介護支援専門員(ケアマネージャー)は他の福祉系の資格と比べると、受験資格が厳格であり合格率も低い資格です。
しかし、取得することで介護現場での活躍の場をより広げることができる資格でもあります。
今回は介護支援専門員(ケアマネージャー)がどのような資格なのか、また介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得するメリットについて解説いたします。
介護支援専門員(ケアマネージャー)とは
介護支援専門員はケアマネージャーとも呼ばれます。介護支援専門員(ケアマネージャー)の仕事についてご紹介いたします。
具体的には、ケアプランの作成・介護保険給付の管理や介護サービス事業者との調整などを行います。
介護支援専門員(ケアマネージャー)は、介護を必要とする方と介護サービス提供者を結ぶパイプ役を担っているので、コミュニケーションをとることが得意な方に向いている仕事です。
介護支援専門員証
介護支援専門員(ケアマネージャー)には介護支援専門員証を交付してもらう必要があります。
これがなければ介護支援専門員(ケアマネージャー)として活躍することはできません。取得方法については後ほど詳しくご説明いたします。
介護支援専門員(ケアマネージャー)には居宅ケアマネージャーと施設ケアマネージャーの2種類がありどちらも取得する資格は同じです。
居宅ケアマネージャーの仕事内容
居宅ケアマネージャーは、自宅にいながら介護サービスを希望する方を対象にケアプラン作成を行います。
はじめに介護サービス希望者の自宅を訪問し、本人や家族の現状確認と相応しいサービスを検討するための聞き取りを行います。意向がまとまったら希望に沿うケアプラン作成をします。
介護サービス開始後も月に1度は自宅を訪問して希望通りの介護が行われているか、他に困っていることがないかなどを聞き取ります。
介護支援専門員(ケアマネージャー)は利用者のフィジカル面だけでなく、メンタル面をケアすることも大切です。
施設ケアマネージャーの仕事内容
施設ケアマネージャーは、特別養護老人ホームなどの施設に入居する方のケアプランを作成する仕事です。
他の介護職員とコミュニケーションをとりながらケアプランを作成します。意見交換やより質の高いケアを行うための指導をすることもあります。
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得するには
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格である介護支援専門員証の取得についてご紹介いたします。
介護支援専門員(ケアマネージャー)資格の取得方法
介護支援専門員証を取得するには「介護支援専門員実務研修受講試験」という試験に合格しなければなりません。
合格後は介護支援専門員研修を受講し、登録申請をしなければ介護支援専門員証が交付されません。試験を通っただけでは資格がとれないので注意しましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネージャー)の概要
令和2年度第23回東京都介護支援専門員実務研修受講試験 | |
試験日 | 令和2年10月11日(日曜日) 午前10時試験開始 |
受験資格 | 保健・福祉・医療分野で原則として5年間以上かつ900日以上の実務経験を有する者 |
申込書配布時期 | 令和2年6月1日から6月30日 ※原則として、土曜日、日曜日を除く月曜日から金曜日。 |
受験申込方法 | 受験要項に添付されている所定の封筒を簡易書留で郵送。 |
受験手数料 | 12,800円 |
申込受付期間 | 令和2年6月1日から6月30日(当日消印有効) |
合格発表日 | 令和2年12月2日 |
※参考:東京都福祉保健局「令和2年度第23回東京都介護支援専門員実務研修受講試験」の実施について」
※留意事項:試験概要は都道府県による。
試験の受験資格
介護支援専門員(ケアマネージャー)の試験を受験するにあたり、一定の職種で5年以上かつ900日以上の勤務実績が必要です。
一定の職種とは「国家資格」、「生活相談員」、「支援相談員」、「相談支援員」、「主任支援相談員」です。
介護支援専門員(ケアマネージャー)資格は国家資格ではないため各都道府県の取り扱いになります。詳しい受験資格についてはお住いの都道府県のホームページを確認してください。
※国家資格とは医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉師が該当します。
試験の難易度
厚生労働省のホームページによると、令和2年度の「第23回介護支援専門員実務研修受講試験」では受験者数46,415人のうち合格者は8,200人でした。(合格率17.7%)
第1回目と第2回目の試験は合格率がどちらも40%台でしたが、ここ10年近くはほぼ10%台です。特に第21回目は過去最低の10.1%と合格率はかなり低くなっています。このことから、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格取得は非常に難易度が高いことが分かります。
出題は介護支援分野、保健医療福祉サービス分野の2つで構成されており、介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問の計60問です。
難易度によって合格基準が変動しますが、各分野の正答率は70%以上であることが望まれます。
介護支援専門員証の有効期限は?
介護支援専門員証は5年の有効期限が定められています。更新するには、有効期限内に特定の研修を受講しなければなりません。
有効期限を過ぎた場合、再研修を受講して交付申請を行わなければならないため余裕をもって更新を行いましょう。
更新に必要な研修は各都道府県や勤務状況によって研修内容が異なるため、更新する場合は各都道府県に問い合わせてください。
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得するメリット
介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格取得は難易度が高いですが、その分メリットもあります。最後に介護支援専門員(ケアマネージャー)になるメリットを4点ご紹介いたします。
転職先の選択肢が幅広い
介護支援専門員(ケアマネージャー)は新たに仕事の幅を広げたいという方にとって非常におすすめの資格といえます。
活躍できる場に居宅介護支援事業所や老人ホーム、デイサービスなどがありますが、キャリアを積んで働く場所を広げることも可能です。
体に不安のある方でも実践的なケアではなく、デスクワークという形で介護に携わることができます。
夜勤がなくワークライフバランスが取れる
介護支援専門員(ケアマネージャー)は基本的に日中勤務なので、夜勤を行わなくていいというメリットがあります。
夜勤がある仕事は子育て中の方には厳しいこともありますので、介護支援専門員(ケアマネージャー)は家庭の事情やワークライフに合わせた働き方ができるというところも人気です。
介護現場における司令塔としてのやりがい
介護支援専門員(ケアマネージャー)は介護業界の中でも取得難易度の高い資格です。
介護支援専門員(ケアマネージャー)になると直接介護をする立場から離れますが、これまでの経験を活かして介護現場の司令塔として活躍することができます。
長く介護業界に携わりたいと考えている方にとって、介護支援専門員(ケアマネージャー)は非常に魅力的な仕事といえるのではないでしょうか。
一般的な介護職員に比べ年収が高い
介護支援専門員(ケアマネージャー)は、一般的な介護職員に比べて平均年収が高くなっています。
厚生労働省が発表した「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、平成30年の平均月給は介護職員が300,970円だったのに対し、介護支援専門員(ケアマネージャー)は350,320円でした。
職種 | 平成30年9月 |
介護職員 | 300,970円 |
看護職員 | 372,070円 |
生活相談員・支援相談員 | 321,080円 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 344,110円 |
介護支援専門員 | 350,320円 |
事務職員 | 307,170円 |
調理員 | 254,450円 |
管理栄養士・栄養士 | 309,280円 |
※参考:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
また、平均基本給は介護職員の181,220円に対し、介護支援専門員は217,690円となっています。
介護支援専門員(ケアマネージャー)はもっとも給与が高い看護職員に次いでは給与が高く設定されています。
職種 | 平成30年9月 |
介護職員 | 181,220円 |
看護職員 | 234,150円 |
生活相談員・支援相談員 | 210,570円 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士又は機能訓練指導員 | 227,070円 |
介護支援専門員 | 217,690円 |
事務職員 | 208,330円 |
調理員 | 176,120円 |
管理栄養士・栄養士 | 206,770円 |
※参考:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
まとめ
近年の合格率を見ると介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格取得は非常に難しく、並大抵の努力では合格が難しいかもしれません。
しかし、介護支援専門員(ケアマネージャー)は多くの現場から必要とされており、キャリアアップを積むためにも取得して損がありません。
高齢化社会が進む日本では、今後さらに介護支援専門員(ケアマネージャー)が必要とされることが予想されます。自分自身のキャリアアップのためにも是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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