介護のスキルアップ

介護福祉士の国家試験の合格率は?資格取得のメリットと勉強方法についても解説

介護福祉士は国家資格で、介護職であれば取得すべき資格の一つになります。しかし資格を取得するには試験に合格しなければなりません。今回は試験の合格率・概要・合格ラインについて解説しつつ、資格取得のメリット・試験勉強の方法も併せて紹介します。

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介護福祉士国家試験とは?

介護福祉士国家試験は年に1回行われる介護福祉士の国家資格を取得するための試験です。そもそも介護福祉士の資格は、社会福祉士および介護福祉士法に定められた唯一の国家資格です。
「専門的知識及び技術をもって、身体上若しくは精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含みます)を行ない、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行なうこと(以下「介護等」といいます)を業とする者で、国家試験に合格又は養成施設を修了した者が所定の登録を受けることにより、介護福祉士の資格を取得できるもの」とされています。
つまり、介護福祉士の国家資格を取得することで専門知識や技術をもった介護の専門職として認めてもらうことができます。

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 資格制度の概要

受験資格

受験資格には大きく4つのルートがあります。

養成施設ルート

養成施設とは、厚労大臣・文科省大臣などが認可した4年制の福祉系大学・短大・専門学校のことです。こうした養成施設で介護福祉士としての必要な知識・技術を修めて卒業した人が対象の受験資格になります。
養成施設に通う期間は、

  • 高校卒業の場合は2年間
  • 4年生の福祉系大学・社会福祉士養成施設等・保育士養成施設等は1年

となっています。養成施設を卒業する際に国家試験を受験する場合は実技試験は免除となり、筆記試験のみとなります。国家試験を受験せず卒業する場合は、5年間の期限付き介護福祉士資格を取得することができます。しかし、実務経験を5年間経験するか、筆記試験を受験し合格しないと国家資格への登録ができません。

実務経験ルート

実務経験ルートは今まで介護職員として働いてきた期間・日数などで受験資格が与えられるものです。基本的には2つの条件があります。

  • 従業期間3年以上(1095日以上)で従事日数が540日以上 + 実務者研修修了者
  • 従業期間3年以上(1095日以上)で従事日数が540日以上 + 介護職員基礎研修・喀痰 吸引等研修修了者

従業期間・従事日数の要件は、両方とも満たす必要があり、従業期間・従事日数は試験実施年度の3月31日まで通算することができます。そして、条件となる期間・日数だけではなく、基本的な介護に関する知識・技術を学ぶための実務者研修・介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修の受講と修了が条件となっている。

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格

福祉系高校ルート

福祉系高校ルートは福祉系高等学校・特例高等学校(専攻科を含む)において、所定のカリキュラムと単位数を修めて卒業した人が対象の受験資格です。通常の福祉系高校の場合は所定のカリキュラムと単位数を修めることで実技試験は免除となります。特例高等学校(専攻科を含む)の場合は所定のカリキュラムと単位数を修めて卒業した後、介護等の業務に従事(在職期間:9ヵ月以上、実働日数:135日以上)しないと受験資格を得ることができません。

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格

EPA(経済連携協定)ルート

EPAは経済連携協定のことで、貿易の自由化・投資・人の移動・知的財産の保護や競争政策におけるルール作り・様々な分野での協力の要素等を含む、世界的に幅広い経済関係の強化を目的とする協定のことです。この協定に基づいて、研修責任者の監督の下で日本の介護福祉士資格を取得することを目的とした研修を受けながら介護の現場で介護職員として働くインドネシア人・フィリピン人・ベトナム人を対象とした受験資格です。

受験方法:「介護福祉士国家試験の受験資格を得て母国に帰国したEPA介護福祉士候補者の方に関する 第35回介護福祉士国家試験の受験手続きについて

このように様々な受験資格に関する条件があるので、ご自身に当てはまる受験資格ルートと詳細な内容を公益財団法人社会福祉振興・試験センター公式ホームページなどで確認するようにしましょう。

試験の概要

受験日

例年では筆記試験は1月・実技試験は3月に行われており、受験年によって詳細な試験日は異なります。ちなみに令和4年度の筆記試験の試験日は令和5年1月29日で、実技試験は令和5年3月5日となっています。今後、介護福祉士国家試験を受験する場合は試験日の詳細について、公益財団法人社会福祉振興・試験センター公式ホームページなどで確認するようにしましょう。

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 試験概要

受験申し込み

例年1月の筆記試験からさかのぼり、前年の6月下旬に公益財団法人社会福祉振興・試験センターから受験申し込み手続きの詳細が公示されます。公示されたら申し込みに必要な書類を請求することができます。そして、公益財団法人社会福祉振興・試験センター公式ホームページよりオンラインでの受験申し込みを行うことも可能となっています。
申し込み書類の中には実務経験証明用の書類が入っているので、現在の職場・過去に勤務した職場にお願いし、用紙を提出して証明してもらうことが必要となります。もし、受験申し込みの段階で実務経験の日数が足りない場合、見込みとして書類を提出し、日数が満了となったときに再度、書類提出することで認められます。

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験申し込み

試験内容と合格ライン

筆記試験

筆記試験は午前の部・午後の部と2部構成となっており、午前・午後それぞれで約2時間程度の時間となっています。なお、弱視等受験者・点字等受験者については試験時間が若干異なります。筆記試験における出題形式はマークシート方式で5肢択一の選択形式となっており、問題数は125問となっています。試験科目は大きく分けて、以下の11科目から問題が出題されます。

  • 人間の尊厳と自立、介護の基本
  • 人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
  • 社会の理解
  • 生活支援技術
  • 介護過程
  • こころとからだのしくみ
  • 発達と老化の理解
  • 認知症の理解
  • 障害の理解
  • 医療的ケア
  • 総合問題

※参考: 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「出題基準・合格基準

筆記試験の合格ライン

介護福祉士国家試験の合格ラインとなる基準が2つあります。

  • 問題の総得点の60%以上であること
  • 試験科目である11科目において全て得点していること

この2つの基準を下回った場合は不合格となる場合があります。

実技試験

実技試験の内容は毎年異なりますが、基本的には介護の現場で想定されるシチュエーションでどのように適切に対応するのかという問題が出題されます。そのため、介護職員としての知識と日々の現場での業務で行われているさまざまな介護技術のスキルが問われる試験となります。問題として出題されたシチュエーションへの対応を制限時間5分以内で行うことが求められます。

実技試験の合格ライン

実技試験での合格ラインは総得点の60%以上であることが基準になります。

試験の合格率

​​​厚生労働省第34回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移推移によると、2021年度までの約10年間の合格率の平均は約67%となっています。特に第29回〜31回試験・第33回試験・第34回試験は合格率が70%以上となっています。しかし、受験者数は第29回試験から減少しており、その前の第28回試験とくらべるとほぼ半分の受験者数となっています。
こうしたことから、介護福祉士の受験者数は低下していますが、合格率は6割から7割と高い確率なので、しっかりと受験対策や勉強を行うことで合格できる可能性があります。

※参考: 厚生労働省「第34回 介護福祉士国家試験合格発表 第34回介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移

受験勉強の方法

スケジュール・時間の確保

すでに介護の現場でのお仕事に就いている場合、働きながら介護福祉士の受験勉強を行うことになります。そのため、勉強時間の確保を目的にスケジュールを組み立てると効率よく勉強することができます。介護福祉士の受験勉強は250時間は必要とされており、勉強開始は最低でも試験3ヶ月前〜6ヶ月前に行うように言われています。1回の勉強時間について、3ヶ月前から250時間を目安に1回の勉強時間を計算すると2.7時間となるのでお仕事が終わり、家事や育児などを行った後に3時間近く勉強するのは現実敵に長く続きにくいと思われます。しかし、6ヶ月前から始めた場合は1.3時間と短縮できます。そのため、精神的なハードルも下がり、長い期間の勉強も少しずつ続けやすくなります。

自分にあったテキスト・教材を探して使う

自分にあったテキスト・教材を使うことで理解度や勉強の効率が高くなります。
テキスト選びのポイントは、

  • 内容・ページの見やすさ
  • 使い勝手
  • 情報量
  • 過去の試験から分析した傾向や補足説明の充実度

これらのポイントを踏まえてご自身が使いやすいテキスト・教材を探すようにしましょう。ちなみに受験勉強をする人の中には数年前のテキストを使って勉強していることがありますが、これはおすすめしません。
試験科目・内容はおおまかには似たような物になりますが、テキストが発刊された当時とくらべると制度内容や試験対策の傾向などが変わっている場合があります。そうなると1冊のテキストや教材ですぐに分かることが、新たに調べ直す手間がかかるので勉強を進める上で非効率になります。
こうしたことから出来れば受験する年度に合ったテキスト・教材を使用するようにしましょう。

モチベーションの維持と休息

さきほど受験勉強は6ヶ月前から始めることで勉強時間の負担を軽くすることができると開設しました。しかし、6ヶ月という長い期間をかけて試験勉強を行う場合、勉強を継続するモチベーションの維持は欠かせなくなります。
具体的には、

  • 週2回は勉強をしない日を作る
  • 友人や同じ仕事の仲間と遊ぶ
  • 1ヶ月頑張ったら自分へのご褒美として美味しい食べ物を食べる
  • ポモドーロテクニックを導入して、勉強する時は定期的に休憩を行う
  • 場所を変えてカフェや落ち着くことができる場所で勉強する
  • 勉強中は集中できそうな曲・やる気が出る曲を聴きながら行う
  • 仕事などでひどく疲れている時は勉強しない

このようにご自身にとって最適なモチベーション維持に最適なものを取り入れて長い受験勉強を続けるようにしましょう。

サポーターを見つける

受験勉強はご自身だけで行う孤独な作業とも言えます。その中でご自身にとってサポーターとなる人を見つけるようにすると勉強自体やモチベーションなどさまざまな面においてプラスになる場合があります。特に、同じ職場ですでに介護福祉士の資格を取得されている人・同じように介護福祉士国家試験を受験する人や経験がある人は強いサポーターになります。

サポーターがいることで、

  • 受験勉強をしていく中で分からない事・煮詰まっている事への相談に応じてくれること
  • 勉強や仕事などのストレスを一緒に発散してくれること
  • 試験対策などの情報を教えてくれること

などさまざまなサポートをしてくれる場合もあるので、もし周りにサポーターに適した人がいるのであれば、一声かけてみることをおすすめします。

地道な積み重ねと繰り返し

受験勉強を行う場合、基本的には地道に勉強する時間・回数・内容をこなして積み重ねていき、インプットとアウトプットを繰り返すことが大事です。
こうした地道な勉強の循環を作り上げることで少しずつ勉強したことが頭だけではなく、体で覚えるようになり身につきます。そうすることで実務レベルで介護職員としてのスキルも少しずつ高くなるので、日々の現場での仕事において役に立つ場合もあるので、「積み重ね」と「繰り返し」を意識して受験勉強を行うようにしましょう。

日々の業務での実践

受験勉強で得た知識・技術を日々の現場での仕事においてアウトプットすることにより、イメージがしやすくなり理解度も高くなります。とくに実技試験では介護現場にて想定されるシチュエーションでどのように対応するのかを問われるため、日々の業務で行われている介護技術の経験値・実践値が重要になります。そのため、日々の業務において積極的に実践することも試験勉強につながります。

スクーリング・通信教材の利用も検討

「独学で勉強する自信がない」「何をどうしたらいいのか分からない。」などで受験勉強が進まない人はスクーリング・通信教育の活用も合格に近づけるための方法です。
スクーリングや通信教育の場合、学習内容が定まっており、一人だけではなく、講師や担当者がサポートにつくので、試験や問題・勉強内容に関するアドバイスが受けやすいメリットがあります。しかし、お金がかかること・勉強についていけなくない場合のリスク・教材の多さに気遅れする可能性があると言ったデメリットもあります。

介護福祉士の国家資格を取得するメリット

介護職員としてのスキルに磨きがかかる

介護福祉士の受験勉強と国家試験を経験することで学んできた知識・技術が身についてスキルに磨きがかかる場合もあります。そうなることで、現場での仕事に役立てることができます。

キャリアアップの可能性が広がる

介護福祉士の資格を取得することで働いている職場内での昇進・独立などのキャリアアップの可能性が広がる可能性があります。そして、高待遇な職場への転職の際に資格を取得することで希望する求人の選択肢が広がり、若干有利になる場合もあります。

後進の教育にも役立つ

介護福祉士の資格取得によって後進の人への教育に役立つ場合もあります。介護福祉士国家試験を通じて得た知識や技術、これまでご自身が日々の仕事で培われた実践経験や知識・心構えなどを指導者として後進の人に指導することで周囲へいい影響を与えることやご自身のスキルアップ・キャリアアップにつながります。

収入アップにつながる

介護福祉士を取得することでキャリアアップと同時に収入アップにつながる可能性があります。介護職員の処遇状況に関する調査によると介護福祉士の平均月収は年々高くなっています。
そのため、資格取得・キャリアアップによる収入アップや、高待遇な職場への転職による収入アップの可能性が広がります。「これから介護福祉士の資格を取ってお給料の高いところに勤めたい」・「介護福祉士の資格を取得するとどれくらいの給料で働くことができるのか」と思っている方は介護職の転職に特化した「ミラクス介護」をおすすめします。
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まとめ

今回は介護福祉士国家試験の概要・合格率・勉強方法を中心に介護福祉士を取得することでのメリットについて解説しました。介護福祉士国家試験はさまざまな条件やルートによって受験資格を満たしているか確認しつつ受験申し込みを行います。
そして試験当日6ヶ月前から受験勉強を行い、勉強方法はご自身にあったテキスト・教材を使いつつ、モチベーション維持のために休息や気分転換の方法を行うようにしながら地道に積み重ねて身につけるようにしましょう。
そして試験合格を果たし国家資格を取得することでご自身のキャリアや収入アップの可能性が広がるなどさまざまなメリットがあります。介護福祉士国家試験は問題の出題範囲も広いので難易度が高いように思いますが、合格率はここ10年の推移を見ると60〜70%と高いので比較的ハードルが低くなっています。
このように介護職員の人が介護福祉士国家試験を受験する価値は十分あるので、まだ受験されたことがない人はぜひ検討してみてください。今回は本記事を読んでいただきありがとうございました。

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