最近、よく目にするアドボカシーはどのような機能を持った活動なのでしょうか?
社会的にも広く周知されたアドボカシーの視点を正しく理解するために、この記事ではアドボカシーの必要性や6形態、5機能についても具体的に解説していきます。また、介護・福祉においてアドボカシーの視点を重視した支援ができるよう、事例に沿っての対応方法や支援の際のポイントなども紹介していきますので、是非参考にしてみてください。
介護・福祉とアドボカシー
アドボカシーと介護・福祉にはどのような関連性があるのでしょうか?
ここからはアドボカシーの特徴や6形態について、また介護・福祉にアドボカシーの視点が必要な理由などを解説していきます。
アドボカシーとは
アドボカシーの意味を直訳すると「擁護・代弁」となります。つまり、自分の想いをうまく伝えられない人のために、代理者や支援者が意思を伝え、本人達の権利を大切にするという意味を持ちます。簡単に言えば、社会の中で上手く声をあげられない人の権利を守るための考え方です。
アドボカシーの6形態とは
アドボカシーは、対象者や対応により細かく分類わけ、6形態から成ります。
アドボカシーの6形態は以下です。
・ケースアドボカシー
一人のクライエントを対象に権利を擁護する行為。
介護・福祉現場で行われる代弁行為がこれに該当する。
・クラスアドボカシー
集団やコミュニティを対象にした代弁行為。
非営利団体の権利援護の活動などがこれに該当する。
・ピアアドボカシー
同じ問題を抱える仲間同士でお互いのニードを代弁する行為。
グループセッションや集団で行うカウンセリングがこれに該当する。
・セルフアドボカシー
クライエントが自ら権利を主張する行為。
・シチズンアドボカシー
市民が主体となって市民の援護をする行為。
市民運動がこれに該当する。
・リーガルアドボカシー
弁護士などがクライエントの権利行使を援助したり、権利を援護したりする行為。
弁護士が法律に関連する権利援護を行うことがこれに該当する。
アドボカシーの視点が介護・福祉に必要な理由
介護・福祉においてはケースアドボカシーが多く実施されています。
高齢者や障がい者は自分の想いを伝えられない方も多く、その場合、伝えられない人達の権利を介護スタッフや相談員、社会福祉士、ケアマネなどが代弁する必要があります。
また、場合によっては、置かれている状況を考慮し、市区町村に働きかけたり、必要な介護・福祉サービスや福祉用具の手配を行ったりします。
アドボカシーの5機能とは
アドボカシーの機能は代弁だけでなくさまざまな機能から成ります。
アドボカシーの機能は5つで、具体的には以下です。
・介入機能
・発見機能
・仲介機能
・代弁機能
・変革機能
ここからはアドボカシーの5機能について、更に詳しく解説していきます。
介入機能
クライエント集団と地域の福祉を繋げ、問題解決を図ることです。個人に対してではなく、集団が対象となるのがポイントです。ソーシャルワーカーなどが介入し、福祉政策と結びつけることで解決に導きます。
発見機能
クライエントの置かれている状態に対しての問題を発見することです。介護・福祉においては、例えばケアマネが要介護者の生活状況を聴き取り、そこから問題点やニーズを発見する行為がこれに該当します。要介護者の様子を把握することで問題解決に繋げるのです。
仲介機能
制度や組織の仲介者として問題を解決していくことです。介護・福祉においては、例えばケアマネが要介護者と介護事業所の間に入り、本人の意思に沿った適切なサービスが届くように働きかける行為がこれに該当します。ケアマネが間に入ることで、より本人の思いに沿った介護ケアを受けることができます。
代弁機能
クライエントの代弁をすることです。介護・福祉においては、発見機能で発覚した要介護者のニーズを、必要に応じてケアマネが代弁し、介護・福祉サービス事業所などに働きかける行為がこれに該当します。
変革機能
クライエントのために法律や制度に働きかけることです。介護・福祉においても、法律や制度に働きかける必要がある場合があります。その時には、法律に詳しい弁護士などを頼ることも。法律や制度に働きかけることで要介護者の権利を守ります。
【具体例あり】アドボカシー視点を重視した支援が必要なケースと対応方法
ここからは、要介護者や家族に問題が発生し、困っている事例と、アドボカシー視点を取り入れた支援方法を紹介していきます。
毎晩家の外を歩き回る高齢者の事例と対応方法
高齢者は家族と同居していても、困っていて、本人達もどうしたらよいのかわからずにいる場合があります。そんな時にアドボカシー視点を取り入れた支援が必要になります。
【事例】
息子と2人暮らしの高齢者、80代。要介護度2で日中はデイサービスを利用している。
最近、夜間、息子が気付かぬ間に近所を歩き回るようになり、困っている。
【対応】
ケアマネが高齢者と家族に状況を聞き取り、夜間対応型の訪問介護サービスの利用を本人や家族に勧め、介護事業所にサービス開始の働きかけをする。
家族と高齢者が介護に困っていて声をあげられない場合は、ケアマネが代弁して働きかけをする必要があります。
一人暮らし高齢者の事例と対応方法
身寄りがいない高齢者もアドボカシー視点を重視した支援が必要な場合があります。
【事例】
一人暮らしの高齢者。最近、認知症の進行で生活するのが困難になってきた。身寄りがいない。
【対応】
成年後見人を確定。その後ケアマネが本人と会話をしながら必要な介護サービスを検討していく。また、介護事業所に働きかけをする。
認知症の症状により、本人の意思が聴き取りづらい場合は、ケアマネがある程度、本人の思いを想像しながら受けるべき介護サービスを検討していく必要があります。
アドボカシー視点を重視した支援をする時のポイント
アドボカシー視点を重視した支援は、社会に必要なことです。支援をする時にはいくつかのポイントを押さえておくことで、より高齢者に有益なサービス提供ができる可能性が高くなります。そこで、ここからは、アドボカシー視点を重視した支援をする時のポイント3つを紹介していきます。
意思が伝えられない高齢者がいることを理解する
アドボカシー視点を持つために大切なのは、まず意思が伝えられない高齢者や障害者がいることをしっかりと理解しておくことです。
特に、
・聴覚障害
・知的障害
・認知症
・失語症
などがある方は、自分の想いを上手く伝えられない可能性が高いです。
よかれと思って意見を押し付けない
ケアマネや相談員は「その人のため」と思っても、提案したサービスが本人の意向とは合わないこともあります。そうならないために、本人の意向は慎重にこちらがくみ取る努力をするべきです。
客観的に必要な支援を考え提案する
支援を提案する時は、常に客観的な目線で必要なサービスを考えるようにしましょう。「私はこう思うから」「かわいそうだから」などと主観的な意見になってしまうと、本当に必要な介護サービスが本人に届かなくなってしまいます。
代弁する場合は、高齢者の思いに沿ったものであるよう注意する
もしケアマネが代弁する必要がある場合も、高齢者の思いを慎重に理解するようにしましょう。意思疎通が難しい場合は、ある程度ケアマネ側が想像するしか思いをくみ取る方法はないですが、高齢者の生活背景やもともとの性格、家族の意見などの情報を的確に把握していれば、ズレ過ぎた見解にはならないはずです。
まとめ
アドボカシーは社会や福祉において、人の権利を守る大切な視点です。権利を代弁したり、守ったりする考え方が今後も広がることで、高齢者にとって安心できる社会になっていくでしょう。介護・福祉の仕事に関わる際には、アドボカシー視点を大切にした支援を意識していきましょう。
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