介護のスキルアップ

身体拘束は原則禁止!あなたのケアは大丈夫ですか?

禁止されている身体拘束には、どのような行為があるかご存じでしょうか。平成2年4月から介護保険制度では、身体拘束が原則禁止されています。しかし、やむを得ない事情で身体拘束をしている施設もあるでしょう。また、身体拘束がよくわかっていないため、知らないうちに身体拘束を行っているケースもあるかもしれません。
今回は、身体拘束が引き起こす弊害や身体拘束の具体的な行為、身体拘束を廃止するためにやるべきことなどを解説します。
本記事を読んでケアの質を向上させ、施設から身体拘束を排除しましょう。

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身体拘束が問題になるのはなぜか|身体拘束による弊害

介護の現場では、利用者の転落や経管栄養チューブを抜去しないようになど、利用者の安全のために身体拘束をする場合があります。そのときは、とりあえず利用者の安全を確保できるでしょう。しかし、その方の尊厳を損なっている事実は変わりません。また、身体拘束が問題となるのはそれだけではありません。
以下に、身体拘束で引き起こされる弊害をまとめています。

【利用者に起こる弊害】
・身体を動かせないことによる心身機能の低下
・拘束部位の皮膚の損傷
・拘束したことにより転落等の事故を誘発
・拘束具による窒息
・せん妄の発生や認知症の悪化
・不安や怒りなどの精神的な苦痛

【介護施設に起こる弊害】
・職員のモチベーションが低下する
・仕事へのプライドが持てなくなる
・施設への信頼が喪失
・施設への不信感が増大

身体拘束による弊害を見てきましたが、身体拘束にあたるのはどのような行為でしょうか?

身体拘束にあたる具体的な行為

身体拘束は1990年4月から、介護保険法で原則禁止となっています。しかし、身体拘束が当たり前になっている状況では、その異常性に気づかないものです。そのため、どのような行為が身体拘束にあたるのかを具体的に理解すれば、実際の介護の現場で身体拘束を目にしたさいに、その違和感に気が付くでしょう。
身体拘束となる具体的な行為は、以下のものが挙げられます。

・手や足を車いすやベッドに縛る
・ベッドから降りられないように柵で囲う
・ミトン型の手袋を装着する
・車いすから立ち上がれないように、Y字がた拘束帯や腰ベルトの装着や車いすテーブルをつける
・介護衣(つなぎ服)の着用
・向精神薬を過剰に服用させる
・部屋に閉じ込める
・「動かないで」といった言葉で行動を抑制する

このような身体拘束を廃止するためにはどうすればいいのか、考えてみましょう。

身体拘束廃止に向けてやるべき5つの方針

厚生労働省は、身体拘束廃止に向けての5つの方針を掲げています。身体拘束廃止は、職員一人ではできません。それこそ施設全体で取り組まないと難しいでしょう。そのため、5つの方針を施設で働くすべての職員がする必要があります。
5つの方針は、以下の内容になっています。

・トップが決意して施設・病院が一丸となって取り組む
・みんなで議論し、共通の意識をもつ
・身体拘束を必要としない状態の実現を目指す
・事故の起きないように環境整備をし、柔軟な応援体制を確保する
・常に代替的な方法を考え、身体拘束するケースは極めて限定的にする

※参考: 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き

トップが決意して施設・病院が一丸となって取り組む

組織の長である施設長や病院長などが、身体拘束廃止を決意して現場のサポートを徹底する姿勢が重要です。そうすることで、現場も安心して身体拘束廃止に取り組めます。

みんなで議論し、共通の意識をもつ

身体拘束は、職員一人ひとりの意識の問題といえます。身体拘束がなぜ悪いのか、いけないのか、そしてどうすれば廃止できるかを、職員間で共有しなければなりません。業務中心のケアでは、身体拘束は発生しがちです。そのため、「利用者を中心としたケアを意識する」との共通理解も必要になります。

身体拘束を必要としない状態の実現を目指す

現在身体拘束を必要と判断されている方でも、その原因を探り取り除く努力が必要でしょう。そのような努力を続けて、拘束が必要ない状態を目指します。そのために、利用者さんについて正確なアセスメントが必要になるでしょう。「問題行動とされている行為が、なぜ発生するのか」と、原因を探る姿勢が大切になります。

事故の起きないように環境整備をし、柔軟な応援体制を確保する

「抑制を解除したら、転倒事故につながった」となれば、意味がありません。介護者は身体拘束廃止に向けた努力をしないといけませんが、一方で利用者さんの安全も確保する義務があります。転倒や転落の可能性があるのなら、ベッドの高さを工夫するといった対策も必要になるでしょう。また職員同士、声を掛けて協力し合うのも大切です。こうした柔軟な対応がとれる組織作りも、必要になってきます。

常に代替的な方法を考え、身体拘束するケースは極めて限定的にする

必要に迫られて身体拘束をする場合でも、常にほかに方法がないか代替案を考え続ける必要があります。拘束は必要最低限にとどめ、必要が無くなったら直ちに解除しなければなりません。また、「本当に拘束しなければいけないのか、ほかに方法はないのか」と、絶えず考える姿勢が求められます。

身体拘束を防ぐ3つの原則

身体拘束をせずにケアをするためには、身体拘束の原因となっている行為を特定し、取り除く必要があります。
次に紹介する3つの原則をふまえて、身体拘束をしないケアを考えてください。

・身体拘束が誘発される原因を探り除去する
・5つの基本的ケアを徹底する
・身体拘束廃止をきっかけに「よりよりケア」の実現を

身体拘束が誘発される原因を探り除去する

問題行動とされている行為にも、何かしら原因があります。介護する側の態度や姿勢、そのほかの環境に原因があるかもしれません。そのため、問題とされる行為をその人特有のものとせずに、環境に原因がないかと考えて徹底的に探りましょう。原因となるものを、少しずつでも取り除いていけば、それだけ身体拘束の廃止に近づいていくでしょう

5つの基本的ケアを徹底する

身体拘束の廃止のためには、次に示す基本的な5つのケアを徹底して行うことが重要です。

・起きることへのケア
・食事のケア
・排泄のケア
・清潔保持のケア
・活動(アクティビティ)のケア

このような基本的なケアを、入所者一人ひとりの状態に合わせて徹底しましょう。

身体拘束廃止をきっかけに「よりよりケア」の実現を

身体拘束を廃止するためには、ケアの質を上げることが大切です。そしてその取り組みを施設全体で行えば、よりよいケアの実現につながるはずです。身体拘束廃止をきっかけに、より良いケアを目指しましょう。

【まとめ】介護の質を上げて身体拘束を予防しよう

介護保険制度において、身体拘束は原則禁止になっています。しかし、やむを得ない事情で、身体拘束を行っている施設もあるでしょう。とはいっても、やむを得ない事情が今後も変わらないとは限りません。介護スタッフが提供するケアの質が向上すれば、やむをえない事情では無くなるかもしれないのです。身体拘束はさまざまな負の弊害があります。それは、利用者さん本人だけでなく、介護にあたる職員や施設にまで及ぶでしょう。しかし、施設が提供するケアの質が向上すれば、身体拘束の廃止が期待できます。本記事で紹介した5つの方針・3つの原則を実践して、身体拘束のない介護を実現しましょう。

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