介護職は、利用者の生活を支える重要な仕事であり、日々様々な課題と向き合っています。その中で、上司や同僚との意見の対立が生じることは避けられません。しかし、適切な方法で解決することで、より良い人間関係の職場環境を実現することが可能です。
本記事では、職場でのコンフリクト解決について、以下の内容を詳しく解説します。
介護職のコンフリクトとは?:現場で生じる意見の対立や衝突のこと
介護職のコンフリクトとは、介護現場で働く職員同士、または職員と利用者・家族の間で発生する意見の対立や衝突のことを指します。介護の仕事は、人間関係が密接で、様々な価値観やニーズが交錯するため、コンフリクトが発生しやすい環境なのです。
コンフリクトは、サービスの質を低下させるだけでなく、職員の負担やストレスを増大させ、離職率を高める要因にもなります。
しかし、コンフリクトは悪いことばかりではありません。自分とは異なる意見や考えを前向きに受け入れることで、以下のようなメリットも生まれます。
● 組織やチームが成長する機会になる
● 意見交換が活発になる
● 新しいアイデアや視点に気づける
コンフリクトを上手に解決できれば、チームは成長します。なぜなら、コンフリクトを解決することで、チームメンバー間の信頼関係が深まり、コミュニケーションも活性化するからです。
それでは続けて、介護現場で発生しやすいコンフリクトの種類と原因に関する説明に⼊ります。
介護現場で発生しやすいコンフリクトの種類と原因
ここでは、介護現場で発生しやすいコンフリクトの種類と原因について3つを紹介します。
具体的には、
1.ケアの方法や手順をめぐる対立
2.役職や立場の違いから生まれる対立
3.利用者や家族との間に生まれる対立
の3つです。それでは順番に解説していきます。
①ケアの方法や手順をめぐる対立
ケアの方法や手順をめぐる対立は、介護現場で最も発生しやすいコンフリクトの一つです。
◯具体的な事例
担当する利用者へのケア方針の違い:利用者Aさんへのケア方針について、介護職員Bさんは「積極的なリハビリテーション」を主張する一方、介護職員Cさんは「利用者のペースに合わせたケア」を主張し、意見が対立しました。
◯原因分析
● 機能回復を重視するBさんと、生活の質を重視するCさんの価値観の違い
● 利用者Aさんの現状や目標に対する共通認識がされていない
● それぞれの考えや意図を十分に伝え合っていない
②役職や立場の違いから生まれる対立
役職や立場の違いから生まれる対立は、業務効率や利用者へのサービスの質に悪影響を及ぼすだけでなく、職場全体の士気を低下させる深刻な問題です。
◯具体的な事例
管理者と介護スタッフの対立:管理者が提示する部署の目標数値や人員配置について、介護スタッフが納得できず対立。管理者は本部からの指示を受け現場スタッフに伝えているが、スタッフは日々の業務に疲弊しており、受け入れが困難になっている。職場の雰囲気は暗く、退職者も出始めている。
◯原因分析
● 管理者と介護スタッフの間で、考えや意図を十分に伝え合えていない
● スタッフが疲弊しており冷静に話し合えていない
● 互いにストレスが溜まり、対立が激しくなっている
③ 利用者や家族との間に生まれる対立
利用者や家族への介護保険制度についての説明が不足しているため、対立が起こることがあります。利用者や家族が介護保険制度の内容を理解していないために、サービス内容や費用について誤解が生じることがあるのです。
◯具体的な事例
訪問ヘルパーに介護保険外のことを依頼するケース:訪問ヘルパーは、介護保険で定められたサービスを提供することが主な仕事です。しかし、利用者や家族から、介護保険外のサービスを依頼されることも少なくありません。
◯原因分析
● 介護保険制度について家族への説明が不足している
● 家族による介護保険サービスへの過度な期待
それでは続けて、コンフリクトに対する反応についての説明に⼊ります。
コンフリクトに対する反応について知っておこう
コンフリクトが発生した場合に、対立している人たちがとる反応は5つに分類されます。
具体的には、
1.競争
2.服従
3.回避
4.妥協
5.協調
の5つです。
それでは順番に解説していきます。
競争
ここでの「競争」とは、自分の意見を強く主張し、相手を説得しようとする反応のことです。片方の意見を無理に通すことで、対立関係に勝敗がついてしまいます。よって、人間関係が悪化することも多く、根本的な問題解決は期待できません。
服従
「服従」とは、相手の考えや主張を全面的に受け入れる反応です。自分の意見を主張できず、不満が溜まりストレスの原因になることもあります。「競争」とは正反対の関係にあり、どちらかが無理に意見を通した場合に、もう一方がとる反応が「服従」です。
回避
「回避」とは、コンフリクトが発生した時に、対立を避けて関与しようとしない反応です。一時的に対立は解消されますが、解決すべき課題を先延ばしにしている状態と言えます。よって、根本的な解決には繋がらない場合が多いです。
妥協
「妥協」とは、お互いが譲歩し、共に受け入れられる解決策を見つけることです。関係悪化を防ぎ、良好な関係を維持できます。しかし、お互いにとって理想的な解決策ではないため、不満を抱える場合も多いです。根本的な解決を目指すためには、必ずしも有効とは言えません。
協調
「協調」とは、お互いの意見や立場を尊重し、協力して解決策を見つけることです。コンフリクトを解決するために最も望ましい解決方法と言えます。問題の根本的な解決を目標とし、双方が様々な視点から問題を検討するのです。
それでは続けて、コンフリクトを解決するためのステップについての説明に⼊ります。
コンフリクトを解決するためのステップについて
ここではコンフリクトを解決するためのステップ5つを紹介します。具体的には、
1.一致する点と相違する点を整理する
2.対立の原因を明確にする
3.相手を尊重して話し合う
4.お互いが納得できる着地点を見つける
5.着地点に向かって協力する
それでは順番に解説していきます。
①一致する点と相違する点を整理する
コンフリクトを解決するためには、まず一致点と相違点を整理することが重要です。意見が対立している場合でも、全てが対立しているわけではありません。共通点を見つけることで、解決への糸口を見つけやすくなります。
同様に、意見の対立している部分について、具体的にどのような点が異なっているのかを明確にしましょう。紙に書き出したり、図表化したりすると、分かりやすく整理できます。
②対立の原因を明確にする
次に、対立の原因を明確にします。一致点と相違点を整理することで、これまで見えていなかった問題の本質的な部分に焦点を当てることが可能です。
原因は1つとは限らず、複数の要因が複雑に絡み合っていることも珍しくありません。仮説を立てたり、客観的な第三者の意見を聞いたりして検証していくことが重要です。
③相手を尊重して話し合う
話し合う際には、相手の意見を最後まで聞き、理解しようと努めることが重要です。対立する際には、感情的になっていることも珍しくありません。そんな時こそ、冷静に相手の言葉に耳を傾けて建設的な意見交換を行いましょう。
④お互いが納得できる着地点を見つける
コンフリクトの解決を目指す上で重要なのは「勝ち負け」ではなく、双方にとってメリットがある解決です。お互いを尊重し、根本的な解決を目指します。
コンフリクト発生から話し合いまでの経緯を踏まえ、関係改善につなげることが重要です。そのためには、自分の意見に固執せず柔軟な姿勢で話し合うことが求められます。
⑤着地点に向かって協力する
そして最後は、お互いが決定した「着地点=目標」に向けて協力します。これまで対立していた双方が協力することで、相乗効果を生み、新しいアイデアが生まれることも珍しくありません。また、それぞれの強みを生かして役割分担をすることで、より効率的に目標を達成することも可能です。
まとめ:コンフリクトを乗り越え、より良い人間関係を実現しよう
介護の職場は、様々な人が集まって働く場所であり、意見の対立や衝突が生じることがあります。コンフリクトは、消極的なイメージがありますが、決して悪いことではありません。
対立関係を乗り越えることは、チームの成長にとって貴重な機会となります。コンフリクトを学びの機会と捉え、より良い人間関係を築きましょう。対立を適切に解決することで、チームワークの向上および働きやすい職場環境の実現につながります。
「ミラクス介護」では、あなたの転職活動を求人紹介から入職決定まですべて無料でサポートさせていただきます。
ミラクス介護の特徴
- 介護業界では最大級の求人数を保有しています。
- 介護の専門知識を有するコンサルタントがサポート。
「ミラクス介護」に登録するメリット
- 求人情報には載っていない、評判や施設情報を提供します。
- 無料で履歴書・職務経歴書を添削します。
- 無料で面接対策をサポートします。
- 登録した方限定で、ご案内可能な求人があります。
上記の特徴のようにあなたの転職を全力でサポートさせていただきます!
伺った希望条件からピッタリの求人をピックアップすることやお給料・勤務時間などの待遇面の交渉などをあなたに代わって、弊社のコンサルタントが行います。きっとあなたが希望するお仕事を見つけることができます。
ご相談をお待ちしております!