要介護高齢者が生活する介護施設では、「生命の終わり」に関わる機会が多くあります。「人の死」に立ち会う際、どのようなケアが必要か。
この記事では、介護施設や病院、自宅などで行われる看取り介護についてご紹介します。看取り介護の内容や流れを理解し、高齢者の安らかな最期に寄り添ってください。
看取り介護とは?
看取りとは、近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的・精神的な苦痛を緩和・軽減し、人生の最期まで尊厳ある生活を支援することです。
分かりやすく説明すると、看取りとは「人の人生の最期における介護ケア」という意味です。
看取り介護で重要なポイントとして、「本人の意向を尊重し、無理な延命治療を行わない」「人としての尊厳を保ち、自然な最期を迎えることを支援する」ということが挙げられます。
「看取り介護」の需要は年々高まっている?
日本では、高齢化社会の進行に伴い、要介護高齢者や死亡者が増加することが懸念されています。
また、以前までは最期を迎える場として「病院」が一般的でしたが、新型コロナウイルスの流行により、数々の問題点が挙げられています。
近年、医療現場は「病床の不足」や「患者との面会不可」などの問題点を抱えているのが現状です。
そのため、住み慣れた自宅や入居している介護施設で看取り介護を希望する人が増加しています。
高齢化社会や新型コロナウイルスの流行など、日本の社会情勢により、自宅や介護施設での看取り介護の需要が年々高まっています。
「ターミナルケア」「エンゼルケア」との違い
看取り介護と聞くと、死期が近い人に対して行われる「ターミナルケア」や亡くなった人に対して行われる「エンゼルケア」をイメージする人は多いでしょう。
しかし、「ターミナルケア」や「エンゼルケア」は看取りと酷似していますが、それぞれの意味や目的は異なります。
【ターミナルケア】
ターミナルケアは、死期が近い人に対して行われる終末期医療を指します。
無理な延命治療は行わず、身体・精神の苦痛を緩和するケアを行います。
<看取り介護との違い>
・ターミナルケアでは、喀痰吸引や経鼻経管栄養、点滴など、最期までその人に必要な医療行為を行う
・看取り介護では、ターミナルケアのような医療行為は行わない
【エンゼルケア】
エンゼルケアは、亡くなった人に対するケアを指します。
<看取り介護との違い>
・エンゼルケアでは、全式清拭や更衣、化粧など
・亡くなった直後に身体を清潔にするケアを行う
・看取り介護では、エンゼルケアのような「死の直後のケア」ではなく、亡くなる前の介護ケアや、心身の苦痛を取り除く緩和ケアを行う
看取り介護が行われる場所
近年、住み慣れた自宅で最期を迎えたいと希望する人が増えています。
しかし、実際は医療や介護が必要になり、病院や介護施設で最期を迎える人が多いのも事実です。
看取り介護が行われるのは、「自宅」「病院」「介護施設」の大きく分けて3つです。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについてご紹介します。
【自宅】
訪問介護・訪問看護・訪問医・ケアマネジャーの連携により、住み慣れた自宅で最期を迎えます。
<メリット>
・住み慣れた自宅で穏やかに最期を迎えられる
・病院や介護施設のように、相部屋の患者や入居者に気を遣うことがない
<デメリット>
・在宅医療の整備が不十分なため、訪問医や訪問看護師がなかなか見つからない
・家族が負担に感じてしまう/本人が家族に気を遣う
・独居や家族が遠方に住んでいるなど、家族を頼れないことで不安を感じる
【病院】
喀痰吸引や経鼻経管栄養、点滴など、必要な医療行為が受けられます。
医療設備が整っており、安心できる環境で最期を迎えます。
<メリット>
・医師の指示に基づいた適切な医療的ケアが受けられる
・必要な医療行為を最後まで受けることができる
<デメリット>
・肺炎や急性心筋梗塞など、急性疾患の治療が終了した場合、
容態が安定していれば退院を求められる
【介護施設】
「終の棲家」として、看取り看護に対応している介護施設で、延命治療を行わずに自然な最期を迎えます。
<メリット>
・延命治療を行わず、自然な最期を迎えられる
・看取り介護に携わった経験が豊富な介護専門職に看取りを行ってもらえる
<デメリット>
・デイサービスやショートステイなど、看取り介護に対応していない施設がある
・グループホームでは、容態急変時に退去を求められる場合がある
看取り介護の流れ・ケア内容
看取り介護では、医師の医療的知見に基づき、回復の見込みがないと判断された高齢者に対し、身体的・精神的な苦痛を取り除く緩和ケアを行います。
そのため、まずは看取り介護を受ける本人の気持ちや心理状態を理解することが大切です。
アメリカ合衆国の精神科医であるエリザベス・キューブラー=ロスが著書において提唱した「死の受容のプロセス」には、以下のようなものがあります。
①否認:「何かの間違いだ」「信じられない」と、病を受け止めることができない段階
②怒り:「自分だけがこんな目に遭うなんて」と、怒りが込み上げてくる段階
③取り引き:「病気さえ治れば、他に願うことなどない」と、神との取り引きをしようとする段階
④抑うつ:「もうダメだ」「生きていても仕方ない」と、抑うつ状態になる段階
⑤受容:自らの状況を理解し、それを受け入れることができる段階
「看取り介護」の種類・内容
看取り介護では、人生の最期を迎える人の気持ちを理解することが大前提となります。
そのため、看取り介護に関わる介護士は、様々な心理的葛藤を繰り広げている本人やご家族に寄り添った対応をすることが求められます。介護施設で介護士が行う看取りケアの種類と具体的な内容についてご紹介します。
【身体的ケア】
・入浴、排泄、食事、水分補給、口腔ケアの介助
・定期的な居室の巡回と照明、室温などの環境整備
・看護師によるバイタルチェックや褥瘡処置
・定期的な体位交換
本人ができる限り安楽・安寧に過ごせるよう、身体介護や環境整備を行います。
また、定期的な巡回や体位交換により、身体的な苦痛・痛みを取り除くことも看取り介護において重要です。
【精神的ケア】
・定期的かつ継続的なコミュニケーション、スキンシップを図る
・環境整備を行い、プライバシーを尊重する
本人が寂しさ・不安・孤独感を感じないよう、定期的かつ継続的にコミュニケーションやスキンシップを行います。
また、落ち着ける環境でプライバシーを尊重した声かけを行うことも、本人の精神的苦痛を和らげることに繋がります。
【家族へのケア】
・家族に代わって身体介助を行い、身体的負担を軽減する
・家族の看取りへの希望や精神的苦痛への対応、配慮
・本人の死後、強い悲しみを抱える遺族への心理的支援(グリーフケア)
看取り介護では、亡くなる本人へのケアだけでなく、家族への配慮や精神的支援を行います。
大事な人を亡くした家族が、うつ病や燃え尽き症候群(バーンアウト)になることを防ぐため、本人だけでなく家族に寄り添うことも大切です。
また、家族の心理状態によっては、葬儀場や行政書士の紹介など、本人の死後に必要な手続きの紹介を行う場合もあります。
看取り介護のポイント
人の生命には必ず「終わり」が訪れます。
看取り介護では、人の人生の終焉について、以下のような考えを大切にしています。
・人の寿命に抗うような延命治療は行わないことが、「自然な看取り」である
・人の「老い」や「死」を受容し、尊厳をもって看取り介護を行う
・点滴や経管栄養などの延命治療を行わないことが「平穏死」「尊厳死」「自然死」である
看取り介護は、無理な延命治療を行わず、人としての尊厳を保つケアであることが大前提です。
本人が元気なうちから、延命治療や自然死に対する意向を確認しておき、看取り介護が必要になった時に本人の希望に沿った対応が行えるようにしておきましょう。
まとめ 「人の最期」に寄り添える介護士として
近年、高齢化や新型コロナウイルスの流行などの社会情勢により、住み慣れた自宅で最期を迎えることを希望する人が増加しています。
しかし、現実的には医療や介護が必要になり、病院や介護施設で最期を迎える方が大半です。
また、在宅介護が十分に整備されていないことで、本人が希望する医療や介護が思うように受けられないという課題もあります。
人生の終焉を迎える人の希望に沿った対応ができるよう、看取り介護に関わる介護士は「傾聴」「受容」「共感」を基に、本人の希望を確認することが大切です。
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