グループホームとは、医師から認知症と診断された高齢者が介護職員のサポートを受けつつ自立的な生活をする場です。
グループホームでは、「ユニット」と呼ばれる単位に分かれ、掃除や家事などを役割分担しながら共同生活を行います。1ユニットは5名から9名の小規模で構成されます。
少人数制の共同生活なので、入居者はアットホームな環境でゆったりと過ごすことが可能です。
また、それぞれの入居者が自分の役割をこなすことで、認知症の進行を遅らせたり人との交流を楽しんだり自分の居場所を発見することを目的にしています。
今回はグループホームでのお仕事についてご説明いたします。

グループホームの入居条件と介護対象について
グループホームに入居するため条件は次のとおりです。
- 65歳以上の高齢者であること
- 介護保険で要支援2以上または要介護1~5までの認定を受けていること
- 医師から認知症と診断されていること
- 施設と同じ市区町村に住民票があること
グループホームは1ユニット5~9の少人数制が基本で、最大2ユニット(18人)までの施設がほとんどです。グループホームに入居する条件は施設によって様々なので、それぞれ確認が必要です。
グループホームのお仕事は?
認知症対応型共同生活介護(以下、グループホーム)では、入居者自身に身の回りのことや家事をしてもらいながら、介護職員ができない部分をフォローします。具体的には、以下のようなサービス内容を提供しています。
身体介護 | 食事・入浴・排泄などの身体介護や、ナイトケア・モーニングケアを行う。 |
生活支援 | 施設内で調理・掃除・洗濯などの家事援助を行う。 |
レクリエーション | 花見や夏祭りなど、四季を体感できるような行事イベントや、 体操・ゲーム・カラオケ・園芸などのレクリエーションを行う。 |
同行支援 (通院・買い物 | 介護職員が入居者の病院受診や買い物、その送迎に付き添う。 また、必要に応じて医療費や買い物の支払いを代行する。 |
体調管理 | 入居者の体調観察や睡眠状況の把握、服薬管理を行う。 |
看取り |
グループホームの業務内容と一日の流れ
日勤を担当する介護職員の一日の流れを一例でご紹介いたします。
8時00分~ | 出勤したら夜勤担当者から引継ぎを行います。申し送りで入居者の体調や様子に問題がないかをしっかりと聞き取り、一日の予定の確認をします。 |
9時00分~ | 入居者の体調管理のため午前のバイタルチェック(体温・血圧・脈拍など)を行います。 |
9時30分~ | 必要に応じて入浴介助を行います。入居者が入浴しやすいようサポートします。 |
10時00分~ | 入居者と一緒に昼食の買い物や運動のため散歩に出かけます。 入居者の安全に気をつけながら自然や景色を見て楽しい時間を過ごします。 |
11時00分~ | 入居者と一緒に食事の準備や配膳を行います。 |
12時00分~ | 自力で食事ができない入居者に食事介助や服薬介助を行います。食後に口腔ケアを行います。 |
14時00分~ | 入居者の希望を聞きながら体操・ゲーム・書道・合唱など、脳を活性化させるレクリエーションを行います。 |
15時00分~ | 一緒におやつとお茶を楽しみながら会話をし、必要に応じて食事介助を行います。食後は干していた洗濯物を一緒に取り込み片付けます。 |
16時00分~ | 入居者の体調管理のため午後のバイタルチェック(体温・血圧・脈拍など)を行います。 |
16時30分~ | 入居者と一緒に食事の準備や配膳を行います。 |
16時50分~ | 夜勤担当者への引継ぎ業務の他、入居者の午後の様子を記入した業務日誌を提出して日勤者の業務は終わります。 |
17時00分 | 退勤します。 |
夜勤勤務の場合は?時間帯と業務内容
続いて夜勤の勤務体制についてご紹介いたします。
17時00分~ | 出勤したら日勤担当者からの引継ぎを行います。 日勤担当者が記録した業務日誌の内容にしっかり目を通し、夜勤中に気を付けるべきことを把握します。 |
17時30分~ | 自力で食事ができない入居者に食事介助や服薬介助を行います。食後に口腔ケアを行います。 |
19時00分~ | 入居者と一緒にテレビ鑑賞や会話を楽しんだりします。すでに眠気のある入居者には就寝を促したり臥床介助など行います。 |
20時00分~ | 寝間着に着替える際に介助が必要な入居者を手伝います。このとき、寝具などに汚れがないかなども確認しておきます。また、必要に応じて排泄介助を行います。 |
21時00分~ | 入居者が就寝したら、施設内の見回りや体位交換、オムツ交換などを行います。入居者の状態を記録しておくなどの作業もあります。 |
6時00分~ | 入居者を起こし、着替えや身なりを整える介助を行います。 |
7時00分~ | 朝食の準備と配膳、後片付けを行います。必要な入居者には食事や服薬介助、食後には口腔ケアなどを行います。 |
8時00分~ | 食事の様子、排泄など入居者の朝の様子を業務日誌に記録します。日勤担当者が出勤してきたら、入居者について気になる点や状態などを引継ぎ、情報共有します。 |
9時00分~ | 退勤します。 |
仕事のやりがいと注意点とは
他の施設と比べると、グループホームは少数制のため入居者に寄り添うことができます。
入居者が一人では困難なことをサポートしながら一緒に挑戦し、できるようになっていく姿を見ているとやりがいを感じるでしょう。
注意点としては物事を冷静に捉える判断力が求められます。
グループホームの入居者のなかには、不安や苛立ちなどから時に介護拒否・徘徊・暴言といった行動をとる方もいらっしゃいます。
認知症の知識や理解が少ない場合、ストレスやショックを感じてしまいますが、入居者は悪意からこれらの行動をとっているわけではありません。
入居者の気持ちに寄り添いつつ「今何を考えていらっしゃるのか」と冷静になることで心に余裕が生まれます。
知っておくべきグループホームの特徴

勤務施設によって福利厚生は様々
グループホームの運営は、医療法人や社会福祉法人、民間企業など様々です。施設によって福利厚生は異なります。
運営する母体が医療法人や社会福祉法人であれば国から補助金が出るため、福利厚生が手厚い可能性があります。
民間企業が運営している場合は独自性のある福利厚生が用意されていたりします。
民間企業が運営している施設の中でも福利厚生に差がでるというケースもありますので複数の施設をチェックして比べておくとよいかもしれません。
転職をする際は給与面以外にどこが運営しているかといった内容もしっかり確認して選びましょう。
気になるお給料は?資格を取得することでお給料が上がる?
厚生労働省の調査によると、グループホームに常勤する資格保有者の平均給与は約29万円です。一方、常勤する無資格者の平均給与は約25万6千円と約3万4千円もの差があります。
施設形態 | 保有資格あり | 保有資格なし |
グループホーム (認知症対応型共同生活介護) | 290,280円 | 256,420円 |
※参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
グループホームでは、資格が無くても勤務できる場合もありますが、資格を取得していることで給与額に違いが出るのは明確なようです。
資格名 | 平均給与 |
介護福祉士 | 303,800円 |
社会福祉士 | 335,120円 |
介護支援専門員 | 349,740円 |
実務者研修 (介護職員基礎研修およびヘルパー1級) | 278,920円 |
介護職員初任者研修 (介護職員初任者研修およびヘルパー2級) | 277,150円 |
※参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
今後も介護事業に携わるのであれば介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの資格取得を視野に入れてみるのもおすすめです。
グループホームの人員配置は?
グループホームの人員配置は厚生労働省により以下のように定められています。
代表者
専従の常勤者を1名。介護老人福祉施設などで認知症高齢者の介護に携わった経験、保健医療サービス・福祉サービスの事業の経営に関わった経験、厚生労働大臣が定めた研修を修了している者。
常勤管理者
専従の常勤者を1名。認知症高齢者介護に3年以上携わった経験があり、厚生労働大臣が定めた研修を修了していること。
介護職員
日中の常勤者は3名の入居者につき介護職員1人以上を配置。
夜間・深夜は宿直ではない介護職員を1人以上配置。
計画作成担当者
ケアマネジャー資格を有する計画作成担当者を1ユニットごとに1人配置。
グループホームの人員には看護職員の配置義務はありません。
訪問看護ステーションなどと連携し、緊急時の医療体制に備えている施設が多数見られます。
介護の転職はグループホームがおすすめ
グループホームで働くメリット・やりがい
グループホームで働くことのメリットややりがいは以下のようなものがあります。
・少人数の入居者お一人おひとりに向き合ったケアが行える
・無資格、未経験でも認知症高齢者の介護方法が学べる
・認知症ケアに特化した職場で、利用者も職員も落ち着いて生活・仕事ができる
グループホームでは、1ユニットあたり5~9名で共同生活を行います。
そのため、入居者同士や介護職員が顔馴染みになりやすいです。
入居者自身が落ち着いた環境で過ごせるだけでなく、少人数の入居者一人ひとりに向き合えることで、介護職員が仕事を覚えやすいという利点があります。
グループホームで働くデメリット・大変さ
グループホームで働くことのデメリットや大変さは以下のようなものがあります。
・少人数のため、相性が悪い入居者や介護職員と毎日顔を合わせないといけない
・医師や看護師が常駐しておらず、急変時の対応は外部に依頼しないといけない
・医療体制が不十分なため、医療が必要になった入居者の対応ができない
グループホームは、入居者がこれまで暮らしていた自宅のような雰囲気です。介護職員が入居者と協力しながら料理・掃除・洗濯などの家事を行います。
アットホームで入居者と介護職員の距離が近いことが特徴ですが、入居者と介護職員もしくは介護職員同士の相性が悪い場合でも毎日顔を合わせないといけません。人間関係での悩みやトラブルを抱えやすいというデメリットがあります。
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