病院とは、疾病や疾患を抱えた人(病人・患者)に対し医療を提供したり、病人を収容したりする施設のことで、入院患者のベッド数が20床以上あることが必要です。
病院よりも小規模な施設(ベッド数19床以下・ベッドなし)は診療所(クリニック)と呼ばれます。
医療現場で看護師の業務をサポートする人のことを看護助手といいます。
看護や医療の資格や経験が無くても医療現場で働くことができる社会貢献度の高いお仕事です。
看護助手は医療行為に携わることはできませんが、患者の付き添い、入院病棟の環境整備や患者の身体介助を行うなど、看護師のサポート役として医療現場には欠かせない存在となっています。
看護師を目指している看護学生から、主婦(主夫)層、ご年配の方まで幅広い年齢層の方が活躍しています。
今回は、病院で働く看護助手のお仕事内容とその注意点についてご説明します。
病院の種類や対象患者について
病院の種類により、対象の患者が異なります。
一般病院
一般的な診療・治療のほか、重症または急性疾患の治療、回復を目的とした患者が入院/通院します。
症状に応じて検査や手術、集中的な治療が必要な時期から、症状が少し安定してくる時期までの患者を受け入れています。
ケアミックス病院
ケアミックス病院とは「一般病床と療養型病床または精神病床を持ち合わせた混合型病院」と厚生労働省に定義づけられています。
患者の急性期・回復期・慢性期などの症状に合わせた病床機能が整っているのが特徴で、一般的な診療・治療から、生活指導、手術・術後のケア、そして看取りに至るまで、患者の症状や家族の意向に合わせた医療サービスを1つの病院で提供しています。
療養型病院
治癒に至らない状態が長引き、継続した療養を必要とする患者が対象となります。在宅復帰が困難な患者が多く、医療だけでなく、介護を含めた総合的ケアを提供しています。
精神科病院
主に気分障害(うつ病など)、統合失調症、てんかん、依存症、高次脳機能障害等の疾病を持つ患者を受け入れています。
看護助手のお仕事は?
看護助手のお仕事は、医療・看護の現場で、基本的に看護師の指示のもと患者のお世話や看護師の助手を務めます。
仕事内容は多岐にわたりますが、原則として療養生活上のお世話、環境整備、ベッドメーキング、看護用品や消耗品の整理整頓を行います。外来勤務と病棟勤務で仕事内容は変わります。
入院患者の身の回りのお世話
食事介助、食事の配膳、排泄介助、オムツ交換、体位交換介助、入浴や清拭(タオルで身体を拭くこと)介助、着替介助など
環境の整備
シーツ交換・洗濯、病室の温度調整や換気、浴室の準備・清掃、病室・診察室の清掃など
移送
検査室・リハビリ室への移送・付添いなど
その他
診療に必要な物品の準備、カルテ整理、備品管理、医療器具の洗浄・消毒・滅菌、検体の移送・整理整頓など
看護助手の業務内容と一日の流れ
病棟勤務の日勤の一例をご紹介します。8時前後から17時前後での勤務が多いです。
8時00分~ | 朝礼後、夜勤担当者から引継ぎを行い、患者の状態や様子を確認します。引継ぎ後、患者の朝食の介助を行います。 |
9時00分~ | 朝食の介助後、患者を病室に誘導し、口腔ケアを行います。 |
10時00分~ | 必要に応じて排泄介助を行います。 |
11時00分~ | 患者の入浴介助を行います。 |
12時00分~ | 昼食の配膳・食事介助を行います。食後は口腔ケアを行います。 |
13時00分~ | 昼休憩 |
14時00分~ | シーツ交換や患者の身の回りの清掃、介護記録を行います。 |
15時00分~ | 必要に応じて患者の排泄介助・体位変換・水分補給、機材のチェックなどを行います。 |
16時00分~ | 夕食の配膳・食事介助を行います。食後は口腔ケアを行います。 |
17時00分~ | 夜勤担当者に日勤の様子を引き継ぎ、退勤します。 |
入院している患者は検査やリハビリなどがあり、ひとりひとりスケジュールが異なります。
高齢者施設と違い、スケジュールを把握してその合間で保清や身の回りのお世話をおこなう必要があります。
休憩時間には引継ぎをおこなっておくことも大切です。
夜勤勤務の場合は?時間帯と業務内容
病棟勤務の夜勤の一例をご紹介します。17時から翌朝9時など長時間勤務になることが多く、過重労働にならないよう、原則休憩時間や出勤回数の管理があります。
17時00分~ | 日勤担当者から夜勤担当者へ引き継ぎします。日勤担当者から引継ぎを受け、患者の状態や様子を確認します。 |
18時00分~ | 患者の夕食の介助を行います。食後は口腔ケアやオムツ交換などを行います。 |
20時00分~ | 消灯作業を行います。 |
22時00分~ | 仮眠します。 |
2時00分~ | 患者が勝手に部屋の外に出歩いたりしていないか、体調を崩していないかなどを確認します。夜の間に就寝前の患者の状態を記録します。 |
4時00分~ | オムツ交換、ポータブルトイレや尿瓶の交換・消毒を行います。 |
6時00分~ | 患者を起こし、患者の顔を拭く、ひげ剃りなどの介助を行います。体調を確認するために、体温チェックなどを行います。 |
8時00分~ | 日勤担当者に夜間の状況を引き継ぎ、退勤します。 |
看護助手の勤務は日勤・夜勤のシフト制を採用している病院が多くあります。診療所・クリニックなどでも、入院病棟があれば、日勤だけでなく夜勤もあります。
夜勤の時間帯は、患者の夕食~就寝~朝食の時間にあたるため、配膳や食事介助、就寝介助・見守り・起床介助・朝食の配膳のほか、院内の清掃や片づけなども行います。
夜勤は日勤帯よりスタッフの人数が減るので、限られた人数で対応することが求められます。
就寝時間後のナースコールに対応することもあります。患者の要望を聞き、看護師に伝える役目です。トイレに誘導するなど、看護助手が対応できることも多々あります。
仕事のやりがいと注意点とは
入院している患者の身の回りの世話をすることで、患者ご本人やご家族から頼りにされ、感謝されることが多く、人の役に立ちたいという気持ちや、思いやりのある人にとって充実感のある仕事です。
病院は多くの医療スタッフとの関わりや連携がとても重要になります。医療行為は行いませんが、患者の命が関わっているという責任感をもって働くことが必要です。
知っておくべき病院の特徴
老人ホームと異なり、病院には幅広い年齢層の患者がいます。
介護施設は生活の質の向上を目的としていますが、病院は治療を目的であるという違いがあります。
また、病院でのレクリエーションはあまりありませんので、その点も老人ホームとは異なる点です。
大きな病院で働く場合は、薬剤師、栄養士、リハビリテーションの専門職など、さまざまな関係者と協力することも必要になってきます
勤務施設によって福利厚生は様々
病院によって福利厚生の内容はさまざまです。「住宅手当」や「社宅・寮」など住居関係は多くみられる福利厚生です。
「人間ドッグ・がん検診無料」「医療費補助制度」などの医療保険関係や、家族をその対象にするなど手厚い福利厚生を持つ病院もあります。
また、食事代の一部を負担してくれる「食事補助制度」、将来に備えた「企業年金制度」、小さなお子様を預けられる「院内保育室」、学びを得られる「研修制度」など、さまざまな取り組みがなされています。
その他、「リフレッシュ休暇」などの休暇の充実や、「資格取得奨励金制度」などスキルアップを支える福利厚生もあります。
気になるお給料は?資格を取得することでお給料が上がる?
看護助手全体の平均年収は約303万円、平均月収は約21.3万円でボーナスは約46.4万です。
※参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
無資格・未経験でも就業できますが、求人によっては初任者研修(ヘルパー2級)以上などの資格があれば、経験加算給や資格手当の支給がある場合もあります。
資格名 | 常勤 | 非常勤 |
介護福祉士 | 329,250円 | 145,710円 |
社会福祉士 | 353,020円 | データ無 |
介護支援専門員 | 368,030円 | データ無 |
実務者研修 (介護職員基礎研修およびヘルパー1級) | 303,230円 | 150,720円 |
介護職員初任者研修 (介護職員初任者研修およびヘルパー2級) | 301,210円 | 133,670円 |
※参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」
基本給や時給は一般の介護職と大きく変わりませんが、早番や夜勤を行うことも多く、そのため診療所・クリニックに比べるとお給料は高めです。
働きながら介護の資格を取得すれば、お給料アップの可能性は大きく広がります。
一般病院の人員配置は?
一般病院では患者16名に対して医師1名、患者3名に対し看護師及び准看護師1名、療養病棟や療養病床を有する診療所では患者4名に対し看護助手1名の配置が必要になります。
なお、一般病棟や外来では、看護助手の配置人数に決まりはありません。
他に歯科医師は患者16名に対し1名、薬剤師は患者70名に対し1名、栄養士は100床以上病院に1人、科によっては診療放射線技師、作業療法士や理学療法士などのスタッフが必要です。
スタッフの人員配置が多い病院であれば、患者に手厚い対応ができますし、勤務スタッフの負担も減るでしょう。
求人情報に人員体制について書かれている場合もあるので、参考にされると良いかもしれません。
介護の転職は病院がおすすめ
国家資格や医療現場の勤務経験がなくても看護チームの一員として患者に接しながら働くことができるのは大きな魅力です。
未経験・無資格でも応募できる求人が多く、幅広い年代の人がチャレンジしやすい環境です。
病院では24時間365日、医師と看護師が勤務しているので、患者さんが急変したときなどの対応も安心です。
現場で学んだ医療の知識や介助経験は介護系資格の取得にも役立ちます。また、介護職の経験がある方であれば、これまで培ったスキルを生かして働けます。
病院で看護助手として働くメリット
未経験・無資格でも始められる
資格がないからと言って医療施設で働くのを諦める必要はありません。
患者と接する機会がたくさんあるので、人と接する仕事が好きな方や医療関係の仕事に興味がある方であればチャレンジできます。
資格取得でキャリアアップできる
看護助手のお仕事をしながら、介護職員初任者研修資格(旧ホームヘルパー2級)や看護師資格の取得を目指せるのも魅力の1つです。
看護助手として3年間の経験を積めば、国家資格である「介護福祉士」の受験資格を得ることも可能で、ステップアップしていける職業です。(注:勤務先や業務内容によっては受験資格としてカウントされない場合があります。)
介護福祉士は「ケアワーカー」とも呼ばれており、介護福祉系の資格のなかでは唯一の国家資格です。
介護福祉士の資格を取得していると、介護現場のリーダー的存在として介護者を支えることができるようになります。
また、看護師を目指すための最初のステップとして、看護助手を希望する方もいます。
病院で看護助手として働くデメリットは?
看護助手にはおむつ交換などの排泄介助業務があります。
また、清掃や備品の管理といった多岐にわたる業務があるため、慣れるまでは時間がかかるかもしれません。
肉体的・精神的にハードな面があるにもかかわらず、同じ医療現場で働く看護師と比べて給料が低いところが多いです。
さらに、介護施設では施設長やエリアマネジャーなどに昇格することもありますが、看護助手はそういった役職がつくところが少ないのが現状です。
まとめ
一言で看護助手といっても、働く病院や配属される病棟などによっても業務内容が異なることがあるので注意が必要です。
思っていた以上にハードだった、専門的な用語が覚えられず自信がない…など自分の得意領域と異なる部分がないか、あらかじめ求人の仕事内容をしっかりと確認しておきましょう。
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