介護のスキルアップ

介護福祉士が経管栄養を行う3つの条件|知らないと違法行為になる場合も!

介護福祉士ができる医療的ケアには、喀痰吸引・経管栄養があります。
「経管栄養ができるようになりたい」「介護福祉士として、レベルアップしたい」そのようにさらに成長したいと願う方のために「経管栄養とは何か」や「介護福祉士でもできる条件」などを解説します。
本記事に最後まで目を通して、介護福祉士ができる経管栄養について理解を深め、今後のキャリアアップに役立てましょう。

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経管栄養とは胃や腸に直接栄養剤を注入する方法のこと

経管栄養とは、口から栄養摂取できない方が行う栄養療法の一種です。栄養の摂取を食事からではなく、鼻や胃、腸から栄養剤を注入して行います。
栄養補給を点滴で行う場合もありますが、経管栄養は胃や腸などの消化管機能を使います。そのため、腸管免疫の活動が期待できるのです。
腸管免疫を刺激すれば、身体の免疫状態の改善が期待できるのです。

介護施設で行われる経管栄養は以下の3種類

・経鼻経管栄養
・胃ろう
・腸ろう

それぞれ順番に見ていきましょう。

経鼻経管栄養

経鼻経管栄養は、鼻からチューブを挿入して栄養剤を注入する方法です。
一般的には短期間だけ経管栄養を行う方に対して、用いられます。そのほかにも胃を切除した方や、なんらかの理由で胃ろうが作れない方に対しても実施されます。
ほかの方法に比べて簡単にチューブを挿入できるのは、大きなメリットでしょう。
しかし、以下のようなデメリットもあります。

・チューブが抜けやすく抜けた場合には誤嚥を起こしやすい
・チューブが詰まりやすく1〜2週間で交換しなければならない
・絶えず鼻からチューブが入っている状態なので不快感をともなう
・鼻からチューブが出ている状態なので見た目も気になる

胃ろう

胃ろうは腹部の表面に穴を開け、その穴に専用のチューブを通して栄養剤を注入する方法です。
胃の状態に問題がなく、長期間の経管栄養が必要な方を対象とします。胃ろうにもメリット、デメリットがあります。

●メリット
・服に隠れるため、見た目ではわからない。
・誤って抜けることが少ない。
・交換の間隔が長い(4〜5か月)

●デメリット
・胃ろうを作るために、手術を受けなければならない
・胃ろう周囲の皮膚がただれやすい
・腹膜炎を起こすリスクがある

腸ろう

腸ろうも胃ろうと同じで、経管栄養が長期間にわたる方が対象です。胃の切除や形状が適さない、またはがんなどの進行などで、胃ろうを作れない方が対象です。
腸ろうの場合は、さらに3つの種類に分けられます。

・胃ろうの中を通す方法
・ろう孔(胃ろう用の穴)に直接腸ろうのチューブを通す方法
・皮膚の表面に穴をあけて腸へつなぐ方法

腸ろうは胃ろうよりも、細くて長いチューブを使用します。そのため詰まりやすいため、慎重に扱わないといけません。

介護福祉士が経管栄養を行うには条件がある

介護福祉士が経管栄養を行うには、3つの条件を満たさなければなりません。条件を満たさない場合は、違法行為となるので注意しましょう。

・喀痰吸引等研修の受講
・認定証の交付
・実施可能な事業所で働く

それぞれ詳しく解説します。

喀痰吸引等研修の受講

喀痰吸引等研修は、介護資格や学歴などの条件はないため、介護の経験が無くても受講可能です。
喀痰吸引等研修には、第1号研修から第3号研修までの3種類があります。
それぞれの研修内容、講義時間などは以下の表を参考にしてください。

喀痰吸引研修の実施場所は、各都道府県によって異なります。都道府県のホームページに研修期間などが掲載されているので、確認してください。

認定証の交付

喀痰等研修を修了しただけでは、経管栄養の実施はできません。都道府県知事の認定を受け、「認定特定行為業務従事者認定証」の交付が必要になります。
認定証の交付には、申請書の提出が必須です。申請に必要な書類は都道府県ごとに異なるため、お住いの都道府県の担当窓口に問い合わせてみてください。

実施可能な事業所で働く

介護福祉士が経管栄養を行うためには、所属する事業所が「登録事業所」として登録されていなければなりません。
対象となる事業所は、以下の表のとおりです。

介護関係施設特別養護老人ホーム
老人保健施設
グループホーム
有料老人ホーム
通所介護
短期入所生活介護など
障害者支援施設等生活介護
グループホームなど
在宅系 訪問介護
重度訪問介護(移動中や外出先を含む)など
特別支援学校※医療機関は対象外

喀痰吸引等研修の受講を考えているなら、受講の前に所属する事業所または就職希望の事業所が「登録事業所」なのか確認しましょう。

経管栄養を行う3つの手順

次に経管栄養の3つの手順と注意点について解説します。
安全な経管栄養の実施のためには、準備から実施、終了までの流れを理解し、観察ポイントをおさえ無ければなりません。
具体的な手順は以下のとおりです。
 

準備

経管栄養を始める前に、対象の方の記録を確認してください。前回実施時の様子や医師などの指示にも目を通しましょう。
そのあと、本人の様子を見て体調に変化があれば、本人・家族・看護師などの医療職へ報告と確認をします。
問題無ければ、必要物品の準備に移ります。栄養剤の種類・量、白湯の量などは利用者ごとに異なるため、注意が必要です。
 

実施

準備ができたら、経管栄養の開始です。本人に経管栄養を始めることを告げ、意思の確認をしましょう。
具体的な実施方法は、以下の順番により行います。

1.注入の開始
2.観察および調整
3.終了

1.注入の開始

本人に意思を確認したあと栄養剤が逆流しないように、30〜60度の頭部挙上を行います。
次に、胃ろうまたは経鼻カテーテルなどが抜去または破損などがないか、胃ろうまたは腸ろう周りの皮膚に異常はないかを確認します。問題が無ければ、栄養剤の注入です。
 

2.観察および調整

経管栄養の実施時には、以下の点に注意して観察しましょう。

・本人の体調に異常はないか
・栄養剤のにもれなどがないか
・注入速度は適当か

注入速度は、1時間あたり200mlくらいの速さで注入するのが一般的です。速すぎると、嘔吐や喘鳴、呼吸障害やダンピング症状(下痢や頻脈)をおこす可能性があります。
注入速度はその人の状態によって異なります。必ず医師に指示された速度を守りましょう。

3.終了

注入が終わったらボトルから白湯を注入し、接続チューブを外したら終了です。
終了後も吐き気や嘔吐がないか、体調の観察を続けてください。

後片付け・記録

経管栄養の注入が終わり体調に変化が無ければ、使用した物品を片付けます。そのあと、注入した時間や栄養剤の量、体調の変化などの必要事項を記録します。

【まとめ】できる介護福祉士は経管栄養が必須!

少子高齢化の影響もあり、介護施設で生活する方への医療ニーズは高まっています。その医療ニーズの高まりを受け、介護福祉士でも条件を満たせば経管栄養などの医療行為を行えるようになりました。
「喀痰吸引等研修」を受講し認定証の交付を受けたあと、実施可能な事業所において経管栄養が可能となります。
介護の現場での医療ニーズの高まりは、時代の要請でもあります。今後もその傾向は続くでしょう。そのため、介護の現場で医療ニーズに対応できる介護福祉士が、今現在求められています。「喀痰吸引等研修の受講」は、介護福祉士としてキャリアアップできるチャンスです。
まずは、自分がどこで「喀痰吸引等研修」を受講できるか、調べてみましょう。

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