作業療法士の上位資格として「認定作業療法士」が存在します。自身のキャリアアップ・スキルアップに十分活かせる資格ではありますが、取得するためにはいくつかの要件があります。今回は認定作業療法士の取得方法、取得にはどんなメリット・デメリットがあるのかを解説していきます。
認定作業療法士とはどんな資格?
認定作業療法士とは作業療法の臨床実践、教育、研究及び管理運営に関する一定水準以上の能力を有する作業療法士として、日本作業療法士協会が認定する資格です。作業療法士の質の向上、生涯教育を目的として、2004年に認定作業療法士制度がはじまりました。
2023年3月時点で日本作業療法士の会員数は64,468名ですが、2024年4月時点の認定作業療法士の資格保有者は1543名となっており、全体の2%程度です。まだまだ資格保持者が少ないため、取得することで一目置かれる資格であるといえます。
認定作業療法士の取得方法
認定作業療法士の資格を取得するには次の要件を満たさなければなりません。
①作業療法士として臨床経験が通算5年以上である
②日本作業療法士協会の会員歴が通算で5年以上である
③各都道府県作業療法士協会の会員である
④基礎研修を修了している
基礎研修修了の要件は以下の3つです。
・基礎ポイントを50ポイント以上取得する
・現職者共通研修10テーマの修了
・現職者選択研修2領域の修了
基礎ポイントを50ポイント以上取得する
基礎ポイントは作業療法士協会や各都道府県士協会が主催する研修会や学会への参加、臨床実習指導などで取得することができます。
現職者共通研修10テーマの修了
現職者共通研修は各都道府県士会で主催している研修会です。共通研修は10テーマあり、一つのテーマあたり約90分ほどの座学となります。年に一度数日間に分けて実施されます。内容は比較的キャリアの短い作業療法士向けであるため、資格を取得したら早めに受講することを勧められています。
現職者選択研修2領域の修了
現職者選択研修も各都道府県士会主催の研修会でそれぞれの領域で年1-2回程度実施されています。生活行為向上マネジメント基礎研修が必修の研修となるため、残る4領域から1領域以上の受講が必要です。4領域は身体障害、老年期、精神障害、発達障害からなります。受講する領域は選択性であるため、自分が勤める領域のテーマを選択することが多いです。
⑤日本作業療法士協会が指定する以下の研修、事例報告を修了している
認定作業療法士取得研修を修了する
日本作業療法士協会が主催する共通研修、選択研修、臨床実習指導者講習会を受講しなければなりません。共通研修は研究法、管理・運営の2講座があり、全て受講する必要があります。
選択研修は身体障害、老年期、精神障害、発達障害の4講座から2つ選択し受講します。共通研修、選択研修それぞれ講座受講後に修了試験があります。
臨床実習指導者講習会は2日間の日程で行われる厚生労働省指定の講習です。認定作業療法士取得だけでなく、臨床実習指導を行うための要件ともなっています。
事例報告をする
事例報告を3例提出します。提出方法は日本作業療法士協会の事例報告登録制度への登録となります。1事例は必ず登録しなければなりませんが、残る2事例は学会や機関紙への掲載で代替え可能となります。
認定作業療法士を取得するメリット
認定作業療法士の取得には先述したような要件を満たす必要があり、資格保持者が会員全体の2%であることからもハードルが高い資格といえます。ではこの資格の取得にどのようなメリットがあるのでしょうか?
スキルアップ・キャリアアップにつながる
認定作業療法士を取得するとスキルアップ・キャリアアップにつながります。作業療法士は対応する分野や疾患が多岐に渡り、幅広く、そして深いスキルが求められます。資格取得のため事例を提出したり、数多くの研修を受講することで知識や経験といったスキルが自ずと身についていくでしょう。
自分の努力が認定作業療法士として、一つ形として認められることで自分のスキルに自信をもって治療にあたることができます。
また作業療法士養成校は年々増えており、それに伴い作業療法士の数も増加しています。しかしこのままのペースでいくと作業療法士が飽和状態になることが予想されています。
これから作業療法士としてキャリアアップしていくためには、他にはない自分の強みを作る必要があるでしょう。認定作業療法士は自分が一定の能力を有した優れた作業療法士であることの証明となります。出世や転職を目指す際、認定作業療法士は優位に働く場合もあるでしょう。
認定作業療法士のデメリット
認定作業療法士を取得するメリットもありますが、その反面デメリットもあります。続いてデメリットについて紹介します。
取得に労力、お金がかかる
先述した研修や事例報告を達成するには大変な労力がかかります。そのため、取得した際には一目置かれる資格ではありますが、業務時間以外にも時間を割かなければなりません。職場や家庭とも相談しながら、資格取得のための時間を捻出する必要があります。
認定作業療法士を取得するための研修には受講費がかかり、また認定作業療法士の申請にも費用がかかります。所属している病院や施設で研修費用を助成してくれるとよいのですが、自分で全て支払うとなるとそれなりの出費となります。価値のある資格ではありますが、取得するには費用面でもひとつ検討が必要であるといえます。
更新制の資格である
認定作業療法士は5年ごとの更新制となっています。更新には以下の4項目を全て満たしかつ認定作業療法士更新ポイント(np)が100np以上必要です。
①基礎ポイント研修が25ポイント以上であること(基礎ポイントは1ポイント=1npと換算できる)
②実践報告を1回以上行うこと(実践報告は1回25np)
③後輩育成経験(臨床実習、研修会・学会における講師など)を行うこと(1回5np)
④作業療法啓発に関する社会的貢献(1回5np)
※③、④併せて25np以上あること
資格の取得も大変ですが、更新も同様に努力が必要となります。更新のためには自己研鑽を続けなければならないため、ある意味メリットともいえますが、出産や育児、病気などで働けない期間があれば5年以内に上記のポイントを取得するというのは難しい場合もあります。資格を取得するには更新制であることもひとつ頭にいれて置く必要があります。
まとめ
今回は認定作業療法士の資格の取得方法、取得のメリット・デメリットについて紹介しました。取得している人の少ない資格ではありますが、その分キャリアアップ・スキルアップには有効な資格です。作業療法士のみなさんは、ぜひ一度チャレンジを検討してみてはいかがでしょうか?
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