訪問介護事業では身体介護における介護報酬区分が「身体0・01・02」と設定されています。「身体介護」と言われて想像するのは入浴、食事、排泄などの身体に直接触れて行う介助。しかし、区分の違いによってサービス内容や算定要件にどのような違いがあるのか?「身体0」のサービス内容を中心に、「身体01」や「身体02」との違いを解説します。
身体介護とは?生活支援との違いは?
介護の仕事には、大きく分けて「身体介護」と「生活支援」の2つがあります。
・「身体介護」=食事・入浴・排泄の介助など、利用者の身体に直接触れて行う介護サービス
・「生活支援」=掃除・洗濯・調理など、利用者に必要な日常生活上の支援
しかし、「身体介護」には「生活支援」と間違われがちな内容も混在しています。
生活支援と間違われがちな「身体介護」とは?
生活支援と思われがちな「身体介護」とは、利用者の見守りや声かけです。
利用者の日常生活動作の向上を目的とした見守りや声かけは「身体介護」に区分されます。しかし、日常生活動作に関係のない単なる見守りや声かけは「生活支援」とみなされます。
以下は、「身体介護」に分類される見守りや声かけの具体例です。
・利用者と一緒に調理や洗濯物を干す、畳むなどの生活に必要な動作を行いながら、転倒防止のための安全確認や体調の確認、観察をする
・利用者の意思を確認しながら、買い物や冷蔵庫にある食品類の賞味期限の確認を行う
・利用者の入浴や更衣動作を見守り、適宜体調確認や転倒防止のための声かけを行う
・利用者の起床、移乗、歩行などの動作見守り、適宜体調確認や転倒防止のための声かけを行う
訪問介護事業の法改正
2012年度に行われた介護報酬改定により、定期巡回随時訪問型訪問介護看護サービスと「身体0」と呼ばれる20分未満の身体介護サービスが創設されました。「身体0」の身体介護サービスが創設された当初は、提供に際して以下のような条件がありました。
・「身体0」の提供は、要介護3以上の利用者へ定期巡回サービスを実施する訪問介護事業に限る
・「身体0」の提供時間は、朝6時~夜10時のみで、早朝・夜間・深夜の時間帯は提供しない
2015年度の介護報酬改定では、「身体0」の提供条件が大幅変更
従来のような条件がなくなり、訪問前後に2時間の間隔を空けるルールが適用されました。以来、「身体0(身体介護20分未満)」の利用者が急増しています。
「身体0」とは?
訪問介護の「身体0」とは、20分未満の身体介護のことです。サービス内容は、排泄介助・体位交換・服薬・起床・就寝などの定期的かつ短時間の身体介護です。
1日に複数回の短時間訪問を行い、以下のような利用者の支援を行います。
・昼夜逆転、生活リズムの乱れが目立つ認知症利用者
→訪問介護職員が定期的に訪問し、必要な声かけや介助を行うことで生活リズムを整える。
・ターミナルケア(終末期ケア)が必要な利用者
→訪問介護職員が医師から回復の見込みがないと診断を受けた利用者の体調確認や体位交換、急変時対応を行い、利用者が住み慣れた自宅で最期を迎えることを支援する。
「身体01」と「身体02」それぞれの違い
訪問介護の「身体0」は、「身体01」と「身体02」の2類型に分けられています。
「身体01」と「身体02」、それぞれのサービスの特徴や違いを解説します。
「身体0」と「身体01」の違い
「身体0」と「身体01」のサービス内容はほぼ同じで、大きな違いは、サービスの所要時間と算定時の単位数です。
【身体0】
所要時間 | 単位数 | プラン内容 |
20分未満 | 167単位 | 起床介助+更衣介助など、20分未満の所要時間で済むと想定される身体介護サービス |
【身体01】
所要時間 | 単位数 | プラン内容 |
20分以上 30分未満 | 250単位 | 排泄介助+就寝介助+体位交換など、20分以上30分未満の所要時間を要すると想定される身体介護サービス |
「身体0」と「身体01」の単位差は大きいため、利用料にも差が生じます。
利用料を抑えるためにも、「身体0」のプランを組み込むケースが多いです。
「身体01」と「身体02」の違い
「身体01」と「身体02」の大きな違いは、2時間ルールが適用されるか否かです。
2時間ルールとは、1人の利用者に1日に複数回の短時間訪問を行う際、訪問前後の時間間隔が「2時間未満」であれば、各訪問の所要時間を合算し、1回の介護報酬として算定する規定です。
【身体01】
所要時間 | プラン内容・算定方法 |
20分未満(2時間ルール適用頻回訪問不可) | 1人の利用者に同日、以下の時間帯で身体介護サービスを提供 「9:00~9:15」と「10:00~10:15」 訪問間隔が2時間未満のため、訪問時間を合算し身体01で算定 |
【身体02】
所要時間 | プラン内容・算定方法 |
20分未満(2時間ルール不適用頻回訪問可能) | 身体01と同じ時間帯で、身体介護サービスを提供 訪問間隔は2時間未満だが、訪問時間は合算せず身体02で算定 |
「身体0」の算定要件
「身体0」の算定要件は、「身体01」か「身体02」かの区分によって異なります。
「身体01」と「身体02」の算定要件の違いは以下の通りです。
利用者要件・体制要件 | |
身体01(2時間ルール適用頻回訪問不可の20分未満サービス) | 身体01と同じ時間帯で、身体介護サービスを提供訪問間隔は2時間未満だが、訪問時間は合算せず身体02で算定 |
身体02(2時間ルール不適用頻回訪問可能の20分未満サービス) | 利用者要件: ①要介護1または2で認知症の診断を受けている者 ②要介護3以上の介護認定を受けており、日常生活自立度が低い者 ③サービス担当者会議で、週5日以上の頻回訪問が必要と判断された者 体制要件: ①定期巡回随時対応サービスを実施する訪問介護事業所 ②定期巡回随時対応サービス実施予定の訪問介護事業所 |
「身体0サービス」のメリット
訪問介護事業所にて「身体0」のサービス提供が可能になったことで、時間帯を問わず20分未満の短時間かつ定期的な身体介護の提供が可能になりました。
「身体0」サービスには、以下のようなメリットがあります。
・訪問介護職員の定期的な訪問により、認知症利用者の生活リズムが整う
・ターミナルケアが必要でも、訪問介護職員の見守りにより最期まで自宅で過ごせる
・訪問介護職員は毎日決まった時間に訪問でき、利用者は使った分だけの料金が支払える
「身体0」では、起床・体位交換・服薬・体調確認などのサービスを毎日決まった時間に受けられるため、認知症利用者やターミナルケアが必要な利用者の利用回数が上がっています。
急変時にも対応していることや利用料金の明確さから、安心してサービスを受けられます。
「身体0サービス」のデメリット・注意点
「身体0」の利用には、以下のような注意点があります。
・単なる安否確認サービスのみでは算定できない
・利用者からピンポイントで生活援助の依頼を受け、提供しても算定できない
「身体0」は排泄介助や起床介助、服薬介助などで定期的かつ短時間の身体介護を提供します。
そのため、単なる安否確認や利用者からピンポイントで依頼された生活援助のみでは「身体0」の算定要件として認められません。
訪問時間外に利用者から依頼された居室からリビングへの移動介助や部分的な居室清掃などは、定期的かつ短時間での継続訪問の必要がないため、「身体0」では算定できません。ただし、緊急時訪問介護加算を算定している場合、訪問時間外の部分的な対応も「身体0」の算定要件に含まれます。
利用者またはご家族からの要請を受け、訪問時間外に身体介護を提供した場合に加算されます。訪問時間外に利用者から「トイレで尻もちをついて動けなくなったので助けてほしい」と要請を受けて、訪問介護職員が緊急訪問したというケースなど。このようなケースであれば、「身体0」の算定要件に該当します。
まとめ 個々のニーズに合わせて利用の選択を
訪問介護における介護サービスの提供条件は、介護報酬改定により変更されています。
以前までは「20分以上」の訪問が必須だった介護事業では、改定により「20分未満」で利用者のニーズに合わせた身体介護ができるようになりました。
短時間かつ頻回な「20分未満」の訪問により、訪問介護職員の負担軽減や離職の防止、利用者のニーズに合わせた訪問介護サービスの提供が実現しています。
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