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社会福祉士の基盤となるソーシャルワーク専門職のグローバル定義について解説

「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」というものをご存知ですか?

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義とは、「ソーシャルワークとは何か?」ということについて世界規模で定義したものです。

この記事では、社会福祉士の基盤とも言えるソーシャルワーク専門職のグローバル定義について、わかりやすく解説します。

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ソーシャルワーク専門職のグローバル定義とは?

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義は、ソーシャルワークについて定義された、すべてのソーシャルワーカーの基盤となるものです。2014年に国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)によって採択されました。

日本社会福祉士会が制定した「社会福祉士の倫理綱領」の中には、「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義を、ソーシャルワーク実践の基盤となるものとして認識し、その実践の拠り所とする」という文言が書かれています。

日本に限らず世界中でソーシャルワークの基盤として用いられているのが、このグローバル定義です。

次は、グローバル定義の内容を紹介します。

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義の内容

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義の内容は、以下の通りです。

ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。

社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。

ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。

この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。
(日本社会福祉士会「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義」より)

この定義に書かれている言葉のうち、エンパワメントとは「社会的な要因によって制限されている能力や権利を、発揮できるようにすること」を意味します。

また、ウェルビーイングとは、「満足、充実した状態」という意味です。
グローバル定義によって、ソーシャルワークは以上のように定められています。

このグローバル定義は、どのようにできたのでしょう?次は、グローバル定義のできた背景について解説します。

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義ができるまでの背景

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義が採択された2014年以前は、「ソーシャルワークの定義」というものが用いられていました。
ソーシャルワークの定義とは、2000年に国際ソーシャルワーカー連盟と国際ソーシャルワーク学校連盟によって採択された定義です。
ソーシャルワークの定義は、以下の内容となっています。

ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人々のエンパワーメントの解放を促していく。ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。人権と社会正義の原理は、ソーシャルワークの拠り所とする基盤である。
(日本社会福祉士会「IFSWのソーシャルワークの定義」より)

このソーシャルワークの定義が採択された後も、ソーシャルワークの定義に関する検討は引き続き行われていました。そして2014年になり、ソーシャルワーク専門職のグローバル定義が新たに採択されています。

ソーシャルワークの定義からソーシャルワーク専門職のグローバル定義になり、具体的に何が変わったのでしょうか?次は、ソーシャルワーク専門職のグローバル定義の特徴について解説します。

グローバル定義とソーシャルワークの定義の違い

ソーシャルワークの定義がソーシャルワーク専門職のグローバル定義へ変更になり、その内容も変わりました。新しくできたグローバル定義の特徴は、以下の4つにまとめられます。

・集団的責任
・「地域・民族固有の知」・先住民
・社会開発
・社会的結束

ひとつひとつ解説していきます。

集団的責任

ソーシャルワークの定義からグローバル定義へ変わり、新たに「集団的責任」がソーシャルワークの基本原理のひとつとして位置づけられました。
集団的責任とは、集団の中にいる個人を放っておかず、お互いに支え合うことを意味します。また、人だけではなく環境に対して責任を持つことも、集団的責任のひとつです。
ソーシャルワーカーは、集団的責任が果たせる社会の実現を目指して活動します。

地域・民族固有の知

ソーシャルワークの定義からグローバル定義へ変わり、新たに「地域・民族固有の知」という言葉が加わりました。
地域・民族固有の知とは、その土地の先住民や民族が持っている伝統的な知識や文化のことです。
ソーシャルワーカーは近代の科学的な知識だけでなく、西洋以外の伝統的な知も尊重することが定義づけられました。

社会開発

ソーシャルワークの定義からグローバル定義へ変わり、新たに「社会開発」がソーシャルワークの中核となる任務として位置づけられました。
「社会開発」とは、経済だけでなく社会全体を開発し、よりよくしていくという意味です。経済の成長だけを考えるのではなく、広く社会全体を向上させていくことがソーシャルワークであると定義づけられました。

社会的結束

ソーシャルワークの定義からグローバル定義に変わり、新たに「社会的結束」がソーシャルワークの中核となる任務として位置づけられました。
社会的結束とは、人々の社会的・精神的結びつきを促していくという意味です。ソーシャルワーカーは社会変革を目指しますが、それと同時に社会全体がまとまることを目指して活動を行います。
以上が、新しくできたグローバル定義と以前の定義との違いです。では次に、このグローバル定義のポイントについて解説します。

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義のポイント

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義のポイントは、以下の4つにまとめられます。

・多様性の尊重
・西洋中心主義・近代主義への批判
・マクロな社会変革の強調

ひとつずつ解説していきます。

多様性の尊重

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義では、多様性を尊重しています。
多様性の尊重とは、一方的な価値観に偏らずに世界、地域、国、そして個人ごとの価値観を大切にするということです。
多様性を尊重するという考え方は、近年世界的に広まってきています。このグローバル定義においても、多様性の尊重はポイントのひとつです。

西洋中心主義・近代主義への批判

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義では、西洋中心主義や近代主義への批判をしています。西洋中心主義や近代主義といった価値観だけでなく、非西洋の伝統的な知も尊重していく姿勢を示しているのが、このグローバル定義のポイントのひとつです。

マクロな社会変革の強調

ソーシャルワークの実践において、個人に対するアプローチは重要ですが、個人ばかりでなく広く社会に対してアプローチすることも重要です。
ソーシャルワーク専門職のグローバル定義では、ミクロな個人の問題解決よりもマクロな社会変革を強調しています。そのため、以前の定義に含まれていた「人と環境の接点へ介入する」という言葉は使われなくなり、より広い「社会」に対してソーシャルワークを実践するというように定義されました。

まとめ

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義について解説しました。

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義は、ソーシャルワーカーの基盤となる世界規模の定義です。グローバル定義は、社会福祉士の倫理綱領に対しても大きな影響を与え、ソーシャルワークを実践するうえで欠かすことができないものとなっています。

グローバル定義の内容を理解し、ソーシャルワークの学びを深めてみましょう。

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