介護のスキルアップ

専門作業療法士になるには?

専門作業療法士は、特定の分野に特化したスペシャリストであることを示す作業療法士の中でも最上位資格です。今回はこの専門作業療法士にはどうすればなれるのか?どのようなメリットがあるのかをご紹介します。キャリアアップを考えている作業療法士はぜひ参考にしてください。

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専門作業療法士とは?

専門作業療法士制度は障害を持つ人々へより効果的な作業療法サービスを提供し、生活支援に貢献することを目的に2009年から始まりました。専門作業療法士とは、認定作業療法士である者のうち、特定の専門作業療法分野において「高度かつ専門的な作業療法実践能力」を有するものとして認定されています。作業療法の中のある分野をより深く知り、その分野における高度な課題解決能力を有する人たちです。特に次の3つの役割を果たす能力を満たすとされています。

①専門作業療法士分野において、高い見識(物事を見通す優れた判断力)と優れた技術力(技術の向上・洗練と新しい技術の開発応用能力)によって卓越した作業療法を実践することができる能力。

②専門作業療法士分野において、困難な事例に対応できる能力。

③認定作業療法士のもつ能力を専門作業療法士分野で応用できる能力。すなわちその能力とは、作業療法士の実践能力を向上させるため教育能力、専門家を率いて統率・指導を行う能力、専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う能力。

専門作業療法士の取得方法

専門作業療法士を取得するためには、

①認定作業療法士の取得
②専門分野における4実践の修了

という2つの要件を満たす必要があります。
取得要件を満たすと、書類審査を受けることができます。書類審査を通過すると、受験票が送られ、いよいよ認定試験の受験となります。
ではそれぞれを詳しく解説していきます。

認定作業療法士の取得

認定作業療法士は専門作業療法士同様に日本作業療法士協会が定める認定資格となります。資格取得には、5年以上の臨床経験、基礎研修の修了、認定作業療法士の研修修了、事例報告などの要件を満たす必要があります。

4実践の修了

4実践とは、研修実践、臨床実践、研究実践、教育と社会貢献の実践のことであり、それぞれに専門単位数が設定されています。ではこれらの4実践の具体的内容と専門単位数についてみていきましょう。

研修実践(20単位)

研修実践では、専門分野ごとにカリキュラムが定められ、専門基礎研修、専門応用研修、専門研究開発の3段階に分けられます。3つの段階は専門基礎→専門応用→専門研究・開発と進む場合や専門基礎が修了後、専門応用と専門研究・開発を並行して進む場合があります。該当する研修に参加することで専門単位を取得することができます。

臨床実践(20単位)

臨床実践では専門分野での事例数、勤務経験が十分であるかを確認します。認定申請の際に、事例数と勤務経験を報告しなければならないため、協会入会後自己管理にて記録を残しておく必要があります。

・専門単位数:10単位
専門分野における一定時間以上の勤務経験がある。
専門分野により指定施設での一定期間の臨床研修を修了している。

・専門単位数:10単位
専門分野に関して、必要事例数の経験がある。

研究実践(10単位)

研究実践では、専門分野での論文、著書、学会発表、事例報告の実績を確認します。論文や学会は専門分野ごとに対象が異なる場合があるため、確認が必要です。

・専門単位数:2単位
事例報告登録制度を用いて専門分野ごとに定めた事例数を報告する。

・専門単位数:8単位
専門分野に関する論文・著書・学会発表を行う。

教育と社会貢献の実践(10単位)

教育実践は、研修会での講師、シンポジスト、専門作業療法士のための臨床研修の指導などが該当します。同じく社会貢献は論文査読、学会・研修会の運営、自治体事業への参画、ボランティア協力など、専門分野に関わる社会貢献が該当します。

・専門単位数:5単位
専門分野に関する教育実践をおこなう。

・専門単位数:5単位
専門分野に関する社会貢献をおこなう。

専門作業療法士資格認定試験に合格する

①認定作業療法士の取得、②4実践の修了という要件を満たしたら、書類審査に移ります。書類審査では、申請する専門作業療法士分野の取得要件や添付書類などを確認し判定されます。書類審査に合格すると、専門作業療法士資格認定試験を受験できます。この試験に合格することにより、晴れて専門作業療法士の資格を得ることができます。

専門作業療法士の分野

専門作業療法士は11の専門分野の中から1つを選択し、取得できます。ではどんな専門分野があるのでしょうか。それぞれの分野の定義とともにみていきます。

福祉用具

対象者のニーズに合致した用具の選定と適合を行い、問題解決のための多様な選択肢を検討するとともに、他職種との協同、連携ができる専門性を有する。

認知症

認知症患者に対する作業療法の高度な臨床実践の分野。

手外科

疾病、外傷などによる手の機能障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

特別支援教育

特別支援教育の対象障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

高次脳機能障害

高次脳機能障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

精神科急性期

精神科急性期における作業療法の高度な臨床実践の分野。

摂食嚥下

小児期から老年期までの幅広い年齢層であることに加え、食事動作としての上肢機能、姿勢制御、摂食嚥下機能、食具を含む食事環境の調整などを幅広く含む分野。食事をするという人の生活行為全般にわたる障害に対する高度な作業療法の臨床実践の分野。

訪問

身体・精神・認知機能に障害のある又は、起こりうる可能性のある(全ての年齢層)に対し、その人の暮らしを継続するために生活の場において最も適した作業を提供することで、心身機能の維持及び改善、地域活動・社会活動の機会の促進を実践することができる分野。生涯にわたる対象者の特性を考慮した高度な臨床実践と研究の積み重ねにより、その人のQOLの向上に貢献することができる専門性を有する。

がん

がんに罹患した経験のある方、その家族を含めた地域社会に対して、予防期から終末期、しべつごまでの様々な全人的苦痛に対して、その改善・緩和を行う。また他職種チームの一員として意味のある作業の実現とQOLの維持向上を目的に、リスク管理を行いつつ、がん治療に対する最新情報を集め、高度な臨床実践を行うとともに他職種への支援、研究ができる専門性を有する。

就労支援

様々な疾患や障害を有し就労を希望する方と休職している方、その家族、企業などを含めた地域社会を対象とする。また、就労準備から就労定着までの様々な課題に対し、働くために必要な心身機能と作業遂行能力の関連を評価し、その改善と環境の調整を行う。さらに働くことを通じて対象者のQOLの維持・向上を目的に、就労支援に対する最新情報を集め、高度な実践を行うとともに、他職種への支援、研究ができる専門性を有する。

脳血管障害

脳の血管病変などに起因する中枢神経系の様々な障害を持った対象者とその家族を含めた地域社会に対して、生活機能(心身機能と生活行為能力)の改善・向上を目的として実施する。また、他職種チームの一員として、心身機能および活動の視点から脳血管障害の治療に関する研鑽を積み、高度な臨床実践を行うとともに、他職種と連携し、得られた知見を学術的に発信する専門性を有する。

専門作業療法士を取得するメリット

専門作業療法士は2024年4月時点で延べ162名であり、これは作業療法協会会員数全体に対し、1%に満たない数しかいません。各分野ごとに細分化するとその数はさらに少なくなります。それだけ取得することが難しく、希少価値のある資格ですので、保持していると評価される資格といえます。転職や出世において、優位に働く可能性は十分にあります。
また資格を取得するためには様々な研修への参加、発表、論文投稿、社会貢献などハードルは高く設定されています。その分、資格を取得する過程で専門的なスキルが身につき、自信をもって治療にあたることができるようになるでしょう。

まとめ

今回は専門作業療法士の取得方法、取得のメリットについて紹介しました。取得するのがとても難しい資格ですが、その分取得すれば大変評価される貴重な資格です。作業療法士のみなさんはぜひチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。

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