介護の仕事内容

介護職の職場でのコミュニケーションが重要な理由について解説

介護現場では、利用者様やご家族の方、スタッフ同士、多職種連携など、職場でのコミュニケーションが重要視される傾向にあります。なぜ、介護サービスの質を向上させるためには、職場でのコミュニケーションが重要になるのでしょうか。本記事では、介護職が職場でのコミュニケーションが重要だと言われている理由について詳しく解説します。

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介護職が利用者様へご家族とコミュニケーションを図る目的

介護職が利用者様やご家族の方とコミュニケーションを図ることには、どのような目的があるのでしょうか。コミュニケーションが苦手な介護職にとっては、少し苦痛に感じることでしょう。しかし、介護職が利用者様やご家族の方とコミュニケーションを図ることには、以下のような重要な目的があります。

・利用者様に自分自身のことを知ってもらい、信頼関係を築くため
・利用者様が抱える病気や障がい、悩みなどを把握するため
・利用者様が抱える不安や悩み、苦痛などのつらい気持ちに寄り添うため

介護現場での利用者様とのコミュニケーションは、ただ世間話をすることではありません。利用者様を知り、自分自身のことを利用者様に知ってもらうことで、信頼関係を築くことができるのです。人は誰でも、見知らぬ人に自分の世話や介護、看病などを委ねることに抵抗があります。そのため、信頼関係が築けていない段階で介護ケアをしようとすると、拒否したり、暴れたりする利用者様がいるのです。利用者様に安心して介護サービスを受けてもらうためにも、コミュニケーションと信頼関係は欠かせないのです。

介護職がスタッフ同士や多職種連携でコミュニケーションを図る目的

介護現場でのコミュニケーションは、利用者様やご家族の方が対象者であるとは限りません。スタッフ同士や、看護師・ケアマネジャー・リハビリ職などの多職種連携でコミュニケーションを図る場面も豊富にあります。なぜ、介護現場では、スタッフ同士のコミュニケーションが重要なのでしょうか。ここからは、介護現場でスタッフ同士のコミュニケーションが重要視される理由を3つご紹介します。

円滑なチームケアを行うため

介護現場では常日頃、スタッフ同士や多職種連携でのチームケアが行われています。介護職や医師、看護師、理学療法士、介護支援専門員(ケアマネジャー)、生活相談員などの多職種が1つのチームを組み、介護サービスを提供します。
もし、チームのうちの1人が「報告・連絡・相談」を欠かすと、どうなるでしょうか。必要な情報が必要な職種に行き届かず、利用者様への対応が遅れてしまうことが想定できます。円滑なチームケアを行い、緊急時にもスムーズに対応できるよう、日頃からのコミュニケーションが欠かせないのです。

利用者様一人ひとりに適した介護サービスを提供するため

介護職が利用者様から聞いた話や意見を、他の介護職に伝えなければ、適切な介護サービスが提供できなくなってしまいます。例えば、「レクリエーションが苦手」という利用者様の主張を他の介護職に伝えなければ、強引に苦手なレクリエーションに参加させてしまうことになりかねません。
利用者様一人ひとりの心身状態やニーズに応じた介護サービスを提供するには、介護職が利用者様から話を聞くことが大事です。そして、利用者様から聞いた話を他のスタッフや多職種に共有することで、利用者様一人ひとりに適した介護サービスの提供が実現するのです。

介護サービスの質を高めるため

もし、1人の介護職が自分自身の効率を重視したやり方で介護サービスを提供すると、どうなるでしょうか。利用者様は「前はこうだったけど、今日は違うの?」と混乱してしまいます。そして、介護職一人ひとりが身勝手な介護サービスを提供する介護施設であると思われてしまうことでしょう。
介護職同士のコミュニケーションを通じて、均一化した介護サービスの提供方法を共有しておくことは極めて大切なことです。質の高い介護サービスを提供するためには、介護職同士のコミュニケーションや話し合いが欠かせません。

介護職のコミュニケーションを円滑にする方法

介護現場でのコミュニケーションを円滑にするには、どうすればいいのでしょうか。メモ用紙やタブレット端末などを活用してコミュニケーションを図ったとしても、職員同士の意見の食い違いは解消することができません。ここからは、介護職同士の意見の食い違いを防ぎ、円滑なコミュニケーションを図るための方法を3つご紹介します。

相手の立場に立って考える

他の介護職との意見の食い違いが生じた時は、ついつい「自分の考えの方が良いのに」と思い、腹が立ってしまいます。しかし、自分本位な考え方では、円滑なコミュニケーションは実現しません。「なぜ相手はそう考えたのか」「その考えに至った経緯や根拠はあるのか」など、さまざまな疑問を持って、相手の気持ちを考えてみましょう。そうすることで、言い合いや人間関係トラブルが防げます。

「共感の姿勢」を大切にする

介護現場では、利用者様の話を受け入れたり、共感したりする機会が多くあります。しかし、相手がスタッフ同士だとどうでしょうか?ついつい、自分の意見や考えを相手に押し付けてしまいがちです。利用者様と接する時のように、スタッフ同士の会議や話し合いでも、共感の姿勢を持つことが大切です。相手を尊重することで、余計な怒りやストレスを溜めないようにしましょう。

相手との距離感を大事にする

他のスタッフ同士と距離感が近づきすぎてしまうと、本音をぶつけてしまったり、自分の仕事を相手に任せてしまったりしてしまいます。スタッフ同士のコミュニケーションは、相手に負担や迷惑をかけるために行うものではありません。適度な距離感を保ちつつ、必要なことだけを的確に伝えることが大切です。

コミュニケーションが苦手な介護職の対処方法

「人とのコミュニケーションが苦手」という悩みを感じている介護職も意外と多く存在します。しかし、コミュニケーションが苦手な介護職でも、コツを掴めば適切なコミュニケーションが図れるようになります。コミュニケーションが苦手な介護職にオススメの対処方法は、主に以下の3つです。

・「開かれた質問(オープンクエスチョン)」を心がける
・「共感の姿勢」を見せる
・「オウム返し」を適度に活用する

まず、コミュニケーション技法の1つに「開かれた質問(オープンクエスチョン)」というものがあります。「閉じられた質問(クローズクエスチョン)」のように、「はい」または「いいえ」で答えられる質問ではなく、相手が自由に回答できる質問です。
例えば、「家に帰りたいの」と訴える利用者様に、「家に帰りたいのですね」と返すと、「はい」で会話が終わってしまいます。「どちらにお住まいですか?」「お家にはご家族の方はいますか?」など、相手が自由に回答できる質問をすることで、会話が広がります。
また、「私もその地域に住んでいるんですよ!ご近所ですね」と共感の姿勢を見せて会話をすることで、さらに信頼関係が深まることでしょう。もし、利用者様の話に共感できる点がなかった場合は、無理して共感しなくても構いません。「迎えが来ないの」と話す利用者様に、「今日は迎えが遅いのですかね」とオウム返しすることで、話を聞いてもらえているという満足感につながります。

職場でのコミュニケーションには目標設定が大事

職場でのコミュニケーションを円滑に行うためには、ある程度の目標設定が重要です。

例えば、
・会議では全員1回ずつ意見を出し合うこと
・毎朝10分、申し送りとして利用者様の情報を共有すること
・経験の浅い新人職員でも、積極的に意見を発言すること など

目標設定を行うことで、コミュニケーションをとることが苦手な介護職でも「頑張ろう」という気持ちになって取り組むことができます。目標は個人で決めても構いませんが、チーム内で共通の目標を設定することで、チームの団結力が高まります。職場のコミュニケーションでお困りの介護現場では、是非実践してみてください。

まとめ 介護職には職場でのコミュニケーションが欠かせない

質の高い介護サービスや、利用者様一人ひとりの心身状態・ニーズに適した介護サービスを提供するためには、スタッフ同士のコミュニケーションが欠かせません。また、安心した気持ちで介護サービスを受けてもらうためにも、利用者様とコミュニケーションを図り、信頼関係を築くことが重要です。職場でのコミュニケーションに悩んだら、その悩みを共有することで、思いがけぬ解決策が見つかるかもしれません。大事なのは、1人で抱え込まないことです。

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