように行われる?
キャリア段位のレベル認定は、各事業所にいるアセッサーが行います。アセッサーとは、一般社団法人シルバーサービス振興会が認定した介護職員の実践スキルを評価する人です。評価の基準は「実践的スキルの評価」と、「知識レベルの評価」の2つに分かれます。
実践的スキルの評価
実践的スキルの評価基準は、基本介護技術の評価や利用者視点での評価などの大項目があり、さらに入浴介助や食事介助などの中項目に分類されています。これらの評価基準をもとに、アセッサーが介護職員の日常の業務への取り組みなどを観察して評価するのです。そして、アセッサーの評価を第三者機関がチェックし、介護キャリア段位制度が適切に行われているか判断します。
知識レベルの評価
知識レベルの評価では、レベル1から4までの4段階で評価が行われ、保有する資格によって以下の評価基準が設定されています。
・介護職員初任者研修を修了したものはレベル1から2に相当
・介護福祉士実務者研修課程を修了したものはレベル3に相当
・介護福祉士国家試験を合格したものはレベル4に相当
キャリア段位の評価をするアセッサーになるには?
キャリア段位の評価を行うアセッサーになるためには、アセッサー講習を受けなければなりません。アセッサー講習を受けるためには、以下のいずれかの受講要件を満たす必要があります。
・介護キャリア段位制度のレベル4以上のもの
・介護福祉士として3年以上の実務経験があり介護福祉士実習指導者講習会を終了しているもの
・介護福祉士試験委員の要件に該当しているもの
アセッサーは職員の評価をするだけではなく、評価を受ける方に寄り添いスキル向上の具体的なアドバイスや指導を通してサポートする役割を担います。
キャリア段位制度導入のメリット
キャリア段位制度を導入している事業所は少ないのですが、大きなメリットがあります。そのメリットは事業所だけではなく、介護職員にもあるのです。それぞれにどのようなメリットがあるか、確認しましょう。
・介護職員のメリット
・事業所のメリット
介護職員のメリット
キャリア単位制度における介護職員のメリットは、自分自身のスキルアップの指針になる点です。自分ができている部分、できていない部分が明確になるため、日々の業務の中でできていない部分を意識して改善できます。転職のさいにも自分のスキルの証明になるため、転職活動も有利になるでしょう。
事業所のメリット
事業所にとっても職員のできる部分、できない部分が明確になるのは大きなメリットです。どの職員に何を指導すればいいのかが明確になるので、指導の指針になります。また、キャリア段位制度を導入すれば、公正な人事評価が期待できます。昇給や昇進、ボーナスなどでも、職員が納得のいく指標になるでしょう。
キャリア段位制度のデメリット
キャリア段位制度のメリットはたくさんありますが、デメリットも存在します。キャリア段位制度のデメリットとしては、制度導入によって施設や事業所職員の負担増加があげられます。
アセッサーは、評価についての根拠をもれなく記録しなければなりません。人手不足の介護現場では現場職員がアセッサーを兼務しているため、職員の負担が大きくなってしまうのです。また、キャリア段位制度のレベル認定に費用が生じるのも、デメリットでしょう。アセッサー講習受講には2万円以上の費用がかかります。一人の職員だけにアセッサーを担当させるのは厳しいものがあるため、複数の職員にアセッサー講習を受講させたいところですが、その場合費用はかなりのものになってしまいます。
【まとめ】キャリア段位制度は介護の質を高める強力なツール!
介護キャリア段位制度は、介護職の能力を評価して段位を認定する制度です。実施状況はあまり良くないのですが、制度導入によって介護職員と事業所のスキルアップや指導の指針になり公正な人事評価も期待できるため、介護の質を高めるツールとして有効でしょう。介護の質を高めたい方は、ぜひキャリア段位制度に挑戦しましょう!
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