バラエティ豊かな介護食メニュー：飽きずに栄養を摂るためのアイデア

普段介護をしていると、実感が湧かないことかもしれませんが、介護を受けているご利用者様の楽しみは何だと思いますか？話を聞くと、大体の方が食事を楽しみにされているようです。今回は介護を受ける人の楽しみである介護食についてご説明します。介護を受ける方の身体機能（ADL）に合った食事の選び方や、大事なポイントについてお伝えする1記事です。

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介護食とは

皆さんは介護食と聞いてどのような食事を思い浮かべますか？
今回はその介護食についてご説明していきます。

食べやすい食事を介護食と言う

タイトルに書いてあるとおり、介護食とは飲む力や咀嚼する力が衰えてきた人のために、食べやすくした食事のことです。食事の形態としては、普通の形態から、1口大刻み、粗刻み、極刻み、ペースト状と大体この段階に分かれます。おそらく、勤務する職場次第で上の表現方法は大きく異なるところがあります。別のところでは、普通食、大刻み、中刻み、小刻み、ペーストという表現を使用していました。ここに関しては、使用する言語が違うだけで基本的に形状は似たようなものです。ただ、施設によっては普通食、刻み食、ペーストというように段階が少ないところもあるため、利用する業者に違いを確認してください。

介護食の選び方と区分

介護食は選ぶ時に、選ぶ基準があります。ではどのような基準で選ぶのかをこの章ではご説明していきます。

身体機能（ADL）に合わせる

介護食を選ぶ上で大切になってくるのは、ご利用者様の身体状況です。つまり、どのような食事なら食べられるのかを知ることが必要になります。これは日常の生活で、どのような形態のものなら食べられるのかを確認する必要があります。その上で、利用する業者や施設に伝えて、どの食形態がベストかを確認してください。そうすることによって、安全に食事を楽しむことができます。

介護食の区分とは

日本介護食品協議会が名付けた「ユニバーサルデザインフード®」という自主規格を基準に以下のように区分が設定されています。
左から順番に、

【容易に噛める】＞【歯茎で潰せる】＞【舌で潰せる】＞【噛まなくてよい】

右に行くにつれて噛むことは困難になり、食事の形態も固形物から、徐々にペースト状に変化していきます。つまり、咀嚼ができる人は比較的固形の食事を楽しむことができますが、ペースト状に近づくにつれて、固形よりも細かな食事へと変化していきます。その変化と並行して、飲み込む力も減退していきます。なので食事をしっかりと噛んで、むせこみも無く飲み込める方は食事形態をあまり考えなくても大丈夫です。
しかし、一部の食事が飲み込み困難だったり、食事をかめてなかったりすると、区分と比較して食事形態を見直す必要があります。

介護食の調理ポイント

続いて、介護食を作る上での調理ポイントをご説明していきます。筆者が訪問していたご利用者様のお宅では、ご家族が一品一品手作りの介護食を提供していました。時折ご家族の忙しさもあって、レトルトの介護食を提供していましたが、基本的には手作りでした。その辺りの話も混ぜながら説明していきます。

食べやすい介護食

【食材の選び方】
・豆腐、バナナ、ヨーグルトなど、調理しなくても食べやすい食材を探す。
・ナッツ類、のり、もちなど、健常者でも食べにくいと思える食材は使用しない。
・万が一食べたいという希望があれば、ペースト状など食べやすい状態に加工して提供する
・栄養バランスに注意して、食材を偏らせない。

【調理方法】
・嚥下機能が落ちていない方への食事は、包丁で叩いたり、すり鉢、すりこぎでつぶしたりするだけでも効果的。
・煮る、蒸すなど加熱でやわらかくするのも効果的。
・食材や調理済みの食事をフードプロセッサー、マッシャー、ミキサーなどにか　けて食べやすい形状にするのも効果的。
・まとまりのないもの、さらさらした水分は、とろみをつける、もしくはゼリー状にすると効果的。
・食事の温度と時間経過に注意。
　冷めてしまうと味が落ちるだけでなく、ミキサーにかけた食事は時間がたつと固くなってしまいます。

食材のアレンジ方法

【パン】
・牛乳を足してパン粥にしたり、フレンチトーストなども好まれます。
・パン粥には、牛乳だけでなく蜂蜜を入れたり、ジャムを入れたりするのも味のアレンジが効いて効果的です。

【卵】
・1番セオリーなのはスクランブルエッグ。その他には、温泉卵や卵をといたスープなども効果的です。

【野菜】
・食物繊維を細かくして、ミキサーにかけてミキサー状にすると効果的です。

【芋】
・お湯で湯掻いて、マッシャーで潰してポテトサラダにするのも効果的。

【刺身】
・包丁で叩いて「たたき」にする。
・水分が多い、パサパサしている、口の中でバラバラになりやすいものにとろみをつけるのも効果的。
・つなぎを使ってまとめるのも効果ありです。
・つなぎの食材は以下
卵、ヨーグルト、生クリーム、ホワイトソース、オクラ、山芋、里芋、れんこん、アボカド、バナナ、豆腐、納豆、マヨネーズ、練りごま、みそ、片栗粉

食べやすい食材とは

ご利用者様は、人によっては食事を避ける人もいます。簡単にいうと食べることも面倒になってきている人たちです。そんな人たちに食事を楽しんでいただくために、食べやすい食材で尚且つ栄養のある食材をお伝えします。

【肉】
・食べやすい肉の種類としては、油のあるロースやバラ肉、ひき肉などもそのうちの1つです。
・豚や牛の、ヒレ肉やささみの赤みの部分は硬くなりやすく、噛むのが大変なため加工するか、避けるのがいいです。

【魚】
・介護食の魚は、基本的に骨がなくみいを楽しむだけの魚が多い印象です。
・カルシウムが豊富で、食べやすい魚はイワシなどがおすすめです。
・その他にも、刺身だとまぐろ、はまち、かつお、ぶりなどの赤身魚は食しやすいです。

【卵】
・卵は汎用性が高い食材です。
・スクランブルエッグやオムレツ、茶碗蒸しなど多種多様な調理方法のある食材です。
・卵単体でも栄養価が高い上、他の食材にも掛け合わせやすいためおすすめの食材と言えます。

【乳製品】
この食材はカルシウムはもちろん、タンパク質も摂取できる点でおすすめの食材です。ヨーグルトや牛乳、チーズも食べやすい食材と言えます。牛乳をシチューに入れて作ることも出来るので、おすすめです。

エネルギーを取りやすい食材

【炭水化物】
主食である、ご飯やパンは欠かせない栄養源です。他にも、さつまいもなどもその1つで食物繊維をとれることが大きなメリットとして挙げられます。高齢になると、摂取できる食事量も減ってしまうため、まずはタンパク質を摂取してから炭水化物系を食べる事をおすすめします。

【脂質】
脂質も大切な栄養素です。パンにバターを乗ったり、調理に使用するのもいいです。他にはマヨネーズなども多様性があります。ぜひ食事に取り入れてみてください。

介護食で気をつけること

食事は美味しそうな見た目に！

普段何気なく食べる物でも、盛り付けが違うと食欲をそそるものです。食事が楽しみの１つであるご利用者様にとっては、それは尚更のことなので意識して盛り付けをしていくと良いです。

食事を楽しめる環境づくりが大切

食事と環境はセットで提供する必要があります。せっかく美味しそうな食事が目の前にあるのに、提供する人がイライラしていたり、雑に対応されたのでは美味しさも減退します。介護する側は、環境づくりも提供してあげると尚良いものになります。

おすすめの調理器具

ここではおすすめの調理器具を紹介します。

【ミキサー】
食材をペースト状にするのによく使う。

【ハンドミキサー】
一人分など少量でも使用可能。コードレスもあり外出先でも使える。

【フードプロセッサー】
食材をみじん切りにしたり、ミンチをつくったりするのに利用。

【ミルサー】
粉末状にできるもので、少量で水分が少ない食材に向いている。

【他に必要なもの】
電子レンジ、トースター、小鍋、小さめのボウル、ゴムべら、キッチンばさみ、マッシャー、すりこぎ、すり鉢、泡だて器

【あると便利なもの】
デジタル計量計、計量カップ、計量スプーン、キッチンタイマーなど

まとめ

今回は、介護食についてお伝えしました。昨今の介護食は、食材の形をそのままに繊維だけを抜いた食事もあります。つまり見た目は普通の食事と変わらないもので、口に入れると舌でも潰せるお肉や、魚の料理が楽しめるのです。調理も加えて、そのような食事も試してみると良いですよ。読んでいただきありがとうございました。

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