「最近ADLが低下している、介護の利用者さんが増えてきた。」と、感じていませんか?
高齢者の方は加齢や病気などによる身体機能の低下で、ADLが低下しやすくなっています。そのため、介護の仕事ではADLの維持・向上を目標にしますが、それでもADLの低下は起こるものです。
今回はADLの低下にスポットをあて、ADL低下の原因やADLを高める方法、ADLとQOLの関係について解説します。利用者さんがいつまでもいきいきと活動できるように、ADL低下を防ぎましょう。
ADLとは
ADLとは、日常生活動作(Activities of DailyLiving)を意味します。普段意識しませんが、人は日常生活を送るためにさまざまな動作を行っています。
日常生活を営むためには、たとえば以下の動作です。
・移動
・排泄
・食事
・洗面
・入浴
ADLは、高齢者や障害者の方の身体能力・日常生活レベルを測るための指標として、多く用いられています。
なぜADLが低下するのか
ADL低下の原因として骨折による入院があげられますが、それだけではありません。ADL低下の原因を、以下にまとめました。
●ADL低下の原因
【老化】
老化によって筋力低下が起こり、1日の活動量が減るため。
【生活習慣病】
生活習慣病が重症化すると、運動能力の低下につながる。
【神経疾患(パーキンソン病・ALSなど)】
神経疾患は完治が困難。徐々に運動機能や認知機能が低下していく。
【薬の副作用)】
ふらつき・めまい・強い眠気などが、ADLの低下につながる。
【認知症】
歩行障害、記憶障害などにより、日常生活が満足に行えなくなる。
ADLが低下するとどうなるのか
ADL低下の背景には、主に以下の要因があります。
・身体機能の低下
・認知機能の低下
・精神面での影響
・環境の影響
これらは密接に関わっているため、どれか一つでも低下するとADLの低下につながってしまいます。
たとえば、骨折で入院すると体力や筋力が衰えます(身体機能の低下)。そのため、活発に活動できなくなり精神面で落ち込んでいきます(精神面での影響)。さらには、外出機会や他者交流の機会も減るでしょう(環境の影響)このような生活が続けば身体機能や認知機能が衰え、寝たきりになる可能性が増してしまうのです。
ADLはどうやってはかる?
ADLをはかるには、FIM(機能的自立度評価表)、BI(バーセル・インデックス)などさまざまな評価方法があります。
代表的なものは、以下の評価法になります。
・BI(バーゼル・インデックス)
・FIM(機能的自立度評価法)
・DASCー21(ダスク21)
BI(バーゼル・インデックス)
BI(バーゼル・インデックスk)は、食事や入浴、排泄など10項目で構成されています。項目は不能から自立までの2〜4段階になり、点数が高いほど自立している状態です。
※参考: 厚生労働省「日常生活機能評価評価の手引き」
FIM(機能的自立度評価法)
FIMは実際に行っている運動項目を13項目、認知機能を5項目のあわせて18項目に対して7〜1段階に評価します。全体合計(18〜126点)からADLを判定する評価法です。FIMはADLを詳しく評価できるスケールで、その人の現状把握だけでなくリハビリテーションの評価にも適しています。
DASCー21(ダスク21)
DASC-21(ダスク21)は、地域包括ケアシステムでも採用されているスケールです。認知機能と生活機能を総合的に評価できるスケールとなっています。入浴や着替え、身だしなみなどの21の質問で構成されていて、できる~全介助までの4段階で評価が行われます。評価の結果から対象の方の全体像をある程度把握でき、必要な支援の目安を付けやすくなるのが特徴です。
介護の現場でADLを高める方法
それでは、施設に入居している利用者さんのADLを高めるために、どのようにしたらいいのでしょうか。ADLを高めるためには、できることは自分でやってもらうのです。しかし、場合によっては、転倒なども考えられるため、細心の注意が必要になります。事故で骨折して入院となれば、ADLの低下を引き起こしてしまいます。
そのため、安全に配慮しながら自立を促すのが基本です。具体的な方法として、以下の方法があげられます。
・利用者さんがどこまでできるか知っておく
・安全に自力で行動できる環境を作る
・社会活動に参加する
利用者さんがどこまでできるか知っておく
ADLを高めるためには、利用者さんの自立を促すのが重要です。できることまでしててしまうと、ADLの低下につながります。ポイントは利用者さんがどこまでできるのか、またはできないかはしっかり把握しておくことです。歩行できるのに車いすを使うと、歩行の機会が奪われ歩行機能の低下を引き起こします。しかし、歩行が難しい方に無理に歩行させると、転倒事故につながりかねません。利用者さんがどこまでできるかを把握して、最低限の介助をこころがけるのが大切です。
安全に自力で行動できる環境を作る
利用者さんが行動できる範囲の環境を、整えましょう。たとえば、何かにつかまって一人で歩ける方の部屋に手すりを設置すれば、それだけで行動範囲が広がります。行動範囲が広がれば、本人のやる気にもつながるでしょう。また、行動範囲に障害となる物を、取り除くのも重要です。利用者さんの自力を活かすためには、事故防止の観点を忘れてはいけません。
社会活動に参加する
外にでて社会参加をうながすのも、ADLの向上に効果的です。介護が必要な方は、何かと社会から離れがちです。そのため、外に出るだけでも適度な運動になり、精神面にもいい影響が期待できるでしょう。選挙の投票や地域のお祭り、何でも構いません。社会に参加することは、ADL向上に非常によい影響を与えてくれます。
ADLとQOLの関係
QOLも、介護では大切な考えです。QOLとはクオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略で、生活・人生・生命の質と訳されます。QOLは、人生において感じる【幸福】や【満足】などを表しているのです。
ADLが上がれば、日常生活での活動範囲が広がり、活動しようとする意欲の向上が期待できます。
たとえば、足が弱くなって毎年行っていたお墓参りに行けなくなった方が生きる意欲を失い、お墓参りだけでなく普段の生活にも意欲がなくなってしまった。そのような例はよくあるでしょう。
足が弱くなるというADLの低下のために、お墓参りに行けない。そのため「生きている意欲もない」との、QOLの低下につながったと考えられます。そのような方が、リハビリをすれば足が良くなると知り、脚力を鍛え(ADLの向上)てお墓参りに行く目標を達成すれば、さらに生きる意欲もわいてくる(QOLの向上)と期待できます。
【まとめ】 ADLを維持してQOLを高めよう
ADLは、日常生活を営むために必要な動作です。高齢者になると、さまざまな理由でADLの低下が起こります。転倒による骨折や加齢による身体機能の低下、病気や薬の影響でもADLの低下が起こります。ADLが低下するとQOL(生活の質)も一緒に低下する場合が多いため、ADLの維持・向上は高齢者介護において重要になるのです。介護を必要としている利用者さんがいつまでもいきいきと過ごせるには、どのようなケアが必要かを考えましょう。QOLの向上を考えれば、きっとADLの低下予防につながりますよ。
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